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第五章
闘技大会の申し込み
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リンドブルムにボロボロにされた俺は、フラつきながら部屋に戻った。
部屋にはマルセイがいる。何やら羊皮紙をジーっと見ていた。
「ん? ああ、おかえりリュウキくん」
「おお……何見てんだ?」
「なんかお疲れだね。ああ、これは『闘技大会』の申し込み書だよ。今年も始まったんだ」
「闘技大会……?」
「あはは。説明してあげるよ」
マルセイは、部屋の真ん中にあるテーブルに羊皮紙を置く。
俺も部屋の真ん中に移動し、羊皮紙を手に取った。
「闘技大会……冒険者登録をしている生徒なら全員が参加できる。内容は単純、一対一の真剣勝負さ」
「へぇ、わかりやすいな」
「うん。学園長がわかりやすい人だからねぇ……あんまり複雑な内容じゃないのさ」
「ふむふむ」
「それで、バトルは学年ごとに分けて行われる。新入生、二年生、三年生とじゃ力の差があるからね。そして、各学年の優勝者と、『学園最強』の二年生、三年生の五名で最終トーナメントが開催される。そして、学園の真の強者が決まるんだ」
「し、真の強者……?」
「うん。四天王は参加しないけどね」
「…………」
そういえば、二年生と三年生には四天王と学年最強が一人いるんだった。
「ああ、怪我しても安心だよ。この学園の保険医は優秀だからね」
「怪我はしたくないけどな」
「で、リュウキくんは参加するのかい?」
「んー」
レイとレノは参加するんだっけ。
俺はどうしようかな。
「ぼくも参加する。ふふふ、リュウキくんとは決勝で会うことになりそうだね」
「そ、そうだな……」
まぁ、参加してもいいか。
この学園にどれほどの強者がいるかわからないけど、力を試すチャンスだ。
◇◇◇◇◇◇
翌日。
授業前に、ホスホル先生が言った。
「え~、闘技大会の申し込みが始まりました。申し込みは明日まで受け付けてますので、参加者は応募用紙に記入して、先生のところまで出すように……では、授業を始めます」
あっさりした言い方だった。
クラスメイトたちはヒソヒソ話している。
「参加するか?」「でも四天王とかダサくね?」
「面白そうじゃん」「でもオレ後衛だし」「めんどくせぇ」
「見てる方がいいじゃん」「どうせAクラスのキルトが優勝だろ」
キルトか。
あいつも出るのかな。それに、プリメラもいる。
マルセイに言われて、俺も出ることにしたし……後でレノと一緒に応募用紙出すか。
そして、授業が終わり放課後。
俺はレノと一緒に、ホスホル先生のいる教員室に申し込み用紙を出した。
「はい、はい。レノくんにリュウキくん、参加ですね……はい、確認しました」
ホスホル先生は羊皮紙を受け取る。なんかやる気なさそうだ。
教員室を出ると、サリオがいた。
「出してきた?」
「ああ。ったく、やる気なさそうな先公だぜ」
「まぁまぁ。それより、放課後だしお茶でもしない? ぼく、喉乾いたんだよね」
「いいぜ。ショッピングモール行くか。リュウキは?」
「俺も行く。今日は休みだからな」
「休み?」
「ああ、こっちの話。行こうぜ」
今日は、リンドブルムとの訓練がお休みだ。
ショッピングモールへ行くと───うわ、出会ってしまった。
「よぉ、兄貴」
「キルトか」
キルトが、取り巻きを連れてショッピングモールの真ん中を堂々と歩いていた。
俺を見るなり嬉しそうに寄ってくる。
俺はため息を吐き、言う。
「俺はもうお前の兄貴じゃない。虫唾が走るから話しかけないでくれないか?」
「……あぁ?」
「で、何か用か?」
「……へ、まぁいい。それより、闘技大会へ出るんだろ?」
「ああ。お前もか?」
「まぁな。くくっ、楽しみにしておけ。お前を公開処刑してやる……なぁ、オレのスキルレベル、いくつだかわかるか?」
「……知らない」
「スキル『地水火風魔法』、レベル78だ。わかるか? オレは強者なんだよ」
「そのスキル、どうせイザベラが金で買ったスキルだろ? 公爵家の財布も無限じゃないのに、よく金があるな」
「うるっせぇぞ!! ま、魔力のないお前には関係ない。なぁプリメラ」
「ふふ、そうですね、キルト様」
プリメラ。
俺の元婚約者。化粧っけのない素朴な印象だったのに、今ではしっかり化粧をして、髪も巻いている。なんか臭いと思ったら、香水を付けているようだ。
「羨ましいか? なぁ兄貴。お前の女が、今はオレの女だ。なぁ?」
「はい。私はキルト様の物です……ふふふ」
「な、もう行っていいか? これからレノたちとお茶するんだ。行こうぜ」
「ああ」
「う、うん」
俺はもう無視することにした。
キルトの横を通ろうとすると、身体のデカい男が壁になる。
「まだ話は終わってねぇぞ」
「どいてくれ」
「嫌だね」
「───……どけ」
「ッ!?」
闘気に殺気を乗せて睨むと、男の顔色が変わり後ずさった。
すると、キルトは言う。
「兄貴、闘技大会が楽しみだなぁ!!」
「別に。まぁ、お前には負けないけどな」
「へ、言ってろ」
さて、話は終わったようだし、レノたちとお茶でもするか。
部屋にはマルセイがいる。何やら羊皮紙をジーっと見ていた。
「ん? ああ、おかえりリュウキくん」
「おお……何見てんだ?」
「なんかお疲れだね。ああ、これは『闘技大会』の申し込み書だよ。今年も始まったんだ」
「闘技大会……?」
「あはは。説明してあげるよ」
マルセイは、部屋の真ん中にあるテーブルに羊皮紙を置く。
俺も部屋の真ん中に移動し、羊皮紙を手に取った。
「闘技大会……冒険者登録をしている生徒なら全員が参加できる。内容は単純、一対一の真剣勝負さ」
「へぇ、わかりやすいな」
「うん。学園長がわかりやすい人だからねぇ……あんまり複雑な内容じゃないのさ」
「ふむふむ」
「それで、バトルは学年ごとに分けて行われる。新入生、二年生、三年生とじゃ力の差があるからね。そして、各学年の優勝者と、『学園最強』の二年生、三年生の五名で最終トーナメントが開催される。そして、学園の真の強者が決まるんだ」
「し、真の強者……?」
「うん。四天王は参加しないけどね」
「…………」
そういえば、二年生と三年生には四天王と学年最強が一人いるんだった。
「ああ、怪我しても安心だよ。この学園の保険医は優秀だからね」
「怪我はしたくないけどな」
「で、リュウキくんは参加するのかい?」
「んー」
レイとレノは参加するんだっけ。
俺はどうしようかな。
「ぼくも参加する。ふふふ、リュウキくんとは決勝で会うことになりそうだね」
「そ、そうだな……」
まぁ、参加してもいいか。
この学園にどれほどの強者がいるかわからないけど、力を試すチャンスだ。
◇◇◇◇◇◇
翌日。
授業前に、ホスホル先生が言った。
「え~、闘技大会の申し込みが始まりました。申し込みは明日まで受け付けてますので、参加者は応募用紙に記入して、先生のところまで出すように……では、授業を始めます」
あっさりした言い方だった。
クラスメイトたちはヒソヒソ話している。
「参加するか?」「でも四天王とかダサくね?」
「面白そうじゃん」「でもオレ後衛だし」「めんどくせぇ」
「見てる方がいいじゃん」「どうせAクラスのキルトが優勝だろ」
キルトか。
あいつも出るのかな。それに、プリメラもいる。
マルセイに言われて、俺も出ることにしたし……後でレノと一緒に応募用紙出すか。
そして、授業が終わり放課後。
俺はレノと一緒に、ホスホル先生のいる教員室に申し込み用紙を出した。
「はい、はい。レノくんにリュウキくん、参加ですね……はい、確認しました」
ホスホル先生は羊皮紙を受け取る。なんかやる気なさそうだ。
教員室を出ると、サリオがいた。
「出してきた?」
「ああ。ったく、やる気なさそうな先公だぜ」
「まぁまぁ。それより、放課後だしお茶でもしない? ぼく、喉乾いたんだよね」
「いいぜ。ショッピングモール行くか。リュウキは?」
「俺も行く。今日は休みだからな」
「休み?」
「ああ、こっちの話。行こうぜ」
今日は、リンドブルムとの訓練がお休みだ。
ショッピングモールへ行くと───うわ、出会ってしまった。
「よぉ、兄貴」
「キルトか」
キルトが、取り巻きを連れてショッピングモールの真ん中を堂々と歩いていた。
俺を見るなり嬉しそうに寄ってくる。
俺はため息を吐き、言う。
「俺はもうお前の兄貴じゃない。虫唾が走るから話しかけないでくれないか?」
「……あぁ?」
「で、何か用か?」
「……へ、まぁいい。それより、闘技大会へ出るんだろ?」
「ああ。お前もか?」
「まぁな。くくっ、楽しみにしておけ。お前を公開処刑してやる……なぁ、オレのスキルレベル、いくつだかわかるか?」
「……知らない」
「スキル『地水火風魔法』、レベル78だ。わかるか? オレは強者なんだよ」
「そのスキル、どうせイザベラが金で買ったスキルだろ? 公爵家の財布も無限じゃないのに、よく金があるな」
「うるっせぇぞ!! ま、魔力のないお前には関係ない。なぁプリメラ」
「ふふ、そうですね、キルト様」
プリメラ。
俺の元婚約者。化粧っけのない素朴な印象だったのに、今ではしっかり化粧をして、髪も巻いている。なんか臭いと思ったら、香水を付けているようだ。
「羨ましいか? なぁ兄貴。お前の女が、今はオレの女だ。なぁ?」
「はい。私はキルト様の物です……ふふふ」
「な、もう行っていいか? これからレノたちとお茶するんだ。行こうぜ」
「ああ」
「う、うん」
俺はもう無視することにした。
キルトの横を通ろうとすると、身体のデカい男が壁になる。
「まだ話は終わってねぇぞ」
「どいてくれ」
「嫌だね」
「───……どけ」
「ッ!?」
闘気に殺気を乗せて睨むと、男の顔色が変わり後ずさった。
すると、キルトは言う。
「兄貴、闘技大会が楽しみだなぁ!!」
「別に。まぁ、お前には負けないけどな」
「へ、言ってろ」
さて、話は終わったようだし、レノたちとお茶でもするか。
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