150 / 178
第八章
模擬戦の条件
しおりを挟む
アルフェンのやる気に、室内は騒然となりかけたが……アルフェンは構えを解く。
そして、冗談っぽくおどけてみせた。
「なんて、冗談だよ……いくら俺でも、こんな狭い室内で暴れるほど馬鹿じゃないって」
「……座れ」
リリーシャがソファを勧めたので座る。
ソファに座っていたのは、アルフェンの両親。そして、リリーシャの後ろにはA級召喚士が並んでいた。どこまでも偉そうな態度だと思いつつ、給仕が運んできたお茶を啜る。
すると、目の前に座っていた父アルバンが言う。
「アルフェン、その……最近どうだ?」
「どうだ、とは?」
「ああ、その……元気か?」
「ええ、まあ」
「そうか。うん……」
アルフェンは、両親への興味を欠片も持っていない。
今さら話すこともない。なぜここにいるのかという疑問すら持たなかった。
すると、母サリーがポンと手を叩く。
「そう! あのね、実は今日、リリーシャが特A級に昇格したお祝いをしに来たのよ。そして、簡易式だけど、爵位をリリーシャに継承しようと思って……その、アルフェン、あなたもお祝いに」
「そんなことより、さっさと用事を済ませたいんですけど」
「……えっと」
サリーは言葉に詰まっていた。
あまりにも、アルフェンは無関心だった。
かつて、自分たちがした仕打ちのように。会話するだけアルフェンのがましだった。
せっかく両親が目の前にいるので、アルフェンは聴いてみた。
「ああ、そういえば……俺の魔人討伐の報奨金、そっちに送られたはずですよね? 俺の領地運営で使うんで、寮に送っておいてください」
「「!?」」
両親は一気に汗を流す……アルフェンは察した。
「もちろん知ってますよね? 金貨が山ほど詰まった樽がそっちに送られたはず。今はもういないけど、オズワルド先生が許可を出してリグヴェータ家に発送したはずだ」
「あ、ああ……そ、そうだった、かな」
「え、ええ……そう、ね」
「よかった。まさか使い込んだなんてことはないですよね? 俺が!! 命を賭けて戦ったその報酬を使い込んだなんて!!」
「「…………」」
わざと強めに言うアルフェン。
領地経営で使うというのは思い付きだが、必要になる気がした。
テュポーンを討伐した報酬もあるが、金は多くあればいい。
ちなみに、アルフェンは知らない。父アルバンが領地の鉱山開発でアルフェンの報酬を使ったこと、母サリーがブティック経営で使ったことなど。
アルフェンは、追い打ちをかけるように言う。
「早めの返金をお願いしますよ。この話、メル王女は知ってますし、仮にも俺は男爵だ。貴族同士の金の貸し借りで戦争になったなんて話、いくらでもある」
「そ、そうだな。うん……ま、まさか、実の両親にそんなこと」
「そ、そうよ? 私たち、親子じゃ」
「親子ね……あんたら、俺のこと徹底的に無視してたくせに」
「「……」」
「ま、早めの返金をお願いしますよ」
そして、アルフェンは右手を変化させる。
「戦争なんてしたくないし、ね」
「「っ……」」
軽く脅す。
さすがに戦争なんてするつもりはない。それに、金は返ってこなくてもよかった。
この両親は、アルフェンの『功績』や『金』しか見ていない。今さら肉親の愛情なんて期待していないし、仮に求めてきたとしても受け入れるつもりは全く無い。
両親との話が終わると、リリーシャが言う。
「もういいか?」
「ああ。で、模擬戦だよな」
「そうだ。S級召喚士と我々ピースメーカー部隊の模擬戦だ。来るべき魔帝との闘いに備え、実力の向上を目的とした」
「わかった、わかったって。とにかく、戦うんだよな」
「……そうだ」
アルフェンは、長くなりそうなリリーシャの話を止める。
ダオームはピクピクと震え、キリアスが苦笑。残りのA級召喚士たちはアルフェンを睨む。
リリーシャは、椅子に深く腰掛ける。
「ルールは簡単だ。アルフェン、お前と我々の代表者が」
「待った」
と、ここでアルフェンは挙手。
リリーシャの話が止まる。
そして……アルフェンは告げた。
「模擬戦のルール、俺に決めさせてくれ」
「……なに?」
「ルールは簡単だ。ピースメーカー部隊全員でかかって来い。俺は一人で全員相手にする。もちろん、殺す気で来い」
全員が、呆気にとられた。
さらに続ける。
「いいか。くれぐれも手を抜くな。俺も本気でやる。徹底的に俺を追い込んでくれ」
「…………」
「それだけ。ああ、全員だぞ。部隊に所属してるの全員。確か、千人くらいいるよな?」
「…………」
「場所は……ここじゃ狭いし、外の平原にしよう。開始は明日の朝な。俺は平原で待ってるから、全員で殺しに来てくれ……じゃ、そういうことで」
それだけ言い、誰も反論する暇もなくアルフェンは出ていった。
沈黙を破ったのは……ダオームだった。
「ふざけるな!! あの野郎……何様のつもりだ!!」
至極、真っ当な怒りだった。
こうして、ピースメーカー部隊全員とアルフェンの戦いが始まろうとしていた。
◇◇◇◇◇◇
アルフェンは、夕食を食べるため寮へ戻る。
ダイニングルームへ行くと、仲間たちが食事の支度をしていた。
ウィルが調理、アネルとフェニアが盛り付け、サフィーは皿を準備し、レイヴィニアとニスロクは椅子に座ってまだかまだかと待っている。
メルはなぜかワインを飲んでいた。
アルフェンが戻ると、メルが気付き言う。
「おかえりなさい。どういう結果になったか聞かせてもらえるかしら?」
「あー……メシ食ったらでいい?」
「構わないわ。さ、着替えて座りなさい」
部屋に戻り、着替えをして再びダイニングルームへ。
食事の支度は終わり、全員が席についていた。
アルフェンも座り、フェニアからオレンジジュースをもらう。
「では、この世の全てに感謝を「おい、ソースよこせ」……」
メルの祈りを無視し、ウィルはすでに食べ始めていた。
アネルからステーキソースのポッドをもらうと、自分のステーキにたっぷりかける。アルフェンも肉に喰らいつき、レイヴィニアとニスロクはすでにお代わりをしていた。
メルは頬をピクピクさせる……そして、ため息を吐いた。
「いただきます。はぁ……」
「おいウィル、サラダくれ」
「自分で取れ」
「そう言わないの。はい、アルフェン」
「ありがと、アネル」
「フェニア、このスープ……」
「ふふん。あたしが作ったの。サフィー、美味しい?」
「はい、すっごく美味しいです!」
「おいニスロク、肉よこせー!」
「わわ、ちび姉にお肉取られるぅ~」
ダイニングルームは、とても騒がしくなった。
ありふれた日常の景色が、ここにはあった。
◇◇◇◇◇◇
食後。
ウィルは一服しながらウィスキーを飲む。
アネルは弱めのワインをチビチビ飲み、イザヴェルで買ったチーズを食べていた。
そして、アルフェンは……オレンジジュースを飲みながサフィーメーカー部隊とする模擬戦の話をする。
話を終えると、メルは盛大にため息を吐いた。
「はぁ~~~……あなた、本気?」
「ああ。俺一人で千人を相手にする」
「……さっき確認したけど、ピースメーカー部隊の総人数は千二百よ? 戦闘員、非戦闘員合わせて千二百。これ、小さな町一個分よ?」
「関係ない。むしろ望むところだ」
「あなたね……魔帝が攻め込んでくるまであと三十日もないのよ?」
「必要なんだ」
「…………」
アルフェンは、力強い目でメルを見る。
メルはそっと目をそらす。
「まぁ……あなたが負けるとは思わないけど。それでも、ピースメーカー部隊を舐めているとしか思えないわ。アルフェン、こんなこと言いたくないけど、あなたは一人で世界中から来た強い召喚獣と戦おうとしているのよ? ピースメーカー部隊はアースガルズ王国だけじゃない、他国から来た召喚士も含まれて」
「知ってる。俺だって慢心してるわけじゃない。千二百人が俺一人に向かってくるんだ。俺だって無事じゃ済まない……でも、そうでなきゃ駄目なんだ」
「…………はぁ」
メルはため息を吐き、組んでいた足を組みなおす。
「リッパ-医師を待機させる。他にも、治療系の召喚士もね」
「メル……」
「好きにやりなさい。でも、ピースメーカー部隊の立ち位置から、わたしは深く関われないってことを忘れないでね」
「ああ!」
アルフェンは、右手を強く握りしめて返事をした。
◇◇◇◇◇◇
翌日。
フェニアたちから激励をもらい、アルフェンは一人でアースガルズ王国郊外の平原へ。
準備運動がてら走った。いい感じに身体がほぐれる。
「よし……」
平原は見渡す限り何もない。
どこまでも広く……大暴れするには、絶好の場所だった。
屈伸や膝の曲げ伸ばしをしていると、アースガルズ王国から大勢の人が歩いてくるのが見えた。
全員、同じ制服を着ている。
並び方も、十~三十人グループが多い。部隊ごとに分かれているのだろう。
こちらに向かってくるのを眺めていると、先行部隊がアルフェンの五十メートルほど先に並んだ。
先行部隊を率いていたのは、馬に乗ったリリーシャだった。
リリーシャは、馬に乗ったままアルフェンの元へ。
「ピースメーカー部隊、千二百人。お前の相手をする」
「ああ。感謝するよ」
「……本当に死ぬかもしれんぞ?」
「死なないよ。むしろ、殺す気で来い」
「……いいだろう」
リリーシャは元の位置に戻る。
そして、全部隊が到着……横に並び、それぞれが武器を装備し、召喚獣を召喚する。
リリーシャが剣を掲げ、叫んだ。
「これより!! S級召喚士アルフェンとの模擬戦を開始する!! 全員、奴を国家の反逆者だと思え!! 殺すつもりで武器を振れ!! 召喚獣をけしかけろ!! では……蹂躙せよ!!」
リリーシャの声が響き、横一列に並んだA級召喚士が飛び出した。
それぞれが武器を持っている。前衛部隊だろう。
アルフェンは右手を軽くスナップさせ、小さく息を吐く。
「奪え───『ジャガーノート』」
これは模擬戦ではない。
アルフェンが、新たな『可能性』を掴むための戦いだ。
そして、冗談っぽくおどけてみせた。
「なんて、冗談だよ……いくら俺でも、こんな狭い室内で暴れるほど馬鹿じゃないって」
「……座れ」
リリーシャがソファを勧めたので座る。
ソファに座っていたのは、アルフェンの両親。そして、リリーシャの後ろにはA級召喚士が並んでいた。どこまでも偉そうな態度だと思いつつ、給仕が運んできたお茶を啜る。
すると、目の前に座っていた父アルバンが言う。
「アルフェン、その……最近どうだ?」
「どうだ、とは?」
「ああ、その……元気か?」
「ええ、まあ」
「そうか。うん……」
アルフェンは、両親への興味を欠片も持っていない。
今さら話すこともない。なぜここにいるのかという疑問すら持たなかった。
すると、母サリーがポンと手を叩く。
「そう! あのね、実は今日、リリーシャが特A級に昇格したお祝いをしに来たのよ。そして、簡易式だけど、爵位をリリーシャに継承しようと思って……その、アルフェン、あなたもお祝いに」
「そんなことより、さっさと用事を済ませたいんですけど」
「……えっと」
サリーは言葉に詰まっていた。
あまりにも、アルフェンは無関心だった。
かつて、自分たちがした仕打ちのように。会話するだけアルフェンのがましだった。
せっかく両親が目の前にいるので、アルフェンは聴いてみた。
「ああ、そういえば……俺の魔人討伐の報奨金、そっちに送られたはずですよね? 俺の領地運営で使うんで、寮に送っておいてください」
「「!?」」
両親は一気に汗を流す……アルフェンは察した。
「もちろん知ってますよね? 金貨が山ほど詰まった樽がそっちに送られたはず。今はもういないけど、オズワルド先生が許可を出してリグヴェータ家に発送したはずだ」
「あ、ああ……そ、そうだった、かな」
「え、ええ……そう、ね」
「よかった。まさか使い込んだなんてことはないですよね? 俺が!! 命を賭けて戦ったその報酬を使い込んだなんて!!」
「「…………」」
わざと強めに言うアルフェン。
領地経営で使うというのは思い付きだが、必要になる気がした。
テュポーンを討伐した報酬もあるが、金は多くあればいい。
ちなみに、アルフェンは知らない。父アルバンが領地の鉱山開発でアルフェンの報酬を使ったこと、母サリーがブティック経営で使ったことなど。
アルフェンは、追い打ちをかけるように言う。
「早めの返金をお願いしますよ。この話、メル王女は知ってますし、仮にも俺は男爵だ。貴族同士の金の貸し借りで戦争になったなんて話、いくらでもある」
「そ、そうだな。うん……ま、まさか、実の両親にそんなこと」
「そ、そうよ? 私たち、親子じゃ」
「親子ね……あんたら、俺のこと徹底的に無視してたくせに」
「「……」」
「ま、早めの返金をお願いしますよ」
そして、アルフェンは右手を変化させる。
「戦争なんてしたくないし、ね」
「「っ……」」
軽く脅す。
さすがに戦争なんてするつもりはない。それに、金は返ってこなくてもよかった。
この両親は、アルフェンの『功績』や『金』しか見ていない。今さら肉親の愛情なんて期待していないし、仮に求めてきたとしても受け入れるつもりは全く無い。
両親との話が終わると、リリーシャが言う。
「もういいか?」
「ああ。で、模擬戦だよな」
「そうだ。S級召喚士と我々ピースメーカー部隊の模擬戦だ。来るべき魔帝との闘いに備え、実力の向上を目的とした」
「わかった、わかったって。とにかく、戦うんだよな」
「……そうだ」
アルフェンは、長くなりそうなリリーシャの話を止める。
ダオームはピクピクと震え、キリアスが苦笑。残りのA級召喚士たちはアルフェンを睨む。
リリーシャは、椅子に深く腰掛ける。
「ルールは簡単だ。アルフェン、お前と我々の代表者が」
「待った」
と、ここでアルフェンは挙手。
リリーシャの話が止まる。
そして……アルフェンは告げた。
「模擬戦のルール、俺に決めさせてくれ」
「……なに?」
「ルールは簡単だ。ピースメーカー部隊全員でかかって来い。俺は一人で全員相手にする。もちろん、殺す気で来い」
全員が、呆気にとられた。
さらに続ける。
「いいか。くれぐれも手を抜くな。俺も本気でやる。徹底的に俺を追い込んでくれ」
「…………」
「それだけ。ああ、全員だぞ。部隊に所属してるの全員。確か、千人くらいいるよな?」
「…………」
「場所は……ここじゃ狭いし、外の平原にしよう。開始は明日の朝な。俺は平原で待ってるから、全員で殺しに来てくれ……じゃ、そういうことで」
それだけ言い、誰も反論する暇もなくアルフェンは出ていった。
沈黙を破ったのは……ダオームだった。
「ふざけるな!! あの野郎……何様のつもりだ!!」
至極、真っ当な怒りだった。
こうして、ピースメーカー部隊全員とアルフェンの戦いが始まろうとしていた。
◇◇◇◇◇◇
アルフェンは、夕食を食べるため寮へ戻る。
ダイニングルームへ行くと、仲間たちが食事の支度をしていた。
ウィルが調理、アネルとフェニアが盛り付け、サフィーは皿を準備し、レイヴィニアとニスロクは椅子に座ってまだかまだかと待っている。
メルはなぜかワインを飲んでいた。
アルフェンが戻ると、メルが気付き言う。
「おかえりなさい。どういう結果になったか聞かせてもらえるかしら?」
「あー……メシ食ったらでいい?」
「構わないわ。さ、着替えて座りなさい」
部屋に戻り、着替えをして再びダイニングルームへ。
食事の支度は終わり、全員が席についていた。
アルフェンも座り、フェニアからオレンジジュースをもらう。
「では、この世の全てに感謝を「おい、ソースよこせ」……」
メルの祈りを無視し、ウィルはすでに食べ始めていた。
アネルからステーキソースのポッドをもらうと、自分のステーキにたっぷりかける。アルフェンも肉に喰らいつき、レイヴィニアとニスロクはすでにお代わりをしていた。
メルは頬をピクピクさせる……そして、ため息を吐いた。
「いただきます。はぁ……」
「おいウィル、サラダくれ」
「自分で取れ」
「そう言わないの。はい、アルフェン」
「ありがと、アネル」
「フェニア、このスープ……」
「ふふん。あたしが作ったの。サフィー、美味しい?」
「はい、すっごく美味しいです!」
「おいニスロク、肉よこせー!」
「わわ、ちび姉にお肉取られるぅ~」
ダイニングルームは、とても騒がしくなった。
ありふれた日常の景色が、ここにはあった。
◇◇◇◇◇◇
食後。
ウィルは一服しながらウィスキーを飲む。
アネルは弱めのワインをチビチビ飲み、イザヴェルで買ったチーズを食べていた。
そして、アルフェンは……オレンジジュースを飲みながサフィーメーカー部隊とする模擬戦の話をする。
話を終えると、メルは盛大にため息を吐いた。
「はぁ~~~……あなた、本気?」
「ああ。俺一人で千人を相手にする」
「……さっき確認したけど、ピースメーカー部隊の総人数は千二百よ? 戦闘員、非戦闘員合わせて千二百。これ、小さな町一個分よ?」
「関係ない。むしろ望むところだ」
「あなたね……魔帝が攻め込んでくるまであと三十日もないのよ?」
「必要なんだ」
「…………」
アルフェンは、力強い目でメルを見る。
メルはそっと目をそらす。
「まぁ……あなたが負けるとは思わないけど。それでも、ピースメーカー部隊を舐めているとしか思えないわ。アルフェン、こんなこと言いたくないけど、あなたは一人で世界中から来た強い召喚獣と戦おうとしているのよ? ピースメーカー部隊はアースガルズ王国だけじゃない、他国から来た召喚士も含まれて」
「知ってる。俺だって慢心してるわけじゃない。千二百人が俺一人に向かってくるんだ。俺だって無事じゃ済まない……でも、そうでなきゃ駄目なんだ」
「…………はぁ」
メルはため息を吐き、組んでいた足を組みなおす。
「リッパ-医師を待機させる。他にも、治療系の召喚士もね」
「メル……」
「好きにやりなさい。でも、ピースメーカー部隊の立ち位置から、わたしは深く関われないってことを忘れないでね」
「ああ!」
アルフェンは、右手を強く握りしめて返事をした。
◇◇◇◇◇◇
翌日。
フェニアたちから激励をもらい、アルフェンは一人でアースガルズ王国郊外の平原へ。
準備運動がてら走った。いい感じに身体がほぐれる。
「よし……」
平原は見渡す限り何もない。
どこまでも広く……大暴れするには、絶好の場所だった。
屈伸や膝の曲げ伸ばしをしていると、アースガルズ王国から大勢の人が歩いてくるのが見えた。
全員、同じ制服を着ている。
並び方も、十~三十人グループが多い。部隊ごとに分かれているのだろう。
こちらに向かってくるのを眺めていると、先行部隊がアルフェンの五十メートルほど先に並んだ。
先行部隊を率いていたのは、馬に乗ったリリーシャだった。
リリーシャは、馬に乗ったままアルフェンの元へ。
「ピースメーカー部隊、千二百人。お前の相手をする」
「ああ。感謝するよ」
「……本当に死ぬかもしれんぞ?」
「死なないよ。むしろ、殺す気で来い」
「……いいだろう」
リリーシャは元の位置に戻る。
そして、全部隊が到着……横に並び、それぞれが武器を装備し、召喚獣を召喚する。
リリーシャが剣を掲げ、叫んだ。
「これより!! S級召喚士アルフェンとの模擬戦を開始する!! 全員、奴を国家の反逆者だと思え!! 殺すつもりで武器を振れ!! 召喚獣をけしかけろ!! では……蹂躙せよ!!」
リリーシャの声が響き、横一列に並んだA級召喚士が飛び出した。
それぞれが武器を持っている。前衛部隊だろう。
アルフェンは右手を軽くスナップさせ、小さく息を吐く。
「奪え───『ジャガーノート』」
これは模擬戦ではない。
アルフェンが、新たな『可能性』を掴むための戦いだ。
20
あなたにおすすめの小説
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる