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あるヒロインの話
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「リノちゃん、テストどうだった?」
ラミちゃんが何か悟ったような表情で問いかけてくる。ラミちゃん……。
「うん、点は取れた気がするけどなんか疲れたよ」
「同感ね。周りにいる人も変人とか変態が多いのにどうしてテストまで変態問題に振り回されなきゃいけないのかしら」
「ご愁傷さまです」
そうだよなぁ……。お兄さんとかお父さんとかお母さんとか王子とかもう変態しかいないよね、ラミちゃんの周り……。ヒロインも仕事してないし。
「ラミちゃん! テスト楽しかったねっ!」
なお変態と変態は相性がいい模様。
「あ、リノちゃんテストできた? 俺できまくりよ!」
「カイル、あなた『餅は餅屋』っていうことわざ知ってる?」
「え? うん。どうしたん?」
つまり『変態問題は変態に解かせろ』っていうことだね? 結構酷いねラミちゃん?
きょとんとしているカイル様を憐れむような視線で見つめるラミちゃん。相当ストレスたまってるんだろうなー。この娘。
「……ラミちゃん、今年の『レースフェルト夏のローション祭り』って出るの?」
「あー、運営サイドね。このあいだ実家に資料送ったし」
レースフェルトのローション祭りは我が国では『四季祭り』とも呼ばれている。規模は大きく、国民の半数はその祭りでヌルヌルになったことがあるレベルだ。私もヌルったことがある。『ヌルった』って何だ。あと唐突ね。
「ローション祭りのときは閉寮期間と重なるし、実況か裏方か参加かは未だ未定だけど参加はするわよ」
「去年は実況だったけど楽しかったよね!」
ちなみに去年は私も参加した。その様子がコチラ↓
『おおっ! ローションにまみれたカップルを非リアの意地で押し倒す! 群がれ非リア! 今までの鬱憤を犯罪にならない程度で晴らせええええええええええええええええええええええええええ!』
「お前はよォ! 公園でいっつもいちゃつきやがってよォ!」
「リナちゃん! 俺のことは無視してこの獰猛キモヲタから逃げるんだ!」
「誰が獰猛キモヲタじゃァァァァァ――――――ッ‼」
「ちょ、何でズボン下げて……アッ――――!」
「リリック――――――――――――――――――!」
「リナちゃん……男もいいね」
「リリック―――――――――――――――――――――――――――――!」
『第二ブロック(小学生以下専用ブロック)も沸いてます! 前回ローション王となったフェリちゃんはやはり今回も強い!』
「ちょいとそこのお方? これで棄権して頂けませんこと?」(諭吉一枚)
「(コクコクコク)」
『ナイトスター侯爵家の財力はやはり凄まじい様子! しかし今回初参加のフェアリーブック公爵家は一体どう出るか見どころです!』
「100万で棄権して頂けません?」
「わたくしが100万ごときで匙を投げるとでもお思いですか? 公爵家を舐めたらどうなるか思い知らせて差し上げますわ」
「では力勝負……ということですの?」
「いえ、わたくしは知略を尽くしますわ」
いや取り締まれよ。仕事しろよ運営。
だが、小学生のブロックは金銭目的で参加する者も後を絶たず、『社会に出たら賄賂はもはや常識だろー』という国王からの言葉もあり、賄賂は100万までなら取り締まらないというトンデモルールは出来るわ、プロローショニストの部の賞金は億単位になるわで毎シーズン賑わっている。レジェンドは広告収入も含め年50億貰ったらしい。日程が違うだけで世界各国で行われている祭りらしい。色々終わっている。
一番開催頻度が多い国は極東の島国らしく、毎月東の都と西の都で開催されているっぽい。賞金は他の国と比べると少なめだが、頻度が頻度だけに毎回入賞を決めると一般人の生涯年収並みにはなる。一位はその国の方が毎回獲っているらしい。自国から出ないことが他の国のプレーヤーにとっては唯一の救いらしい。
まあ長々と語ったが要するにローション相撲だ。ローションフェスティバル、略してローフェスとも呼ばれている。
今年はラミちゃんの手伝いでも出来たら良いなとは思っていたが。
「ラミちゃん、出来れば今年は参加サイドに回ろうよ! リノちゃんも一緒に参加しようよ!」
「いいんですか!?」
カイル様とヌルヌルの思い出が作れる……うへへへへへへへへへへへへ。
「まあ掛け合ってみるわ。コネを作るためにボランティアを買って出る貴族も多くなって来たみたいだし」
それでも最低賃金は出しているとのことだからレースフェルト家の信頼は厚いのだろう。
乙女ゲームの世界でようやくリア充っぽいこと(?)ができる……!
ラミちゃんが何か悟ったような表情で問いかけてくる。ラミちゃん……。
「うん、点は取れた気がするけどなんか疲れたよ」
「同感ね。周りにいる人も変人とか変態が多いのにどうしてテストまで変態問題に振り回されなきゃいけないのかしら」
「ご愁傷さまです」
そうだよなぁ……。お兄さんとかお父さんとかお母さんとか王子とかもう変態しかいないよね、ラミちゃんの周り……。ヒロインも仕事してないし。
「ラミちゃん! テスト楽しかったねっ!」
なお変態と変態は相性がいい模様。
「あ、リノちゃんテストできた? 俺できまくりよ!」
「カイル、あなた『餅は餅屋』っていうことわざ知ってる?」
「え? うん。どうしたん?」
つまり『変態問題は変態に解かせろ』っていうことだね? 結構酷いねラミちゃん?
きょとんとしているカイル様を憐れむような視線で見つめるラミちゃん。相当ストレスたまってるんだろうなー。この娘。
「……ラミちゃん、今年の『レースフェルト夏のローション祭り』って出るの?」
「あー、運営サイドね。このあいだ実家に資料送ったし」
レースフェルトのローション祭りは我が国では『四季祭り』とも呼ばれている。規模は大きく、国民の半数はその祭りでヌルヌルになったことがあるレベルだ。私もヌルったことがある。『ヌルった』って何だ。あと唐突ね。
「ローション祭りのときは閉寮期間と重なるし、実況か裏方か参加かは未だ未定だけど参加はするわよ」
「去年は実況だったけど楽しかったよね!」
ちなみに去年は私も参加した。その様子がコチラ↓
『おおっ! ローションにまみれたカップルを非リアの意地で押し倒す! 群がれ非リア! 今までの鬱憤を犯罪にならない程度で晴らせええええええええええええええええええええええええええ!』
「お前はよォ! 公園でいっつもいちゃつきやがってよォ!」
「リナちゃん! 俺のことは無視してこの獰猛キモヲタから逃げるんだ!」
「誰が獰猛キモヲタじゃァァァァァ――――――ッ‼」
「ちょ、何でズボン下げて……アッ――――!」
「リリック――――――――――――――――――!」
「リナちゃん……男もいいね」
「リリック―――――――――――――――――――――――――――――!」
『第二ブロック(小学生以下専用ブロック)も沸いてます! 前回ローション王となったフェリちゃんはやはり今回も強い!』
「ちょいとそこのお方? これで棄権して頂けませんこと?」(諭吉一枚)
「(コクコクコク)」
『ナイトスター侯爵家の財力はやはり凄まじい様子! しかし今回初参加のフェアリーブック公爵家は一体どう出るか見どころです!』
「100万で棄権して頂けません?」
「わたくしが100万ごときで匙を投げるとでもお思いですか? 公爵家を舐めたらどうなるか思い知らせて差し上げますわ」
「では力勝負……ということですの?」
「いえ、わたくしは知略を尽くしますわ」
いや取り締まれよ。仕事しろよ運営。
だが、小学生のブロックは金銭目的で参加する者も後を絶たず、『社会に出たら賄賂はもはや常識だろー』という国王からの言葉もあり、賄賂は100万までなら取り締まらないというトンデモルールは出来るわ、プロローショニストの部の賞金は億単位になるわで毎シーズン賑わっている。レジェンドは広告収入も含め年50億貰ったらしい。日程が違うだけで世界各国で行われている祭りらしい。色々終わっている。
一番開催頻度が多い国は極東の島国らしく、毎月東の都と西の都で開催されているっぽい。賞金は他の国と比べると少なめだが、頻度が頻度だけに毎回入賞を決めると一般人の生涯年収並みにはなる。一位はその国の方が毎回獲っているらしい。自国から出ないことが他の国のプレーヤーにとっては唯一の救いらしい。
まあ長々と語ったが要するにローション相撲だ。ローションフェスティバル、略してローフェスとも呼ばれている。
今年はラミちゃんの手伝いでも出来たら良いなとは思っていたが。
「ラミちゃん、出来れば今年は参加サイドに回ろうよ! リノちゃんも一緒に参加しようよ!」
「いいんですか!?」
カイル様とヌルヌルの思い出が作れる……うへへへへへへへへへへへへ。
「まあ掛け合ってみるわ。コネを作るためにボランティアを買って出る貴族も多くなって来たみたいだし」
それでも最低賃金は出しているとのことだからレースフェルト家の信頼は厚いのだろう。
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