9 / 15
回復
しおりを挟む
衰弱していた猫亜人、犬亜人、虎亜人、蜥蜴亜人たち。
野草採取に出かけていた亜人たちも戻り、炊き出しの食材が空になるまで料理を振舞った。
栄養たっぷりで消化にいい肉野菜スープを食べた後は、身体を拭いてトゥーが仕立てた服を着せる。すると、外見だけはなんとか見れるようになった。
ゴロウとトゥーは、ユメが狩った魔獣を解体し、保存食を作る。
ノゾミは、亜人の一人に案内され、食器などを洗う川へ向かい、マサムネは再び長と話をすることに。
長は、壊れた噴水の前にどっかり座り、マサムネはその向かいに、シートを敷いて座った。
「で……貴様が領主か」
「はい。マサムネと申します」
「……バランだ。蜥蜴亜人で、この集落のまとめ役だ」
「バランさん。よろしくお願いします」
「ふん、礼儀はいいな」
バランは大きく息を吐き、マサムネに頭を下げた。
「まずは礼を。皆を救ってくれたことに感謝する」
「必要ありません。俺はここの領主になりました。領民を救うことは義務です。なので、頭を下げるなんてしないでください」
「そうはいかん。いくらお前が領主だろうと、感謝の意を示すのに頭を下げるのは当然だ。救ってもらって当たり前などという情けない考えは持たん」
「……わかりました。では、ありがたく頂戴いたします」
マサムネも頭を下げた。
低姿勢な若造。バランはそう評価した。
「さて、これからのことだが……」
「はい。やることは山積みです。まず、この瓦礫の町を修復、そして水源の確保、田畑の整備、流通の開拓……仕事はいくらでもあります」
「そうだな。今までは瓦礫の隙間に身を潜めるように生活していたが、屋根がありベッドがある家屋は誰でも恋しい」
「はい。それと食事……幸い、この辺りには食用になる魔獣が多くいるようです。自分の……その、えっと……つ、妻は、狩りが得意なので、肉はなんとかなります」
「……何を言い淀んでいるのか知らんが、薬草や果物なら心当たりがある。しばらくはなんとかなるだろう」
「はい。それと、お願いが」
「うむ、言ってみろ」
「はい。ここに暮らしている人たちを、全員集めてもらえないでしょうか? ここの領主になった以上、きちんと顔を見て挨拶したいのです」
「……まだ領主と認めたわけではないが、すでに貴様らに懐いている者もいるようだ。挨拶くらいはいいだろう」
バランが見たのは、ユメにじゃれつく猫亜人……ニャトとトラだった。
可愛らしく尻尾を揺らし、ユメに撫でられている。
「ふん。いいだろう……好きにやってみろ。ただし、領主に相応しくないと判断したら、ここから追い出してやるからな」
「わかりました。全力でやらせていただきます」
「ふん……」
バランがシロを呼ぶ。そして、住人を集めるように言った。
シロは素早い動きで駆け回り、一人一人声をかけていく。そして、炊き出しの広場に大勢集まった。
猫亜人が半数より少ない。犬亜人、虎亜人、蜥蜴亜人が二十名くらいずつだ。
マサムネは、全員に聞こえるような声で言う。
「皆さん!! 私……いや、俺の名前はマサムネ。このユーリ領地の領主です!!」
ドヨドヨと、周囲が騒がしくなる。
だが、マサムネは続けた。
「俺は人間です。皆さんが苦労する原因になった種族ですが、俺は皆さんの生活をよくするために来ました。先の戦争で人間を許せない方もいると思います……でも、人間ではなく、俺を、俺たちを信じてください。皆さんの生活をよくするために精一杯の努力をさせてもらいます!! なので……皆さん、皆さんの力も貸していただきたい!! 人と亜人、手を取り合って、このユーリ領地を復活させましょう!!」
マサムネは、大声で叫んだ。
住人たちは、まだ不安そうにしている。
すると……パチパチと、小さく拍手をする者がいた。
「ふん……見せてもらおうか」
「バランさん……」
「お前ら!! この人間はここをぶっ壊した人間とは違う!! どうやら本気で建て直すそうだぜ?……できなかったら全員で食っちまおうぜ!!」
「え」
「「「「「オォォォォッ!!」」」」」
「え……えぇぇっ!?」
「そーいうわけだ!! ここを立て直すぞぉぉぉぉっ!!」
バランの叫びに、住人たちは一斉に雄叫びを上げた。
すると、ユメがマサムネの背をパシッと叩く。
「できなかったら食べられちゃうってさ」
「じょ、冗談……だよね?」
「どうかな~?」
ユメはクスクス笑う。
ノゾミ、トゥー、ゴロウも笑っていた。
どうやらマサムネは、少しだけ住人に認められたようだ。
「よ、よーし!! これから忙しくなるぞ!!」
マサムネは、食われる恐怖を誤魔化すように気合を入れた。
野草採取に出かけていた亜人たちも戻り、炊き出しの食材が空になるまで料理を振舞った。
栄養たっぷりで消化にいい肉野菜スープを食べた後は、身体を拭いてトゥーが仕立てた服を着せる。すると、外見だけはなんとか見れるようになった。
ゴロウとトゥーは、ユメが狩った魔獣を解体し、保存食を作る。
ノゾミは、亜人の一人に案内され、食器などを洗う川へ向かい、マサムネは再び長と話をすることに。
長は、壊れた噴水の前にどっかり座り、マサムネはその向かいに、シートを敷いて座った。
「で……貴様が領主か」
「はい。マサムネと申します」
「……バランだ。蜥蜴亜人で、この集落のまとめ役だ」
「バランさん。よろしくお願いします」
「ふん、礼儀はいいな」
バランは大きく息を吐き、マサムネに頭を下げた。
「まずは礼を。皆を救ってくれたことに感謝する」
「必要ありません。俺はここの領主になりました。領民を救うことは義務です。なので、頭を下げるなんてしないでください」
「そうはいかん。いくらお前が領主だろうと、感謝の意を示すのに頭を下げるのは当然だ。救ってもらって当たり前などという情けない考えは持たん」
「……わかりました。では、ありがたく頂戴いたします」
マサムネも頭を下げた。
低姿勢な若造。バランはそう評価した。
「さて、これからのことだが……」
「はい。やることは山積みです。まず、この瓦礫の町を修復、そして水源の確保、田畑の整備、流通の開拓……仕事はいくらでもあります」
「そうだな。今までは瓦礫の隙間に身を潜めるように生活していたが、屋根がありベッドがある家屋は誰でも恋しい」
「はい。それと食事……幸い、この辺りには食用になる魔獣が多くいるようです。自分の……その、えっと……つ、妻は、狩りが得意なので、肉はなんとかなります」
「……何を言い淀んでいるのか知らんが、薬草や果物なら心当たりがある。しばらくはなんとかなるだろう」
「はい。それと、お願いが」
「うむ、言ってみろ」
「はい。ここに暮らしている人たちを、全員集めてもらえないでしょうか? ここの領主になった以上、きちんと顔を見て挨拶したいのです」
「……まだ領主と認めたわけではないが、すでに貴様らに懐いている者もいるようだ。挨拶くらいはいいだろう」
バランが見たのは、ユメにじゃれつく猫亜人……ニャトとトラだった。
可愛らしく尻尾を揺らし、ユメに撫でられている。
「ふん。いいだろう……好きにやってみろ。ただし、領主に相応しくないと判断したら、ここから追い出してやるからな」
「わかりました。全力でやらせていただきます」
「ふん……」
バランがシロを呼ぶ。そして、住人を集めるように言った。
シロは素早い動きで駆け回り、一人一人声をかけていく。そして、炊き出しの広場に大勢集まった。
猫亜人が半数より少ない。犬亜人、虎亜人、蜥蜴亜人が二十名くらいずつだ。
マサムネは、全員に聞こえるような声で言う。
「皆さん!! 私……いや、俺の名前はマサムネ。このユーリ領地の領主です!!」
ドヨドヨと、周囲が騒がしくなる。
だが、マサムネは続けた。
「俺は人間です。皆さんが苦労する原因になった種族ですが、俺は皆さんの生活をよくするために来ました。先の戦争で人間を許せない方もいると思います……でも、人間ではなく、俺を、俺たちを信じてください。皆さんの生活をよくするために精一杯の努力をさせてもらいます!! なので……皆さん、皆さんの力も貸していただきたい!! 人と亜人、手を取り合って、このユーリ領地を復活させましょう!!」
マサムネは、大声で叫んだ。
住人たちは、まだ不安そうにしている。
すると……パチパチと、小さく拍手をする者がいた。
「ふん……見せてもらおうか」
「バランさん……」
「お前ら!! この人間はここをぶっ壊した人間とは違う!! どうやら本気で建て直すそうだぜ?……できなかったら全員で食っちまおうぜ!!」
「え」
「「「「「オォォォォッ!!」」」」」
「え……えぇぇっ!?」
「そーいうわけだ!! ここを立て直すぞぉぉぉぉっ!!」
バランの叫びに、住人たちは一斉に雄叫びを上げた。
すると、ユメがマサムネの背をパシッと叩く。
「できなかったら食べられちゃうってさ」
「じょ、冗談……だよね?」
「どうかな~?」
ユメはクスクス笑う。
ノゾミ、トゥー、ゴロウも笑っていた。
どうやらマサムネは、少しだけ住人に認められたようだ。
「よ、よーし!! これから忙しくなるぞ!!」
マサムネは、食われる恐怖を誤魔化すように気合を入れた。
2
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる