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悪役令嬢を婚約破棄する王子のお話
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とある王国のパーティー会場。
王子ディランに寄り添うのは、男爵令嬢のアマーリエ。
ディランの目の前にいるのは、趣味の悪い扇子片手にディランを見ている悪役令嬢フローレンスだ。
先ほど、ディラン王子の友人たちは、アマーリエに対する数々の嫌がらせを行為を行ってきたフローレンスの罪を、このパーティー会場で暴露したのである。
寄り添うアマーリエはさめざめと泣き、ディランは怒りで歯を食いしばる。
そして……フローレンスに指を突き付けた。
「キミには失望した。フローレンス、キミとの婚約を破───」
ビキィ!!
ディランの頭に激痛が走った。
そして、知らない記憶が呼び起こされる───。
「ぐ、おぉぉ……? こ、これ、は……?」
「ディランさま!?」
「おいディラン、どうした!?」
「…………」
ディランは、アマーリエを見た。そして、友人たち、パーティー会場内……最後に、なぜか目を見開くフローレンス。
ディランは、慌てて手を振った。
「ちょ、待った!! 待った待った!! 今のはなしだ!!」
「「「「「は?」」」」」
「婚約破棄はしない。少し考えさせてくれ!!」
「え、な、ディランさま!? 一体何を」
「アマーリエ……すまん、ちょっと頭が痛い。この話はまた今度!!」
そう言って、ディランはパーティー会場を飛び出した。
残されたアマーリエ、友人たち、そして……フローレンス。
全員、「?」マークを浮かべ首を傾げていた。
◇◇◇◇◇◇
ディランは、自室に向かいベッドに飛び込んだ。
そして、思い出したことを整理する。
「嘘だろおい。これ、乙女ゲームの世界……? ディラン王子って、あのアホ王子の? 悪役令嬢を婚約破棄して、アマーリエと結婚して……のちに、敵国の皇太子妃になったフローレンスが盛大に『ざまぁ』する乙女ゲーム……噓だろ、マジかよ」
彼はディラン。そして……前世の記憶を取り戻した乙女ゲームマニア。笹山藤次だった。
ざまぁ好きの笹山藤次は、乙女ゲームのやりすぎで脳卒中を起こし死亡。ディランとして二度目の生を受けた……が、記憶を取り戻したのがついさっき。まさに追放イベントの真っ最中だった。
追放寸前で記憶を取り戻し、直感で『これは追放したらヤバい』と察し、逃げるように自室へ。
自分がディランで、寄り添っていたのがアマーリエ、悪役令嬢役がフローレンスと知り、この乙女ゲーム世界を思い出したのである。ちなみにフローレンスは主人公。追放された先の敵国で物語がスタートする。
「王子!! 大丈夫ですか王子!!」
「だ、大丈夫です。じゃなくて、大丈夫。すまん、ちょっと着替えてるから待ってて!!」
なんとも王子らしくない返事をしてしまった。
部屋の外には、同級生のイケメン(モブイケメン)たちが集まり、執事やらメイドやらも心配している。
さて、どうしたものか。
「…………やばい。アマーリエと結婚したら国が終わる。ってかアマーリエ、執務もできないし買い物ばっかりして国の財政圧迫させるんだよな。ディランも次期国王なのにアホキャラだし。フローレンスはキツイこと言うけど全部国のためだし、フローレンスが王妃になればこの国も安泰……だよな? やべぇやべぇ、アマーリエはあり得ないけどフローレンス?……待てよ。ディランは十七、フローレンスも十七か。うーん……このまま結婚したら十代と……うひひ。いいな。ぶっちゃけディランだけど意識は笹山藤次だしね。うんうん。フローレンスは美人だし、ゲーム内じゃ悪役令嬢だけど、敵国では優しい聖女様扱いなんだよな。今はドリルヘアーだけど髪型変えてサラサラストレートヘアになるし、スタイル抜群だし……アマーリエはつるぺただし……俺、巨乳好き。うん決めた」
ディランはベッドから起きる。
そして、自室のドアを開けた。
「ディランさま!」「ディラン、大丈夫か?」
「これもフローレンスのせいか」「ったく、この悪女め!!」
なぜか、団体の隅にいたフローレンスの責任になりそうだった。
アマーリエは無い胸を押し付けてくる……肋骨がゴリゴリ当たって痛い。
ディランは、アマーリエから離れた。
そして、ゲーム知識をフル稼働させる。
「すまないみんな。どうやら……俺は間違っていたようだ」
「「「「「は?」」」」」
「アマーリエ」
「は、はい」
「すまん。お前とは結婚できない」
「は?」
「お前、フローレンスに嫌がらせされたって言ってたよな? あれ、よく考えたらさ……お前の証言ばかりで、証拠が一つもないじゃん。それを信じる俺は馬鹿だし、お前ら全員アホだ」
「「「「え……」」」」
ディランの友人たちは絶句。ちなみにこいつらは全員アマーリエ信者である。
「フローレンス」
「……なんでしょうか」
「すまん。お前を信じてやれなかった。これからはちゃんとお前の話を聞くし、愛を深めたいと思う。俺の婚約者として、これからもよろしく頼む」
ディランこと笹山藤次はフローレンスを見た。
胸元を強調するドレスのおかげで谷間がくっきり見える。腰も細く、顔立ちも非常に整っている。ドリルヘアさえやめればかなりの美少女だ。
フローレンスは、頭を押さえている。
「まるで別人のような心変わり……ディラン様、一体何があったのです?」
「真実の愛に目覚めたのさ。これも神のおかげかな」
「…………」
「でぃ、ディランさま!? わ、私と結婚するって話は!?」
「すまん……金ならいくらでも払う。諦めてくれ」
「きぃぃぃぃぃぃっ!!」
アマーリエは発狂し倒れてしまった。
信者たちに運ばれ医務室へ。残されたのはフローレンスとディランの二人。
フローレンスは、疑わしげにディランを見た。
「正直、混乱していますが……信じてよいのですね?」
「ああ!! じゃあ、エンディングといくか!!」
「えんでぃんぐ?」
こうして、フローレンスはディランと改めて婚約した。
ディランはフローレンスの信頼を勝ち取るために勉学に励み、乙女ゲームの知識と現代技術を駆使して王国を発展させる。
敵国にいる王子や攻略対象のイケメンたちに悪いと思いつつ、ディランはフローレンスとの生活(夜含む)を思いっきり楽しんだとさ。
─完─
王子ディランに寄り添うのは、男爵令嬢のアマーリエ。
ディランの目の前にいるのは、趣味の悪い扇子片手にディランを見ている悪役令嬢フローレンスだ。
先ほど、ディラン王子の友人たちは、アマーリエに対する数々の嫌がらせを行為を行ってきたフローレンスの罪を、このパーティー会場で暴露したのである。
寄り添うアマーリエはさめざめと泣き、ディランは怒りで歯を食いしばる。
そして……フローレンスに指を突き付けた。
「キミには失望した。フローレンス、キミとの婚約を破───」
ビキィ!!
ディランの頭に激痛が走った。
そして、知らない記憶が呼び起こされる───。
「ぐ、おぉぉ……? こ、これ、は……?」
「ディランさま!?」
「おいディラン、どうした!?」
「…………」
ディランは、アマーリエを見た。そして、友人たち、パーティー会場内……最後に、なぜか目を見開くフローレンス。
ディランは、慌てて手を振った。
「ちょ、待った!! 待った待った!! 今のはなしだ!!」
「「「「「は?」」」」」
「婚約破棄はしない。少し考えさせてくれ!!」
「え、な、ディランさま!? 一体何を」
「アマーリエ……すまん、ちょっと頭が痛い。この話はまた今度!!」
そう言って、ディランはパーティー会場を飛び出した。
残されたアマーリエ、友人たち、そして……フローレンス。
全員、「?」マークを浮かべ首を傾げていた。
◇◇◇◇◇◇
ディランは、自室に向かいベッドに飛び込んだ。
そして、思い出したことを整理する。
「嘘だろおい。これ、乙女ゲームの世界……? ディラン王子って、あのアホ王子の? 悪役令嬢を婚約破棄して、アマーリエと結婚して……のちに、敵国の皇太子妃になったフローレンスが盛大に『ざまぁ』する乙女ゲーム……噓だろ、マジかよ」
彼はディラン。そして……前世の記憶を取り戻した乙女ゲームマニア。笹山藤次だった。
ざまぁ好きの笹山藤次は、乙女ゲームのやりすぎで脳卒中を起こし死亡。ディランとして二度目の生を受けた……が、記憶を取り戻したのがついさっき。まさに追放イベントの真っ最中だった。
追放寸前で記憶を取り戻し、直感で『これは追放したらヤバい』と察し、逃げるように自室へ。
自分がディランで、寄り添っていたのがアマーリエ、悪役令嬢役がフローレンスと知り、この乙女ゲーム世界を思い出したのである。ちなみにフローレンスは主人公。追放された先の敵国で物語がスタートする。
「王子!! 大丈夫ですか王子!!」
「だ、大丈夫です。じゃなくて、大丈夫。すまん、ちょっと着替えてるから待ってて!!」
なんとも王子らしくない返事をしてしまった。
部屋の外には、同級生のイケメン(モブイケメン)たちが集まり、執事やらメイドやらも心配している。
さて、どうしたものか。
「…………やばい。アマーリエと結婚したら国が終わる。ってかアマーリエ、執務もできないし買い物ばっかりして国の財政圧迫させるんだよな。ディランも次期国王なのにアホキャラだし。フローレンスはキツイこと言うけど全部国のためだし、フローレンスが王妃になればこの国も安泰……だよな? やべぇやべぇ、アマーリエはあり得ないけどフローレンス?……待てよ。ディランは十七、フローレンスも十七か。うーん……このまま結婚したら十代と……うひひ。いいな。ぶっちゃけディランだけど意識は笹山藤次だしね。うんうん。フローレンスは美人だし、ゲーム内じゃ悪役令嬢だけど、敵国では優しい聖女様扱いなんだよな。今はドリルヘアーだけど髪型変えてサラサラストレートヘアになるし、スタイル抜群だし……アマーリエはつるぺただし……俺、巨乳好き。うん決めた」
ディランはベッドから起きる。
そして、自室のドアを開けた。
「ディランさま!」「ディラン、大丈夫か?」
「これもフローレンスのせいか」「ったく、この悪女め!!」
なぜか、団体の隅にいたフローレンスの責任になりそうだった。
アマーリエは無い胸を押し付けてくる……肋骨がゴリゴリ当たって痛い。
ディランは、アマーリエから離れた。
そして、ゲーム知識をフル稼働させる。
「すまないみんな。どうやら……俺は間違っていたようだ」
「「「「「は?」」」」」
「アマーリエ」
「は、はい」
「すまん。お前とは結婚できない」
「は?」
「お前、フローレンスに嫌がらせされたって言ってたよな? あれ、よく考えたらさ……お前の証言ばかりで、証拠が一つもないじゃん。それを信じる俺は馬鹿だし、お前ら全員アホだ」
「「「「え……」」」」
ディランの友人たちは絶句。ちなみにこいつらは全員アマーリエ信者である。
「フローレンス」
「……なんでしょうか」
「すまん。お前を信じてやれなかった。これからはちゃんとお前の話を聞くし、愛を深めたいと思う。俺の婚約者として、これからもよろしく頼む」
ディランこと笹山藤次はフローレンスを見た。
胸元を強調するドレスのおかげで谷間がくっきり見える。腰も細く、顔立ちも非常に整っている。ドリルヘアさえやめればかなりの美少女だ。
フローレンスは、頭を押さえている。
「まるで別人のような心変わり……ディラン様、一体何があったのです?」
「真実の愛に目覚めたのさ。これも神のおかげかな」
「…………」
「でぃ、ディランさま!? わ、私と結婚するって話は!?」
「すまん……金ならいくらでも払う。諦めてくれ」
「きぃぃぃぃぃぃっ!!」
アマーリエは発狂し倒れてしまった。
信者たちに運ばれ医務室へ。残されたのはフローレンスとディランの二人。
フローレンスは、疑わしげにディランを見た。
「正直、混乱していますが……信じてよいのですね?」
「ああ!! じゃあ、エンディングといくか!!」
「えんでぃんぐ?」
こうして、フローレンスはディランと改めて婚約した。
ディランはフローレンスの信頼を勝ち取るために勉学に励み、乙女ゲームの知識と現代技術を駆使して王国を発展させる。
敵国にいる王子や攻略対象のイケメンたちに悪いと思いつつ、ディランはフローレンスとの生活(夜含む)を思いっきり楽しんだとさ。
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ギリギリセーフ!
まあ、アマーリエさんは他の誰かと上手くやってください。
……ちょいと吹き込んで敵国に送れば、勝手に傾国してくれたりして。
ウォっと!
さとうさん、とうとう恋愛カテゴリに踏み込みましたか、、、w
ゆるゆると読ませていただきます。