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第123話、炎と氷
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シンクの四肢が真っ赤に染まる。四肢の熱を自在に操る第三階梯・『四肢焦熱』によるものだ。ライトたちの位置ではシンクと第二相の戦いが見えない。だが、ここで姿を現せば標的になる可能性がある。
もちろん、シンクが劣勢になれば手を出すつもりだ。
だが、今はその時では無い。姿が見えないということは、相手の不意を突けると言う事だ。第二相という怪物相手に、正々堂々などマヌケのすることだ。
ライトは、影の中で舌打ちをする。
「チッ……ここからじゃ見えないな」
「でも、外に出たら第二相にバレちゃう。第二相の姿は見た?」
「わたし、少しだけ見えましたわ……蒼い肌をした女性、だったような」
「人間か……カドゥケウス」
ライトはカドゥケウスを抜く。
『ああ。間違いなく第二相とやらは『元・人間』だ。女神を死ぬほど憎んだせいで、女神から与えられたギフトが暴走した成れの果てってやつだな』
『憐れねぇ……大罪神器だったらそんなことないのに。むしろ大歓迎!』
「シャルティナ、外の様子はわかります?」
『んー、見えないわ。外に出ちゃったら? なんか吹雪も収まってるみたいだしー』
「……シンクが戦ってるんだな」
ライトは、天井を見る。
影の天井から見えるのは、氷の城の天井だ。蒼く透き通った天井は、氷とは思えないほど美しい。彫刻を施したわけでもないのに、複雑な紋様も刻まれている。
「…………」
『相棒、心配なのか? 大罪神器の同族といえ、相棒の四肢を千切ろうとした怪物なんだぜ?』
「それを言うなら俺だって怪物だ。セエレを殺したときは本当に気持ち良かったし……あの快感が忘れられない」
『ほぉぉ……反芻反芻、いい味がするぜぇ? 相棒ぉぉ~……』
「ははは……不思議だな。俺、シンクのこと嫌いじゃない……むしろ、けっこう好きかもな」
そう言うと、リンとマリアがライトを見た。
カドゥケウスも、意外そうに聞く。
『おいおい、あんなちんちくりんが相棒の好みなのか? 肉付きも薄い、食い応えのなさそうな奴を抱きたいとはねぇ……』
「アホ、そんなんじゃねぇよ。なんというか……放っておけない。ああもう、そうだよ、俺はあいつに死んでほしくない……その、仲間だし」
『は?…………はぁぁ? はぁぁぁぁ? な、仲間……仲間だとよ!! おい聞いたかリンの嬢ちゃん、マリアの嬢ちゃん、相棒が仲間だとよ!!』
「だ、黙れこの!!」
ライトはカドゥケウスを拳でガツガツ殴る。だが、リンとマリアは茶化さなかった。それどころか、嬉しそうに笑う。
「そうだね。シンクは……私たちの仲間だね」
「ええ。放っておけない気持ち、わかりますわ。あの子、強いけど危なっかしいですし……とても可愛らしく笑いますの」
『あらら、マリアまで……』
ライトは苦笑し、リンとマリアは微笑む。
復讐しかなかったライトの心は、少しずつ温かい気持ちに満たされていく。
ライトは数発の祝福弾を手に乗せた。
「レグルス、ウィネ……こいつらと一緒にいた時みたいな気持ちになれるんだ。もちろん、復讐は忘れない。大事なことを思い出した」
『…………んん~、腹一杯もいいけど、たまには上品なのもいいねぇ』
「あ?」
『相棒、がむしゃらに喰い散らかす相棒も好きだけど、お上品に笑って食べる相棒も嫌いじゃないぜ?』
「……ふん、ありがとよ」
ライトは、カドゥケウスを右手でコツコツ叩く。
そして、カドゥケウスは言った。
『認めてやるよ相棒、第四階梯だ』
◇◇◇◇◇◇
『あらら、あららら? 寒くないの?』
「うん」
第二相クレッセンドの周囲には氷の柱が何本も立っていた。そして、その柱を中心に吹雪が舞い、柱を自在に操りシンクに打撃を加えている……が、全ての氷柱をシンクは躱し、受け止めている。
だが、吹雪を纏っている氷柱を受け止めたことで、シンクの身体は酷い凍傷にかかっている。本人は温度を感じていないので全く気にしていないが。
『ふふふ、うふふふふ。もっと躍りましょう? 楽しく楽しく、躍りましょう?』
「やだ。さっさと四肢をちょうだい? 早く終わらせてお鍋食べたいの」
シンクは巨大な爪をガパッと開き射出、ワイヤーアームが第二相クレッセンドに向けて飛ぶ。
だが、氷の床から氷柱が迫り上がり、ワイヤーアームはあっさり弾かれる。
「ネイルダーツ」
だが、まだ終わりじゃない。
弾かれた爪、指の部分が分離し、小さなミサイルとなって第二相クレッセンドを襲う。これには驚いたのか、目を見開くクレッセンド。
『やん、野蛮』
すると、クレッセンドに触れるか触れないかの位置まで来た指が凍り付き、床にパラパラと落ちた。
シンクは片手を失ったが、その程度では止まらない。
腕を射出すると同時に駆けだし、クレッセンドの懐に潜ろうとした……が、何本もの氷柱がクレッセンドを守るように迫り上がる。
「ッチ……うざい」
『うふふふふ。砕けるかしら?』
「やる」
シンクは左手を突き出し、掌から発射口を出して向ける。
「ハドロンブラスター」
掌から高出力のエネルギー砲が放たれるが……氷柱にあっさり弾かれた。
これが第二相クレッセンド・ロッテンマイヤー。
「強いね」
『そう? 強さなんてどうでもいいの。私と遊んでくれればいいの。ねぇねぇまだ壊れちゃダメよ? 楽しいダンスは始まったばかり♪』
氷柱が迫り上がり、その上でクレッセンドは踊っていた。
最強の魔獣『八相』の一角は伊達ではない。
「…………狩る」
シンクは、持てる全ての武装を解放した。
もちろん、シンクが劣勢になれば手を出すつもりだ。
だが、今はその時では無い。姿が見えないということは、相手の不意を突けると言う事だ。第二相という怪物相手に、正々堂々などマヌケのすることだ。
ライトは、影の中で舌打ちをする。
「チッ……ここからじゃ見えないな」
「でも、外に出たら第二相にバレちゃう。第二相の姿は見た?」
「わたし、少しだけ見えましたわ……蒼い肌をした女性、だったような」
「人間か……カドゥケウス」
ライトはカドゥケウスを抜く。
『ああ。間違いなく第二相とやらは『元・人間』だ。女神を死ぬほど憎んだせいで、女神から与えられたギフトが暴走した成れの果てってやつだな』
『憐れねぇ……大罪神器だったらそんなことないのに。むしろ大歓迎!』
「シャルティナ、外の様子はわかります?」
『んー、見えないわ。外に出ちゃったら? なんか吹雪も収まってるみたいだしー』
「……シンクが戦ってるんだな」
ライトは、天井を見る。
影の天井から見えるのは、氷の城の天井だ。蒼く透き通った天井は、氷とは思えないほど美しい。彫刻を施したわけでもないのに、複雑な紋様も刻まれている。
「…………」
『相棒、心配なのか? 大罪神器の同族といえ、相棒の四肢を千切ろうとした怪物なんだぜ?』
「それを言うなら俺だって怪物だ。セエレを殺したときは本当に気持ち良かったし……あの快感が忘れられない」
『ほぉぉ……反芻反芻、いい味がするぜぇ? 相棒ぉぉ~……』
「ははは……不思議だな。俺、シンクのこと嫌いじゃない……むしろ、けっこう好きかもな」
そう言うと、リンとマリアがライトを見た。
カドゥケウスも、意外そうに聞く。
『おいおい、あんなちんちくりんが相棒の好みなのか? 肉付きも薄い、食い応えのなさそうな奴を抱きたいとはねぇ……』
「アホ、そんなんじゃねぇよ。なんというか……放っておけない。ああもう、そうだよ、俺はあいつに死んでほしくない……その、仲間だし」
『は?…………はぁぁ? はぁぁぁぁ? な、仲間……仲間だとよ!! おい聞いたかリンの嬢ちゃん、マリアの嬢ちゃん、相棒が仲間だとよ!!』
「だ、黙れこの!!」
ライトはカドゥケウスを拳でガツガツ殴る。だが、リンとマリアは茶化さなかった。それどころか、嬉しそうに笑う。
「そうだね。シンクは……私たちの仲間だね」
「ええ。放っておけない気持ち、わかりますわ。あの子、強いけど危なっかしいですし……とても可愛らしく笑いますの」
『あらら、マリアまで……』
ライトは苦笑し、リンとマリアは微笑む。
復讐しかなかったライトの心は、少しずつ温かい気持ちに満たされていく。
ライトは数発の祝福弾を手に乗せた。
「レグルス、ウィネ……こいつらと一緒にいた時みたいな気持ちになれるんだ。もちろん、復讐は忘れない。大事なことを思い出した」
『…………んん~、腹一杯もいいけど、たまには上品なのもいいねぇ』
「あ?」
『相棒、がむしゃらに喰い散らかす相棒も好きだけど、お上品に笑って食べる相棒も嫌いじゃないぜ?』
「……ふん、ありがとよ」
ライトは、カドゥケウスを右手でコツコツ叩く。
そして、カドゥケウスは言った。
『認めてやるよ相棒、第四階梯だ』
◇◇◇◇◇◇
『あらら、あららら? 寒くないの?』
「うん」
第二相クレッセンドの周囲には氷の柱が何本も立っていた。そして、その柱を中心に吹雪が舞い、柱を自在に操りシンクに打撃を加えている……が、全ての氷柱をシンクは躱し、受け止めている。
だが、吹雪を纏っている氷柱を受け止めたことで、シンクの身体は酷い凍傷にかかっている。本人は温度を感じていないので全く気にしていないが。
『ふふふ、うふふふふ。もっと躍りましょう? 楽しく楽しく、躍りましょう?』
「やだ。さっさと四肢をちょうだい? 早く終わらせてお鍋食べたいの」
シンクは巨大な爪をガパッと開き射出、ワイヤーアームが第二相クレッセンドに向けて飛ぶ。
だが、氷の床から氷柱が迫り上がり、ワイヤーアームはあっさり弾かれる。
「ネイルダーツ」
だが、まだ終わりじゃない。
弾かれた爪、指の部分が分離し、小さなミサイルとなって第二相クレッセンドを襲う。これには驚いたのか、目を見開くクレッセンド。
『やん、野蛮』
すると、クレッセンドに触れるか触れないかの位置まで来た指が凍り付き、床にパラパラと落ちた。
シンクは片手を失ったが、その程度では止まらない。
腕を射出すると同時に駆けだし、クレッセンドの懐に潜ろうとした……が、何本もの氷柱がクレッセンドを守るように迫り上がる。
「ッチ……うざい」
『うふふふふ。砕けるかしら?』
「やる」
シンクは左手を突き出し、掌から発射口を出して向ける。
「ハドロンブラスター」
掌から高出力のエネルギー砲が放たれるが……氷柱にあっさり弾かれた。
これが第二相クレッセンド・ロッテンマイヤー。
「強いね」
『そう? 強さなんてどうでもいいの。私と遊んでくれればいいの。ねぇねぇまだ壊れちゃダメよ? 楽しいダンスは始まったばかり♪』
氷柱が迫り上がり、その上でクレッセンドは踊っていた。
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「…………狩る」
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