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第118話・二つの依頼
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翌日、ライトたちは冒険者ギルドにやってきた。
理由はモチロン、情報集めと修行だ。シンクの目的である『八相』の居場所を探すため、冒険者たちから話を聞いたり、依頼でそれらしきものはないか探す。
ライト、リン、マリア、そして変装させたシンクの四人で、冒険者ギルドの依頼掲示板をのぞき込む。
「……家の雪掻き、除雪手伝い、暖房器具の修理、燃料の魔石収拾……どれもこれも、雪国ならではの依頼って感じだな」
「盗賊とか、危険な魔獣とかはありませんの?」
「うーん……めぼしいのは取られちゃったかなぁ」
「えー……ボク、戦いたいのに」
端から見れば、若い少年少女の冒険者グループだろう。
だが、実際は違う。大罪神器【暴食】・【色欲】・【嫉妬】の三人と、元勇者であるリンだ。実力だけなら最強クラス、並の盗賊や賞金首では相手にならない。
すると、ライトが掲示板の隅にある依頼書を見つけた。
「お、見ろよ。大型危険魔獣『アバランチ』の討伐だってよ」
「こっちにはA級盗賊団『雪楼』の討伐依頼があるわ」
「んー……また分かれてやるか」
「いいけど……チーム分けはどうする?」
「リンに任せる。お前たちもそれでいいか?」
「かまいませんわ」
「ボクもいいよ。戦えればなんでもいいー」
「え……」
ライト、マリア、シンクの視線はリンへ向く。
いきなり話を振られたリンはどうすればいいのかと慌てる。チーム分けなどやったことがない。
「リン、お前は俺たちのリーダーなんだ。上手く分けてくれよ」
「ちょ、いつから私がリーダーになったのよ!」
「最初からだって。なぁ?」
「ええ。リンはリーダーですわ」
「リン、リーダー」
「っく……もう、わかったわよ」
リンは、2枚の依頼書を見比べる。
一つは、魔獣退治。もう一つは盗賊退治。
アバランチなる魔獣がどのような生物かわからないが、盗賊団は複数であることは間違いない。
仲間の戦力。ライトは中距離系、マリアは近~中距離、シンクは接近系、リンは万能系……ライトとシンクを分け、マリアとリンをサポートに付けるべきか。
シンクは、戦ったコトはあるが、味方目線でどのような戦いをするかわからない。ここは万能系のリンが補助に付くべきかもしれない。
「……よし。ライトとマリアが魔獣退治。私とシンクが盗賊退治ね」
「わかった。じゃあ依頼を受けてさっそく始めるか」
「そうですわね。アバランチなる魔獣の位置は?」
「依頼書には目撃情報がある。距離もそう遠くないし、いくつか回ろう」
「わかりましたわ」
「リン、ボクたちもいこう」
「え、ええ」
文句一つ言わず、ライトたちは歩き出した。
◇◇◇◇◇◇
依頼を受け、パーティーを分けた。
馬車はライトたちが使い、アバランチなる魔獣の目撃情報があった場所をしらみつぶしに移動した。
恐らく、数日はかかる。
食料もあるので、野営は問題ない。この日は、目撃情報があった洞穴に馬車を止め、ライトとマリアは野営することにした。
食事は、パンと肉を挟んで適当に済ませ、ライトは先に一眠り。
夜になってライトは起き、マリアと交代して野営をする。
布団に入る前、マリアは言った。
「優しいのですね」
「あ?」
「毎回思っていましたが……あなた、野営は必ず夜ですわね」
「……まぁな」
「もしかして、わたしとリンを気遣ったのかしら?」
「……さーな」
女性には、なるべく規則正しい生活をしてほしい。そう思っていたのは間違いない。夜はやはり眠ってほしいと思う。
ライトはそれ以上何も言わなかった。
「……おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
マリアも何も聴かず、毛布を被って火の側で眠りに付く。
これが、二人の距離。恋愛などではない、信頼の証だった。
◇◇◇◇◇◇
「ねぇねぇ、八相の情報教えて?」
「ひ、ひぃぃ……っ」
シンクは、構成員50人を超えるA級賞金首や盗賊団を、たった一人で鎮圧した。
リンが止める間もなく、アジトを見つけるとすぐに飛び込み、リンがアジト内に踏み込んだときは、虐殺現場のような光景が広がっていた。
「シンク……」
「あ、リン。ごめんね、もうこの人しか残ってないの」
シンクが掴んでいたのは、A級賞金首。
無邪気な笑顔で、ズタズタに引き裂かれ血が流れている賞金首をリンに差し出したので、リンは慌てて治療する。
「シンク、もう一人で勝手に行かないこと、いい?」
「なんで?」
「いいから、ね?」
「はーい」
シンクは、話せばわかる素直な子……この時は、そう思っていた。
理由はモチロン、情報集めと修行だ。シンクの目的である『八相』の居場所を探すため、冒険者たちから話を聞いたり、依頼でそれらしきものはないか探す。
ライト、リン、マリア、そして変装させたシンクの四人で、冒険者ギルドの依頼掲示板をのぞき込む。
「……家の雪掻き、除雪手伝い、暖房器具の修理、燃料の魔石収拾……どれもこれも、雪国ならではの依頼って感じだな」
「盗賊とか、危険な魔獣とかはありませんの?」
「うーん……めぼしいのは取られちゃったかなぁ」
「えー……ボク、戦いたいのに」
端から見れば、若い少年少女の冒険者グループだろう。
だが、実際は違う。大罪神器【暴食】・【色欲】・【嫉妬】の三人と、元勇者であるリンだ。実力だけなら最強クラス、並の盗賊や賞金首では相手にならない。
すると、ライトが掲示板の隅にある依頼書を見つけた。
「お、見ろよ。大型危険魔獣『アバランチ』の討伐だってよ」
「こっちにはA級盗賊団『雪楼』の討伐依頼があるわ」
「んー……また分かれてやるか」
「いいけど……チーム分けはどうする?」
「リンに任せる。お前たちもそれでいいか?」
「かまいませんわ」
「ボクもいいよ。戦えればなんでもいいー」
「え……」
ライト、マリア、シンクの視線はリンへ向く。
いきなり話を振られたリンはどうすればいいのかと慌てる。チーム分けなどやったことがない。
「リン、お前は俺たちのリーダーなんだ。上手く分けてくれよ」
「ちょ、いつから私がリーダーになったのよ!」
「最初からだって。なぁ?」
「ええ。リンはリーダーですわ」
「リン、リーダー」
「っく……もう、わかったわよ」
リンは、2枚の依頼書を見比べる。
一つは、魔獣退治。もう一つは盗賊退治。
アバランチなる魔獣がどのような生物かわからないが、盗賊団は複数であることは間違いない。
仲間の戦力。ライトは中距離系、マリアは近~中距離、シンクは接近系、リンは万能系……ライトとシンクを分け、マリアとリンをサポートに付けるべきか。
シンクは、戦ったコトはあるが、味方目線でどのような戦いをするかわからない。ここは万能系のリンが補助に付くべきかもしれない。
「……よし。ライトとマリアが魔獣退治。私とシンクが盗賊退治ね」
「わかった。じゃあ依頼を受けてさっそく始めるか」
「そうですわね。アバランチなる魔獣の位置は?」
「依頼書には目撃情報がある。距離もそう遠くないし、いくつか回ろう」
「わかりましたわ」
「リン、ボクたちもいこう」
「え、ええ」
文句一つ言わず、ライトたちは歩き出した。
◇◇◇◇◇◇
依頼を受け、パーティーを分けた。
馬車はライトたちが使い、アバランチなる魔獣の目撃情報があった場所をしらみつぶしに移動した。
恐らく、数日はかかる。
食料もあるので、野営は問題ない。この日は、目撃情報があった洞穴に馬車を止め、ライトとマリアは野営することにした。
食事は、パンと肉を挟んで適当に済ませ、ライトは先に一眠り。
夜になってライトは起き、マリアと交代して野営をする。
布団に入る前、マリアは言った。
「優しいのですね」
「あ?」
「毎回思っていましたが……あなた、野営は必ず夜ですわね」
「……まぁな」
「もしかして、わたしとリンを気遣ったのかしら?」
「……さーな」
女性には、なるべく規則正しい生活をしてほしい。そう思っていたのは間違いない。夜はやはり眠ってほしいと思う。
ライトはそれ以上何も言わなかった。
「……おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
マリアも何も聴かず、毛布を被って火の側で眠りに付く。
これが、二人の距離。恋愛などではない、信頼の証だった。
◇◇◇◇◇◇
「ねぇねぇ、八相の情報教えて?」
「ひ、ひぃぃ……っ」
シンクは、構成員50人を超えるA級賞金首や盗賊団を、たった一人で鎮圧した。
リンが止める間もなく、アジトを見つけるとすぐに飛び込み、リンがアジト内に踏み込んだときは、虐殺現場のような光景が広がっていた。
「シンク……」
「あ、リン。ごめんね、もうこの人しか残ってないの」
シンクが掴んでいたのは、A級賞金首。
無邪気な笑顔で、ズタズタに引き裂かれ血が流れている賞金首をリンに差し出したので、リンは慌てて治療する。
「シンク、もう一人で勝手に行かないこと、いい?」
「なんで?」
「いいから、ね?」
「はーい」
シンクは、話せばわかる素直な子……この時は、そう思っていた。
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追記:2025/09/20
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