独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~

さとう

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第十二章 学園作りのお手伝い

異世界の学園

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 翌日。仕事休みで遊びに来たロッソたちに聞いてみた。

「なあお前たち、学校って行ったことあるか?」
「アタシはない。村にいた昔教師やってたおじいちゃんが、子供たち集めて文字とか計算とか教えてくれた」
「……私、組織で習った」
「わたくしは教会で習いましたわね」
「私はあるけど」

 と、果実水を飲みながらヴェルデが挙手。
 
「おお、それでどんなところだ?」
「どんなところって……勉強するところよ。毎日毎日、勉強勉強……正直、面白いところじゃないわね」
「時間割とか、どんな感じだ?」
「時間割? よくわかんないけど、文字の書き方、歴史、淑女教育とか、裁縫とか……」
「うげえ、つまんなそう」

 ロッソが舌を出して嫌そうな顔をすると、ヴェルデも「まあね」と頷いた。
 アオがまんじゅうをモグモグ食べながら言う。

「おじさん、学園に興味あるの?」
「ああ。今度、それに関する依頼を受けることになってな……俺、魔道具職人なのに、最近は料理とか日本の知識しか披露してない気がする」

 今度保温弁当箱を作ってサンドローネに提案してやる。
 すると、アオが挙手。

「おじさん、お手伝い必要?」
「うーん、どうだろうな。まあ、知恵を出すのにあたって、この世界の学校……ヘミロスとジェミニーがどういう学校を作ってんのか気になるところだが」

 少し考えたが、学校なんて異世界も日本も変わらん気がする。
 すると、ドアがノック……噂の二人がやってきた。

「わお、同じ顔……でも、ムネの大きさ違うわね」

 おいロッソ、俺も気付いたけど指摘しない……というかできない部分の指摘を声に出すな。
 ほんの一瞬、ゲミニー(貧乳)がピクリと反応した。
 だが、すぐに笑顔になる二人。

「ごきげんようゲントク様」
「さっそく始めましょう」
「お、おう。とりあえず座ってくれ。俺が何をすればいいのか話を聞くから」

 ロッソたちも気になるのか帰らない。
 俺の前に双子が座り、ロッソたちも囲むように立っていた。
 うーん、別にいいんだが……アオ、俺の隣というか、腕にくっつくのやめてほしい。

 ◇◇◇◇◇◇

「まず、お前たちのこと、教えてくれよ」

 そう言うと、ヘミロスとゲミニーが顔を見合わせ語り出す。
 
「私たちは、アツコの話を聞いて『学ぶ』ことに興味を持ちました」
「そして、学ぶことの大切さを、私たちだけでない、いろいろな種族、人たちに広めたい……そう思っていたら」
「アツコが『まるで先生だねえ』と言いました。センセイとは何か?」
「アツコは『人にものを教える人』と言いました。そして、教育という制度を聞き、私たちは決意しました」
「学ぶことを、世界に広めようと。そして、世界中に『学園』を作り、今に至ります」

 相変わらずテレパシーみたいな喋り方しやがる。
 するとヴェルデが言う。

「学園制度は『双子座の魔女』が築いたって聞いたけど……」
「おや、あなたはヴェルデさんですね」
「エーデルシュタイン・ジェミニ学園を中途退学された」
「え……私のこと、知ってるの?」
「当然」
「学園に在籍する者は全員、知っています」

 すっげえ……記憶力やべえな。
 話を聞くと、この世界にある学校は全て、双子座の魔女が提唱した『学園制度』を元に作られているらしい。
 その学園制度だが……うーん、ちょっとなあ、って感じだった。

「……えっと、早朝八時から十二時まで座学。昼食にパンとミルクを支給し、午後三時まで勉強。そのあとは自習……帰宅のタイミングは三時以降なら自由」

 休み時間は個々のタイミングで。ただし午前中は三十分のみ、午後は十五分だけ。休憩は基本的にトイレ休憩のみ。
 授業内容は、教師が制作した問題用紙をひたすら解く。わからないところを監督教師に質問する形式。

「…………おいおい」

 拷問かよ、ってくらい面白さゼロで厳しさしかない学園だった。
 ロッソたちもその内容を見て。

「アタシ、学校行かなくてよかったわ」
「……私も」
「うーん……わたくしも」
「私は通ったわよ。でも、私の通ったところは、午後は礼儀作法の勉強だったわね」
 
 学園によって内容が違うようだが、基本的にこのスタイルらしい。
 異世界の学園事情……知ってよかったような、知りたくなかったような。
 すると、ヘミロスが言う。

「実は、エーデルシュタイン・ジェミニ学園の生徒数が増えまして、今ある校舎では手狭でして」
「ファルザンに相談したところ、新しい土地と校舎の手配を協力すると言われました」
「そこでゲントク様の話をリチアから聞き、アツコと同じ世界からきたあなたなら、アツコのいた世界の学園に対するアイデアを聞けると思いまして」
「あー、なるほどなあ」

 納得した。
 まあ、アイデアというか、普通に学校のシステムを説明すれば劇的に変わるだろう。
 
「ゲントク様、一度、私たちの学園に来ていただけませんか」
「え……行くのか?」
「ええ。見ていただきたいのです」

 アイデアだけ出してじゃあお任せ、ってわけにはいかんのか。
 まあ……この世界の学校に多少の興味はある。

「わかった。じゃあ、見学に行くよ」
「感謝します」
「では、ご案内いたします」
「え、今から?」

 というわけで……この世界の学園、『エーデルシュタイン・ジェミニ学園』へ向かうことになった。

 ◇◇◇◇◇◇

 職場から馬車で一時間、エーデルシュタイン第八区画にある貴族街の中に学園はあった。
 馬車から降りたのは俺、双子、ロッソにアオにブランシュ。ヴェルデは「私はここ退学になった経緯あるし行きたくない」と帰った。

「ここが学園かあ……デカいなあ」

 デカい正門……っていうか、金属の扉だった。
 なんだろう……この、刑務所の入口感。門があまりにもゴツく、入ったら出れないような感じ。
 壁も高いし白一色……なんか、入るの怖いんだが。
 すると、双子が門に近づくと門が開いた。

「それでは、中を案内します」
「どうぞ皆さま」

 双子は中へ。

「……アタシ、なんか行きたくないな」
「……私も」
「あら、わたくしは少し興味ありますわね」
「俺は……まあ、仕事だし行くけど」
「ふふ。ではおじさま、エスコートお願いしますわね」
 
 ブランシュは俺の腕を取ると、アオがムッとして逆の腕を取る。

「……行く」
「お、おう」
「なになに、アオも行く気満々じゃん。ああもう、アタシも行く!!」

 ロッソに背を押され、俺たちは学園内に入るのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 今日は休校なのか、人が誰もいない。
 校舎内は普通……貴族が通う学園と聞いたから華やかなのを想像していたけど、飾り気のない廊下、教室内は横長のテーブルが並び、木製の椅子が並んでるだけだ。
 黒板もない、掲示板もない、テレビも……まあこれはあるわけないな。
 
「ゲントク様、気になることでも?」
「ああ。授業でやった習字もなければ、黒板もない。ロッカーもないし、掃除道具入れもない……教室というよりは使ってない会議室みたいだな」
「……はあ」

 意味わからんよな。うん、改善点は多そうだ。
 さて、校舎内を見回ったが……全部同じ作りの教室だった。
 あと、トイレと職員室くらいしかない。ここ、マジで『勉強する建物』だ。遊び心もないし、勉強するしかない。

「…………」
「ゲントク様」
「何か?」

 思わず双子をジッと見てしまう。
 美人なのは間違いないが、面白さというか、ユーモアセンスがなさそうだ。こんな面白味のない学校になっちまうのも仕方ないかもしれん。
 
「おっさん、美人に興味津々なかんじ~?」
「……おじさん」
「ふふ。おじさまも男性ですわねえ」
「違うっつの。なあヘミロス、ジェミニー……俺の言う通りにやってくれるのか?」
「はい。ゲントク様のアイデアは、我々魔女を何度も危機から救ったと聞きます」
「なので、あなたのアイデアを期待しています」
「よし。じゃあ、俺のアイデアをまとめて、必要になる魔道具も作ってみるわ」

 とりあえず、もっと面白味のある学校にしてやる。
 必要そうな魔道具も……くっくっく、楽しみにしておけ。
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