21 / 57
聖女の襲撃
しおりを挟む
ヤヌズの町から出発した俺とヒジリは、街道を歩いていた。
マジョリーたちを倒して数時間……最初は無言で歩いていたが、これまでの情報を整理するため、俺とヒジリは話しながら歩く。
「俺のこと、聖女の希望とか言ってたな」
「はい。推測ですが、主は聖女にとって特別な存在ということです」
「まぁ……特別っちゃ特別か」
聖女の胎から生まれた唯一の『男』だしな。
でも俺、魔力は少ししかないし、聖女みたいに何かに特化した魔法を使えるわけじゃない。
こんな俺が希望とか……わけわからん。
「主、これからは聖女にも気を付けるべきかと」
「ああ。どこに聖女がいるかわから───」
「主?」
俺は立ち止まる。
ヒジリも止まり、俺を見ていた。
俺は前を見て気が付いた。
「…………あの感じ、聖女か」
『鷹の目』で前方を確認。
距離1500。女が二人。服装や挙動で一般人ではないと判断する。
俺はヒジリに聞く。
「ヒジリ、頼みがある」
「何なりとお申し付けください」
「距離1500。たぶん聖女が二人いる」
「───さすがに、見えません。主が言うなら間違いないでしょう」
「ああ。そこでお前に頼みだ……いいか?」
「はい」
さっそく、俺はヒジリに『お願い』をした。
◇◇◇◇◇◇
ヒジリは一人、街道を歩いていた。
街道の先にいたのは……二人の女性だ。
一人は、落ち着きを感じさせる長い灰髪。もう一人は活発そうな短髪の女性だ。
「おい、お前」
すると……短髪の女性が、ヒジリを呼び止めた。
ヒジリは返事をせずに立ち止まる。
「お前、一人か?」
「はい。私は冒険者です。この先にある町で依頼を受けるために旅をしています」
「ふーん……」
短髪は、そこで相棒の女性に声をかける。
「どうする?」
「……そうね。冒険者なら使えるかも……それに、女の子。長い間家畜の扱いを受けていたセイヤなら、飛びつくと思うわ」
「だな。よーし決まり」
話が終わると、短髪がヒジリに言う。
「さっそくだけどよ、お前には『人形』になってもらうぜ」
「……パペット?」
「ああ。こいつの魔法……人間を意のままに操る『人形』の聖女の力でな、『神の子』セイヤを探してほしいんだ」
「ふふ、痛くありませんわ。すぐに終わります……」
灰髪の女がヒジリに手を伸ばした。
おそらく、触れることで魔法を植え付けるんだろう。
ヒジリは動かない。聖女の言葉は絶対で、男はもちろん、同性でも拒否できない。
灰髪の女の手が、真っすぐ伸ばされる。
「悪いな。目的を達成したら解放する。それまで我慢しろよ」
「ねぇ、あなた男性経験ある? なかったらごめんね───」
───次の瞬間、灰髪の女の右腕が肩から千切れ飛んだ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」
「───え?」
伸ばした掌から矢が突き刺さり、肩をちぎり飛ばした。
灰髪の女は肩を押さえてゴロゴロ転がる。
短髪の女は何が起きたか理解するのに時間がかかり───。
「てめ、なに───」
ヒジリを責めようとした瞬間、両足が吹き飛んだ。
「あ、ガァァァァァァァっ!?」
ヒジリは、何も言わずに女二人を見下ろしていた。
そして……ゆっくりと、誰かが近づいてくる。
「終わったか」
「はい。戦意喪失。戦闘は不可能でしょう」
セイヤだった。
ヒジリと聖女二人を会話させ、敵意を確認してから矢で射ったのだ。
「そうか……で、やっぱり」
「はい。狙いはやはり主でした」
「……くそ」
セイヤが、血まみれで震えている聖女を見下ろした。
右腕と両足を失った聖女は、魔力を切断面に集中させて失血死を防いでいる。セイヤの少ない魔力じゃ絶対にできない方法だ。
「おい、お前ら。狙いは俺か?」
「な、て、てめぇ……くそが」
「なんで俺を狙う。俺は何もしていないぞ」
「ふっざ、けんな!! てめぇを聖女神教に連れていけば、大金がたんまりもらえるんだ!! てめぇがヤルダバオト様の息子、後継だって」
「後継……俺が?」
「そうだ。てめぇは聖女たちの希望だってよ……っぐ」
「…………」
セイヤは、自分を睨む聖女を冷たい目で見降ろした。
「なぁ、聖女で一番偉いのは?」
「は、はぁ?……そんなの、アレクサンドロス聖女王国のアナスタシア様に決まってんだろ。その次が聖女神教のクレッセンド様……」
「……わかった」
その名前を胸に刻み、セイヤたちは歩きだした。
◇◇◇◇◇◇
それから、聖女たちを避けようと地図を見ながら裏道を進む。
街道を通れば真っすぐ行けただろうが、無駄な戦闘を省き北上し、アレクサンドロス聖女王国の領地から脱出を試みる。
セイヤは、バルバトス帝国で炭鉱夫になることを決めた。
聖女の国で炭鉱夫になんてなれない。こんな追われる生活が続くのは気が休まらない。
そんなことを考えながら十日後……ようやく、国境近くの町が見えた。
「あそこが国境か……いよいよ、バルバトス帝国領土だ」
「主の夢の土地、ですね」
「ああ。お前の復讐は……」
「大丈夫です。必ずどこかで会える、そんな気がしています」
セイヤは、ヒジリと二人で国境の町に向かった。
ヤヌズの町よりも大きいので、町に入って身を隠せばそう簡単に見つからないだろう。
それに、セイヤには自信があった。
「なんとなく、聖女ってのは匂いでわかる。偉そうで傲慢そうな女が聖女だ」
「わかり、ました……?」
「……まぁ、俺が警戒しているから大丈夫」
ヒジリは首を傾げつつ返事をしたので、セイヤは苦笑した。
国境の町は、かなり賑わっている。不思議と女が中心ではなく、男も生き生きとしていた。
「ここは、聖女の影響が薄い土地のようですね。バルバトス帝国領土が半分、アレクサンドロス聖女王国の領土が半分の、中立都市だからでしょうか」
「たぶんな。さて、買い物してメシ食って───」
ここで、セイヤは感じた。
ゾワリとした、粘つくような視線。
国境の町。中央街道……町の中心のメインストリート。
セイヤたちの正面に、いた。
「み~つけた♪」
「───ぁ」
見覚えのある顔だった。
薄紫のツインテール。右手にバチバチと紫電を纏わせた女。
セイヤを見て、にんまりと笑った。
「エク、レール……」
「やぁ~っと見つけたぁ……もう、手間かけさせないでよぉ」
エクレール。
彼女だけじゃない。
エクレールと一緒に並ぶ、三人の少女。
「こんなところまで……ふふ、おいたが過ぎますわね」
「へへ、覚悟しやがれセイヤ!!」
「はぁ~……楽しい実験の開始ですぅ♪」
フローズン、ウィンダミア、アストラル。
いつの間にか、周囲には……二十人以上の女たちがいた。
全員が、聖女だ。
そして、その聖女たちを従えるように、一人の老婆と女性が前に出る。
「ようやっと見つけた。ったく、このクソガキめ……バルバトス帝国になんていかせないよ!!」
「お母さん、興奮しないで。もう連れて帰るだけですから」
聖女村の村長クリシュナ。エクレールの母オージェだ。
完全に、包囲された。
しかも相手は、セイヤを苛めていた聖女村の連中だ。
「あ、あ……」
「主、しっかり!! ここを切り抜ければ、炭鉱夫の夢が叶うんです!! しっかり!!」
「───っ!! っは、はぁ、はぁ!!」
セイヤは、大汗を掻いていた。
久しぶりに会ったせいか、過去のトラウマがよみがえる。
虐められていた思い出。痛み。すべてがセイヤをえぐる。
クリシュナは、セイヤに手を差し伸べた。
「今ならお仕置きしないでやる。大人しく帰るよ」
「…………」
差し伸べられた手は、なぜか優しく見えた。
その手を取ってしまいそうになる。
「さぁ」
「…………」
「主!!」
ヒジリが、セイヤの手を掴んだ。
「あれはまやかしです。主、しっかり自分を見つめてください!!」
「ヒジリ……」
「主の夢は、炭鉱夫でしょう? しっかりしてください!!」
「…………そう、だった」
セイヤの夢。
幼いころからあこがれていた、炭鉱夫。
男の仕事を夢見ていた。
セイヤは、深呼吸してクリシュナに言った。
「もう、俺は帰らない……俺は炭鉱夫になるんだ!!」
「…………今までの恩を忘れて、手のひら返しやがって、このクソガキが!!」
「うるさい!! ははっ……もういいや。やるぞヒジリ」
「───はい!! 私も、本気で戦います」
セイヤは弓をロッド形態に、ヒジリは拳を構える。
だが、クリシュナは鼻で笑った。
「大馬鹿め。こっちは二十人以上いる……どうあがいたってお前に勝ち目はないんだよ!!」
そう言った瞬間───セイヤとヒジリの周りが『炎』で包まれた。
「うぉぉっ!?」
「炎……?」
真っ赤な炎だった。
だが、不思議と熱は感じない。どこか包み込むようなやさしさを感じた。
そして……セイヤたちの前に、一人の女性が落ちてきた。
「よく言ったよ。それでこそあたしの弟子だ」
「あ……アスタルテ」
セイヤの師匠で元聖女、アストラルが現れた。
炎が消え、アストラルは剣を抜いてクリシュナに突きつける。
「ババア。親友との約束を果たすため……あたしはセイヤに付く」
「き、貴様ぁ……!!」
クリシュナは青筋を浮かべ、聖女たちに命令した。
「アスタルテと小娘を殺せ!! セイヤのガキは半殺しだよ!!」
国境の町で、セイヤ因縁の戦いが始まった。
マジョリーたちを倒して数時間……最初は無言で歩いていたが、これまでの情報を整理するため、俺とヒジリは話しながら歩く。
「俺のこと、聖女の希望とか言ってたな」
「はい。推測ですが、主は聖女にとって特別な存在ということです」
「まぁ……特別っちゃ特別か」
聖女の胎から生まれた唯一の『男』だしな。
でも俺、魔力は少ししかないし、聖女みたいに何かに特化した魔法を使えるわけじゃない。
こんな俺が希望とか……わけわからん。
「主、これからは聖女にも気を付けるべきかと」
「ああ。どこに聖女がいるかわから───」
「主?」
俺は立ち止まる。
ヒジリも止まり、俺を見ていた。
俺は前を見て気が付いた。
「…………あの感じ、聖女か」
『鷹の目』で前方を確認。
距離1500。女が二人。服装や挙動で一般人ではないと判断する。
俺はヒジリに聞く。
「ヒジリ、頼みがある」
「何なりとお申し付けください」
「距離1500。たぶん聖女が二人いる」
「───さすがに、見えません。主が言うなら間違いないでしょう」
「ああ。そこでお前に頼みだ……いいか?」
「はい」
さっそく、俺はヒジリに『お願い』をした。
◇◇◇◇◇◇
ヒジリは一人、街道を歩いていた。
街道の先にいたのは……二人の女性だ。
一人は、落ち着きを感じさせる長い灰髪。もう一人は活発そうな短髪の女性だ。
「おい、お前」
すると……短髪の女性が、ヒジリを呼び止めた。
ヒジリは返事をせずに立ち止まる。
「お前、一人か?」
「はい。私は冒険者です。この先にある町で依頼を受けるために旅をしています」
「ふーん……」
短髪は、そこで相棒の女性に声をかける。
「どうする?」
「……そうね。冒険者なら使えるかも……それに、女の子。長い間家畜の扱いを受けていたセイヤなら、飛びつくと思うわ」
「だな。よーし決まり」
話が終わると、短髪がヒジリに言う。
「さっそくだけどよ、お前には『人形』になってもらうぜ」
「……パペット?」
「ああ。こいつの魔法……人間を意のままに操る『人形』の聖女の力でな、『神の子』セイヤを探してほしいんだ」
「ふふ、痛くありませんわ。すぐに終わります……」
灰髪の女がヒジリに手を伸ばした。
おそらく、触れることで魔法を植え付けるんだろう。
ヒジリは動かない。聖女の言葉は絶対で、男はもちろん、同性でも拒否できない。
灰髪の女の手が、真っすぐ伸ばされる。
「悪いな。目的を達成したら解放する。それまで我慢しろよ」
「ねぇ、あなた男性経験ある? なかったらごめんね───」
───次の瞬間、灰髪の女の右腕が肩から千切れ飛んだ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」
「───え?」
伸ばした掌から矢が突き刺さり、肩をちぎり飛ばした。
灰髪の女は肩を押さえてゴロゴロ転がる。
短髪の女は何が起きたか理解するのに時間がかかり───。
「てめ、なに───」
ヒジリを責めようとした瞬間、両足が吹き飛んだ。
「あ、ガァァァァァァァっ!?」
ヒジリは、何も言わずに女二人を見下ろしていた。
そして……ゆっくりと、誰かが近づいてくる。
「終わったか」
「はい。戦意喪失。戦闘は不可能でしょう」
セイヤだった。
ヒジリと聖女二人を会話させ、敵意を確認してから矢で射ったのだ。
「そうか……で、やっぱり」
「はい。狙いはやはり主でした」
「……くそ」
セイヤが、血まみれで震えている聖女を見下ろした。
右腕と両足を失った聖女は、魔力を切断面に集中させて失血死を防いでいる。セイヤの少ない魔力じゃ絶対にできない方法だ。
「おい、お前ら。狙いは俺か?」
「な、て、てめぇ……くそが」
「なんで俺を狙う。俺は何もしていないぞ」
「ふっざ、けんな!! てめぇを聖女神教に連れていけば、大金がたんまりもらえるんだ!! てめぇがヤルダバオト様の息子、後継だって」
「後継……俺が?」
「そうだ。てめぇは聖女たちの希望だってよ……っぐ」
「…………」
セイヤは、自分を睨む聖女を冷たい目で見降ろした。
「なぁ、聖女で一番偉いのは?」
「は、はぁ?……そんなの、アレクサンドロス聖女王国のアナスタシア様に決まってんだろ。その次が聖女神教のクレッセンド様……」
「……わかった」
その名前を胸に刻み、セイヤたちは歩きだした。
◇◇◇◇◇◇
それから、聖女たちを避けようと地図を見ながら裏道を進む。
街道を通れば真っすぐ行けただろうが、無駄な戦闘を省き北上し、アレクサンドロス聖女王国の領地から脱出を試みる。
セイヤは、バルバトス帝国で炭鉱夫になることを決めた。
聖女の国で炭鉱夫になんてなれない。こんな追われる生活が続くのは気が休まらない。
そんなことを考えながら十日後……ようやく、国境近くの町が見えた。
「あそこが国境か……いよいよ、バルバトス帝国領土だ」
「主の夢の土地、ですね」
「ああ。お前の復讐は……」
「大丈夫です。必ずどこかで会える、そんな気がしています」
セイヤは、ヒジリと二人で国境の町に向かった。
ヤヌズの町よりも大きいので、町に入って身を隠せばそう簡単に見つからないだろう。
それに、セイヤには自信があった。
「なんとなく、聖女ってのは匂いでわかる。偉そうで傲慢そうな女が聖女だ」
「わかり、ました……?」
「……まぁ、俺が警戒しているから大丈夫」
ヒジリは首を傾げつつ返事をしたので、セイヤは苦笑した。
国境の町は、かなり賑わっている。不思議と女が中心ではなく、男も生き生きとしていた。
「ここは、聖女の影響が薄い土地のようですね。バルバトス帝国領土が半分、アレクサンドロス聖女王国の領土が半分の、中立都市だからでしょうか」
「たぶんな。さて、買い物してメシ食って───」
ここで、セイヤは感じた。
ゾワリとした、粘つくような視線。
国境の町。中央街道……町の中心のメインストリート。
セイヤたちの正面に、いた。
「み~つけた♪」
「───ぁ」
見覚えのある顔だった。
薄紫のツインテール。右手にバチバチと紫電を纏わせた女。
セイヤを見て、にんまりと笑った。
「エク、レール……」
「やぁ~っと見つけたぁ……もう、手間かけさせないでよぉ」
エクレール。
彼女だけじゃない。
エクレールと一緒に並ぶ、三人の少女。
「こんなところまで……ふふ、おいたが過ぎますわね」
「へへ、覚悟しやがれセイヤ!!」
「はぁ~……楽しい実験の開始ですぅ♪」
フローズン、ウィンダミア、アストラル。
いつの間にか、周囲には……二十人以上の女たちがいた。
全員が、聖女だ。
そして、その聖女たちを従えるように、一人の老婆と女性が前に出る。
「ようやっと見つけた。ったく、このクソガキめ……バルバトス帝国になんていかせないよ!!」
「お母さん、興奮しないで。もう連れて帰るだけですから」
聖女村の村長クリシュナ。エクレールの母オージェだ。
完全に、包囲された。
しかも相手は、セイヤを苛めていた聖女村の連中だ。
「あ、あ……」
「主、しっかり!! ここを切り抜ければ、炭鉱夫の夢が叶うんです!! しっかり!!」
「───っ!! っは、はぁ、はぁ!!」
セイヤは、大汗を掻いていた。
久しぶりに会ったせいか、過去のトラウマがよみがえる。
虐められていた思い出。痛み。すべてがセイヤをえぐる。
クリシュナは、セイヤに手を差し伸べた。
「今ならお仕置きしないでやる。大人しく帰るよ」
「…………」
差し伸べられた手は、なぜか優しく見えた。
その手を取ってしまいそうになる。
「さぁ」
「…………」
「主!!」
ヒジリが、セイヤの手を掴んだ。
「あれはまやかしです。主、しっかり自分を見つめてください!!」
「ヒジリ……」
「主の夢は、炭鉱夫でしょう? しっかりしてください!!」
「…………そう、だった」
セイヤの夢。
幼いころからあこがれていた、炭鉱夫。
男の仕事を夢見ていた。
セイヤは、深呼吸してクリシュナに言った。
「もう、俺は帰らない……俺は炭鉱夫になるんだ!!」
「…………今までの恩を忘れて、手のひら返しやがって、このクソガキが!!」
「うるさい!! ははっ……もういいや。やるぞヒジリ」
「───はい!! 私も、本気で戦います」
セイヤは弓をロッド形態に、ヒジリは拳を構える。
だが、クリシュナは鼻で笑った。
「大馬鹿め。こっちは二十人以上いる……どうあがいたってお前に勝ち目はないんだよ!!」
そう言った瞬間───セイヤとヒジリの周りが『炎』で包まれた。
「うぉぉっ!?」
「炎……?」
真っ赤な炎だった。
だが、不思議と熱は感じない。どこか包み込むようなやさしさを感じた。
そして……セイヤたちの前に、一人の女性が落ちてきた。
「よく言ったよ。それでこそあたしの弟子だ」
「あ……アスタルテ」
セイヤの師匠で元聖女、アストラルが現れた。
炎が消え、アストラルは剣を抜いてクリシュナに突きつける。
「ババア。親友との約束を果たすため……あたしはセイヤに付く」
「き、貴様ぁ……!!」
クリシュナは青筋を浮かべ、聖女たちに命令した。
「アスタルテと小娘を殺せ!! セイヤのガキは半殺しだよ!!」
国境の町で、セイヤ因縁の戦いが始まった。
0
あなたにおすすめの小説
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
金眼のサクセサー[完結]
秋雨薫
ファンタジー
魔物の森に住む不死の青年とお城脱走が趣味のお転婆王女さまの出会いから始まる物語。
遥か昔、マカニシア大陸を混沌に陥れた魔獣リィスクレウムはとある英雄によって討伐された。
――しかし、五百年後。
魔物の森で発見された人間の赤ん坊の右目は魔獣と同じ色だった――
最悪の魔獣リィスクレウムの右目を持ち、不死の力を持ってしまい、村人から忌み子と呼ばれながら生きる青年リィと、好奇心旺盛のお転婆王女アメルシアことアメリーの出会いから、マカニシア大陸を大きく揺るがす事態が起きるーー!!
リィは何故500年前に討伐されたはずのリィスクレウムの瞳を持っているのか。
マカニシア大陸に潜む500年前の秘密が明らかにーー
※流血や残酷なシーンがあります※
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる