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第七章
アルフェン男爵(仮)
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「アルフェン・リグヴェータ。貴殿に男爵位を与える」
「ありがとうございます」
アルフェンは、謁見の間で国王ゼノベクトから爵位を与えられた。
儀礼剣を受け取り、国家に忠誠を捧げる。魔人討伐者としての名誉が加わり、叙爵式に参加した貴族たちから拍手を送られた。
ゼノベクトは、にこやかにほほ笑む。
「すまんな。式は執り行ったが、正式に爵位を得るのはあと三年ほど待ってくれ。それまでは領地を持たない暫定的な男爵という扱い……まぁ特例だな。時間はあるし、領地経営を学ぶのもいいだろう。きみの父君から習うというのはどうだ?」
「……あはは」
死んでもごめんだった。
だが、ゼノベクトは真面目だったので、曖昧に笑って誤魔化す。
アルフェンは、正直なところ『面倒くさい』と思っていた。貴族、しかも男爵、さらに辺境とはいえ領地……面倒なことばかりだ。
昔は、貴族をやめてアースガルズ王国から脱し、どこか小さな国の隅っこで畑でも耕しながら生活したいと思っていた。まだ学園に入学して半年くらいしか経過していないのに、ずいぶんと昔のように感じた。
式が終わり、アルフェン退室する。
すると、メルが待ち構えていた。
「お疲れさま」
「ホント疲れた……俺、こういうの苦手だわ」
「あはは。ごめんね、でも魔人討伐の報酬ってことで」
「ああ。わかったよ」
「それと、今回も金一封あるから。領地や爵位とは別にね」
「えぇ~?……また樽いっぱいの金貨かよ?」
「そうね。そこで相談だけど……城下町に家を買わない? 格安でいい物件がいくつかあるし、管理はあたしの部下にやらせるから手入れもばっちりよ」
「家ぇ? ん~……まぁ、樽いっぱいの金貨が空き部屋に放り込まれるよりマシか。任せるよ」
「ん、じゃああたしの部屋にきて。いくつか物件あるから、あなたが好きなところを選んで」
「……お前の部屋?」
「ええ。ああ、そういうことしたいなら相手してもいいわよ? あなたも貴族だし、王女のあたしを娶る資格は十分にあるわ」
「遠慮します。王族の仲間入りなんてごめんだね」
「あら残念。じゃあ、部屋にいくわよ」
アルフェンは、メルの案内で歩きだした。
そして、メルはポツリという。
「……(ばか)」
「ん?」
「別に、なんでもないわ」
アルフェンは、小さく首を傾げていた。
◇◇◇◇◇◇
メルの所有するいくつかの物件で気に入ったのを選び購入。メルの部下数名を使用人として雇い家の管理を任せた。
いざという時の隠れ家くらいにはなる。アルフェンはそう考え、アースガルズ王国内で家を手にいれた。
用事も終わり、王城を出て城下町へ。少し散歩をして買った家でも見に行こうかと考えていると、フェニアとサフィーが雑貨屋で買い物をしているのに遭遇した。
「あ、アルフェン。式は終わったの?」
「ああ。かったるい式だった……」
「ふふ、お疲れ様です。お帰りですか?」
「少し散歩しようと思ってな。それと、せっかくだし家を見に行こうかと」
「「家?」」
二人の声が重なった。
特に隠すことでもないので、アルフェンは家を買った話をする。
すると、二人は食いついた。
「見たい!! アルフェンの家見たい!!」
「私も見たいです!!」
「え、ああ……べつにいいけど」
「よし!! サフィー、買い物中断。アルフェンの家を見にいくわよ!!」
「はい!!」
「……なんでそんなに乗り気なんだ?」
アルフェンは不思議に思いつつ、物件まで二人を案内する。
向かったのは、貴族たちが屋敷を構える区画。通称『貴族街』だ。ここには大きな屋敷が立ち並び、高級商店やオークション会場などがある。ちなみにサフィーの家もここにあった。
その貴族街の片隅にある、小さな林に囲まれた物件がアルフェンの家だ。
「わぁ、私のお家と近いんですね」
「そうなのか?」
「はい。同じ区画ですし……でも、こんなところに屋敷があったんですね」
「あんまり目立たない物件、ってので選んだ。土地は木々が多いし、敷地内には畑もあるんだとさ。前の家主が農業に凝ったらしくて、地下水を汲める井戸もある。あと、風呂もあるってよ」
「お風呂かぁ……ねぇアルフェン、入っていいの?」
フェニアがおずおず聞く。
アルフェンは、ポケットから鍵束を出して見せた。
「メルからもらった。もう好きに使っていいってよ」
門を開け、林の小道を進むと屋敷が見えた。
なかなか立派な屋敷で、この辺りだけ林に囲まれておらず、庭には畑があった。
家のドアの前に立つとドアが開き……そこには、三人のメイドと一人の執事がいた。
「「「「お帰りなさいませ。旦那様」」」」
「だ、旦那様? ってか誰? え?」
すると、執事が前に出て跪く。そして、メイド三人も跪く。
「メル私設部隊『アルファワン』隊長ヘイムダルと申します。メル様の命により、この屋敷の管理、そして旦那様の執事を務めさせていただきます」
「『アルファワン』所属、ヨハンナ。メイドを担当します」
「同じくルイーナ」
「同じくマイン」
「これより、アルフェン様を主として働かせていただきます」
ヘイムダルと三人のメイドは跪いたまま頭を下げた。
いきなりすぎてどうすればいいかわからないアルフェン。なんとなくサフィーを見た。
「えっと、とりあえず立ってもらうのは?」
「じゃ、じゃあ……立って」
「「「「はっ!」」」」
「……あと、普通にしてくれ」
「普通、とは?」
「……えーっと。フェニア、任せた」
「なんであたし!?」
「いや、お前も使用人の勉強しただろ? みんなにいろいろ教えてやってくれ」
「……丸投げ」
「た、頼む」
「はぁ~……わかったわよ」
さすがに、使用人というか部隊の部下みたいな態度だ。こう硬いとアルフェンとしてもやりづらい。
フェニアにいろいろ任せ、近くにあったソファにサフィーと座る。
「はぁ~……なんか、面倒なことばかりだ」
「アルフェン、大変ですね」
「はは……お前と二人でS級だったころが懐かしいよ」
アルフェンは苦笑し、フェニアにいろいろ教わりメモを取っている執事とメイドを眺めた。
「ありがとうございます」
アルフェンは、謁見の間で国王ゼノベクトから爵位を与えられた。
儀礼剣を受け取り、国家に忠誠を捧げる。魔人討伐者としての名誉が加わり、叙爵式に参加した貴族たちから拍手を送られた。
ゼノベクトは、にこやかにほほ笑む。
「すまんな。式は執り行ったが、正式に爵位を得るのはあと三年ほど待ってくれ。それまでは領地を持たない暫定的な男爵という扱い……まぁ特例だな。時間はあるし、領地経営を学ぶのもいいだろう。きみの父君から習うというのはどうだ?」
「……あはは」
死んでもごめんだった。
だが、ゼノベクトは真面目だったので、曖昧に笑って誤魔化す。
アルフェンは、正直なところ『面倒くさい』と思っていた。貴族、しかも男爵、さらに辺境とはいえ領地……面倒なことばかりだ。
昔は、貴族をやめてアースガルズ王国から脱し、どこか小さな国の隅っこで畑でも耕しながら生活したいと思っていた。まだ学園に入学して半年くらいしか経過していないのに、ずいぶんと昔のように感じた。
式が終わり、アルフェン退室する。
すると、メルが待ち構えていた。
「お疲れさま」
「ホント疲れた……俺、こういうの苦手だわ」
「あはは。ごめんね、でも魔人討伐の報酬ってことで」
「ああ。わかったよ」
「それと、今回も金一封あるから。領地や爵位とは別にね」
「えぇ~?……また樽いっぱいの金貨かよ?」
「そうね。そこで相談だけど……城下町に家を買わない? 格安でいい物件がいくつかあるし、管理はあたしの部下にやらせるから手入れもばっちりよ」
「家ぇ? ん~……まぁ、樽いっぱいの金貨が空き部屋に放り込まれるよりマシか。任せるよ」
「ん、じゃああたしの部屋にきて。いくつか物件あるから、あなたが好きなところを選んで」
「……お前の部屋?」
「ええ。ああ、そういうことしたいなら相手してもいいわよ? あなたも貴族だし、王女のあたしを娶る資格は十分にあるわ」
「遠慮します。王族の仲間入りなんてごめんだね」
「あら残念。じゃあ、部屋にいくわよ」
アルフェンは、メルの案内で歩きだした。
そして、メルはポツリという。
「……(ばか)」
「ん?」
「別に、なんでもないわ」
アルフェンは、小さく首を傾げていた。
◇◇◇◇◇◇
メルの所有するいくつかの物件で気に入ったのを選び購入。メルの部下数名を使用人として雇い家の管理を任せた。
いざという時の隠れ家くらいにはなる。アルフェンはそう考え、アースガルズ王国内で家を手にいれた。
用事も終わり、王城を出て城下町へ。少し散歩をして買った家でも見に行こうかと考えていると、フェニアとサフィーが雑貨屋で買い物をしているのに遭遇した。
「あ、アルフェン。式は終わったの?」
「ああ。かったるい式だった……」
「ふふ、お疲れ様です。お帰りですか?」
「少し散歩しようと思ってな。それと、せっかくだし家を見に行こうかと」
「「家?」」
二人の声が重なった。
特に隠すことでもないので、アルフェンは家を買った話をする。
すると、二人は食いついた。
「見たい!! アルフェンの家見たい!!」
「私も見たいです!!」
「え、ああ……べつにいいけど」
「よし!! サフィー、買い物中断。アルフェンの家を見にいくわよ!!」
「はい!!」
「……なんでそんなに乗り気なんだ?」
アルフェンは不思議に思いつつ、物件まで二人を案内する。
向かったのは、貴族たちが屋敷を構える区画。通称『貴族街』だ。ここには大きな屋敷が立ち並び、高級商店やオークション会場などがある。ちなみにサフィーの家もここにあった。
その貴族街の片隅にある、小さな林に囲まれた物件がアルフェンの家だ。
「わぁ、私のお家と近いんですね」
「そうなのか?」
「はい。同じ区画ですし……でも、こんなところに屋敷があったんですね」
「あんまり目立たない物件、ってので選んだ。土地は木々が多いし、敷地内には畑もあるんだとさ。前の家主が農業に凝ったらしくて、地下水を汲める井戸もある。あと、風呂もあるってよ」
「お風呂かぁ……ねぇアルフェン、入っていいの?」
フェニアがおずおず聞く。
アルフェンは、ポケットから鍵束を出して見せた。
「メルからもらった。もう好きに使っていいってよ」
門を開け、林の小道を進むと屋敷が見えた。
なかなか立派な屋敷で、この辺りだけ林に囲まれておらず、庭には畑があった。
家のドアの前に立つとドアが開き……そこには、三人のメイドと一人の執事がいた。
「「「「お帰りなさいませ。旦那様」」」」
「だ、旦那様? ってか誰? え?」
すると、執事が前に出て跪く。そして、メイド三人も跪く。
「メル私設部隊『アルファワン』隊長ヘイムダルと申します。メル様の命により、この屋敷の管理、そして旦那様の執事を務めさせていただきます」
「『アルファワン』所属、ヨハンナ。メイドを担当します」
「同じくルイーナ」
「同じくマイン」
「これより、アルフェン様を主として働かせていただきます」
ヘイムダルと三人のメイドは跪いたまま頭を下げた。
いきなりすぎてどうすればいいかわからないアルフェン。なんとなくサフィーを見た。
「えっと、とりあえず立ってもらうのは?」
「じゃ、じゃあ……立って」
「「「「はっ!」」」」
「……あと、普通にしてくれ」
「普通、とは?」
「……えーっと。フェニア、任せた」
「なんであたし!?」
「いや、お前も使用人の勉強しただろ? みんなにいろいろ教えてやってくれ」
「……丸投げ」
「た、頼む」
「はぁ~……わかったわよ」
さすがに、使用人というか部隊の部下みたいな態度だ。こう硬いとアルフェンとしてもやりづらい。
フェニアにいろいろ任せ、近くにあったソファにサフィーと座る。
「はぁ~……なんか、面倒なことばかりだ」
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