最強スキル『忍術』で始めるアサシン教団生活

さとう

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第一章 シャドウ

人生の始まり

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 洞窟にハンゾウを埋葬し、シャドウは荷物の整理をしていた。
 もう、この地でやるべきことはやった。
 これより先、シャドウは二十人の『黄昏旅団』構成員を、始末する。
 荷物の整理をしている時、シャドウは思い出した。

「……そういえば。洞窟の奥に、餞別とか言ってたっけ」

 洞窟の奥は行き止まり……だが、最近、不自然に岩を動かした跡があった。
 シャドウは岩をどかすと、その先に細い通路があった。
 先に進むとそこには……ハンガーラックに掛けられた、一着の衣装と、新しい装備一式が揃っていた。
 そして、サイドテーブルにはカバンと、数枚の書類。

「これは……」

 衣装には、手紙が挟んであった。

『オイラのお古を手直しした。一人前の証だ。おめーにやるよ』

 それは、黒いコートだった。
 フード付きで、口元を隠すマスクもあり、なぜか首に巻くロングマフラーもあった。
 コートの素材は非常に軽く、だが防刃繊維で作られているので耐久性もある。
 装備は、隠しブレードが付いた籠手、ブーツだ。ベルトには『夢幻』を装備できる穴もあり、苦無や手裏剣ホルスターも新品だ。
 シャドウはさっそく着替える。

「暗器……これも師匠のお古か」

 手を逸らすと、ブレードが飛び出す。つま先からもブレードが飛び出した。
 マフラーを巻くと、妙な違和感があった。

「これ……普通のマフラーじゃない」

 魔力を流すと、なんと自在に動き、伸びた。
 ハンゾウの手紙を見ると。

『籠手、爪先にはブレードが内臓されている。マフラーはオイラがこの世界に来たときの特典としてもらった『女神の羽衣』だ。魔力で自在に動かせて、硬度はもちろん、伸縮自在で、仮に破れても魔力ですぐに治る一品よ』
「すごい……」
 
 装備を着こみ、書類を確認する。
 カバンの中身を確認すると……なんと、底が届かないくらい広かった。

「な、なんだこのカバンは……!?」

 手紙を確認する。

『カバンも特典でな。アイテムボックスっていうカバンで、家一軒分くらいの収納になっている。まあ、アイテムボックスはフツーに売ってるから珍しいモンじゃねぇけどな』
「へぇ~……魔道具ってやつか」

 旅の道具は全て、アイテムボックスに入れた。
 そして、大きな包みがあったので開けると、大量の金貨が入っていた。

「すごいな……これだけあれば、数年は遊んで暮らせるぞ。まあ、そんなことしないが」

 財布もあったので金貨を数枚入れ、残りはアイテムボックスに入れた。
 そして、書類を確認する。
 まず驚いたのは、一枚目の書類が『爵位』の証明書だった。

「こ、これ……爵位!? アルマス王国貴族、クサナギ男爵って……」

 クオルデン王国の隣国、アルマス王国のクサナギ男爵の証明書だった。
 王国印が押されているので本物である。
 爵位には、別の手紙が添えられていた。

『シャドウ。この手紙を読んでいるってことは、オイラは死んだみてぇだな。オイラの目的……『黄昏旅団』の壊滅を頼んだぜ。まず、この爵位を持ってアルマス王国に行け。そこにあるクサナギ男爵の屋敷に、オイラの弟子がいるから、そいつに会え』
「クサナギ男爵って……本物なのか」
『お前には、クオルデン王国のクオルデン王立魔法学園に入ってもらう。そのための根回しは全てやっておいた。詳しい話はクサナギ男爵家で聞くこと』

 アルマス王国。
 他の書類を見ると、入国許可証や、クサナギ男爵家の紹介状などだった。
 これさえあれば、アルマス王国の出入りは自由だろう。

『最後に……めんどくっせぇ役目を押し付けてすまねえ。どうか、旅団の壊滅を頼む』

 シャドウは、師が残した手紙を、一字一字噛みしめるように読む。
 そして、文章の最後。

『それと……短い間だったが、お前と過ごした日々は最高だった。ありがとよ』

 シャドウは手紙を丁寧に畳み、ポケットに入れた。
 そして、師の墓に花を添え、酒を備え、静かに祈る。

「……師匠。俺も楽しかった……ありがとうございました」

 祈りを終え、シャドウは立ち上がり、洞窟を出る。
 そして、洞窟をしっかりと眺め、一礼。
 印を組み、地面に手を叩き付けた。

「土遁、『岩崩しの術』!!」

 洞窟を入口だけ倒壊させ、誰も入れないようにした。
 
「師匠、行ってきます……!!」
 
 頭を下げ、シャドウは歩き出す。
 向かうはアルマス王国にある、クサナギ男爵家。
 
「『黄昏旅団』は、残り二十人……やってやる」

 シャドウの新しい人生が、今始まった。
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