召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第五章

記者会見

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 記者会見前日の夜。
 今回の記者会見は、S級のお披露目と魔人を討伐したアルフェン・リグヴェータの取材だ。
 最初はアルフェンだけの記者会見かと思ったが、どうもメルが手をまわしたようだ。
 そして、S級寮に引っ越してきたメルは、従者に運ばせた箱をアルフェンたちに渡す。
 箱を開けると、中には黒を基調とした制服が入っていた。

「これがS級の新しい制服。『魔術師マジシャン』トリックスターの召喚獣『トリッキー・トリッキー』の体毛で編まれた特殊な制服よ」

 『トリッキー・トリッキー』は、全身体毛に包まれた毛玉というべき召喚獣で、その体毛は可視化された『経絡糸』であり、強力な生気が通った特殊な繊維である。その繊維は柔軟で頑丈。衝撃吸収力も高く火にも強い。最高級の武具素材でもあった。
 メルは誇らしげに言う。

「それと、S級召喚士のリーダーにわたしが選ばれたわ。お父様を説得するの大変だったけど……これからはわたしの指示で動いてもらうから」
「メル、なんか性格違わない?」
「え、ええと……こっちが素というか」

 フェニアがサフィーにヒソヒソ声で確認する。
 メルの本性を知っているのはアルフェンとサフィーだけ。ウィルも気付いているがどうでもよく、アネルは王族相手に未だ緊張気味だ。
 レイヴィニアとニスロクの分も用意したのだが、二人は服などどうでもいいのか、風呂に入って寝てしまった。ちなみにこの二人は変装しているといえ『魔人』で、S級所属ということは伏せておく。記者会見にも参加することはない。

「あの、王女様」
「メルでいいって。なに、アネル?」
「えっと……この服、着ていいですか?」
「もちろん。というか着て着て、見せて!」
「は、はい」
「あと敬語なし! アネルって十六歳でしょ? わたしより一個年上だし、敬語いらないから」
「で、でも……王族ですし」
「いいから!」
「は、はい!」

 メルは強引にアネルを女子寮へ。せっかくなのでアルフェンたちも着てみることに。
 再び談話室に集まると、そこには黒い制服のアルフェンたちがいた。

「なんか、動きやすいよな」

 アルフェンはためしに右腕を発動させる。
 召喚獣の素材でできた素材と右腕が融合した感覚だ。動きやすいし、まるで意志を持っているかのように感じた。
 フェニアたちも、スカートを摘まんだりその場でくるっと回転する。

「なんか肌触りいいかもー」
「確かに、気持ちいいですね~」
「うん。いい……」

 女子たちにも好評だった。
 それに、黒い制服はみんなに似合っていた。
 特に、アルフェンが一番よく似合っている。

「ったく、終わったならオレは戻るぞ。そろそろ眠いんだよ……」

 ウィルは欠伸をして部屋へ戻った。
 フェニアたちも部屋へ戻り、残ったのはメルとアルフェン。

「明日はS級のお披露目、そしてあなたの記者会見よ。大丈夫?」
「ああ。質問はなんとか答えられる。まぁ……さっさと終わらせるよ」
「ふふ、頑張ってね」
「ああ。っと……なぁメル、聞いていいか?」
「ん?」
「領地って功績挙げればもらえるか?」
「いきなり何? ……ああ、リグヴェータ家ね。そうね……次、魔人を倒したら領地をもらえるようにお父様に掛け合ってみる。でも、与えられる領地なんて辺境しかないわよ?」
「どこでもいい。リグヴェータ家じゃなければな」
「よっぽど嫌いなのね……とりあえずわかったわ」

 アルフェンは頷き、部屋に戻ろうとしたら……メルに袖を掴まれた。

「な、なんだよ?」
「そういえば、報酬を払ってなかったわ」
「は?」
「魔人討伐の報酬」
「いや、もらったぞ。樽いっぱい……」
「それは王国の報酬でしょ。わたしからの報酬はまだ支払ってないわ」
「い、いや、いらないし」
「駄目……今夜、あなたの部屋に行くわ」
「はぁ!?」
「ふふ。冗談よ」

 メルはパッと離れ、悪戯っぽい笑みを浮かべて女子寮へ。
 アルフェンは、高鳴る心臓を右手で押さえつけた。

「ったく、あいつ……マジで魔女だな」

 明日は記者会見。
 アルフェンは自室に戻り、制服を脱ぎ捨ててベッドに入った。

 ◇◇◇◇◇◇

 記者会見当日。
 記者会見は、アースガルズ王国で最も大きな新聞社である『ユグドラシル新聞社』で行うことになった。
 特設会場には多くの記者が詰めかけ、会場内は大いに盛り上がっている。
 今、話題のS級召喚士のお披露目だ。会場内には小型の召喚獣が飛び交っていた。
 フェニアは、会場袖からそっと様子を伺う。

「なんかいっぱい召喚獣が飛んでる……なんでだろう?」
「あれは撮影型召喚獣よ」
「さつえい型?」

 撮影型召喚獣。
 空間を切り取り保存することができる……とメルに説明されるが、フェニアは首を傾げていた。
 すると、サフィーが置いてあった新聞を見せる。

「ほら、新聞に書いてある絵、本物そっくりでしょう? これ、あの撮影型召喚獣が『撮影』した絵なんですよ」
「へぇ~……新聞なんて読まないから知らなかった」

 新聞に書かれた絵は実物そっくりだ。まるで空間を切り取り、紙に貼りつけたような。
 と、何気ない会話で緊張もほぐれた。アネルはずっと緊張していたが。

「おい、あんま緊張すんなよ。オレらは立ってるだけでいいみたいだぜ?」
「で、でもさ……その、こんなに大勢の前で」
「ったく、寄生型のくせにビビリだな」
「き、寄生型は関係ないでしょ!」

 アネルとウィル、意外と相性がよさそうだ。
 アルフェンは記者会見の質問用紙を見てブツブツ喋っている。

「アルフェン、大丈夫かしら?」
「ん、まぁな」

 メルが背中をパシッと叩く。
 すると、職員が「そろそろ時間です」と呼んだ。
 アルフェンは、全員に言った。

「じゃ、適当に終わらせてさっさと帰ろうぜ」

 どこかしまりのない言い方だった。だが、全員の緊張はほぐれたようだ。

 ◇◇◇◇◇◇

 記者会見が始まった。
 まずはS級召喚士の紹介。いつの間にかいたファリオが、それぞれを紹介していく。
 アルフェンから始まり、ウィル、サフィー、フェニア、アネル、そしてメルの順に紹介された。
 メルは、王族でありながらS級召喚士のリーダーに就任、S級召喚士を率いて魔人討伐をすることを、大勢の記者の前で宣言した。
 すると、撮影型召喚獣の眼がピカピカ光る。どうやらこれが『撮影』らしい。
 しばらく召喚獣の光を浴びていると、魔人討伐者のアルフェンに質問する時間となった。フェニアたちは引っ込み、アルフェンに質問するために席が設けられる。
 席ができると、アルフェンは座るように言われた。

「うわ……」

 マイクがたくさんあり、飲み水も用意されていた。
 なにより、大量の記者がアルフェンを囲んでいた。
 柵が設けられたのでこれ以上は近づけない。

「では、アルフェン・リグヴェータ氏に対する質問を始めます」

 ファリオが仕切り、質問が始まった。
 記者たちが一斉に手を上げ、ファリオが指名していく。
 ファリオに言われた通りの質問が続く。
 アルフェンは特に緊張せず、さっさと帰りたい気持ちでいっぱいだった。
 そんな中、記者の一人がこんな質問をする。

『アルフェンさんは元F級とのことですが……クラスメイトとは仲がよかったのですか?』

 想定にない質問だった。
 アルフェンは、嘘偽りのない答えを言う。

『もちろん。全員が友人でした。『暴食』の魔人アベルに殺されて、俺も死にかけました……もし、アベルが俺たちを襲う前に近くで傍観していた・・・・・・・・・生徒会長達が・・・・・・助けてくれたら、被害はもっと抑えられたかもしれません。俺は、何もせずF級を囮にした生徒会と、生徒会に待機の命令を出した誰か・・を、生涯許すことはないでしょう』

 この一言が、S級召喚士を絶賛する国民と貴族たちに火を点け、B級召喚士と生徒会に抗議の連絡が殺到することになるとは、アルフェンは考えもしなかった。
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