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第1章 転生したら村人Dだっただ
転生したら村人DだっただPart7
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「勇者様、好きなだけ役に立つ物を持ってくと良いだ。」
僕の口が勝手に動き、また思ってもいない台詞を喋らされた。
「わーいわーい勇者様だあ!カッコいい!」
弟がはしゃいでいる。
だが、いつもと喋り方が違う。きっと僕と同じで何かの力に台詞を喋らされているのだろう。
「さてさてアイテム回収と洒落込むとしますか!」
赤毛の男が家にズカズカと入って来るなり、大きな声でゲラゲラと豪快に笑いながら言った。
「はい!世界のために頑張りますので村人の皆さんの大事なお品物‼︎大切に使わせて頂きます!」
銀髪の勇者らしき男が気持ちの良いくらいハキハキとした口調で家の箪笥を物色していく。
「これは良い服ですね!頂いていきます!」
ああ、僕の服が取られていく。
前の世界でゲームをしていた時には気にもしなかったけどRPGの勇者は人の家にズカズカ上がって来て人の家を好き放題荒らして、まるで強盗じゃないか。
ガシャーン!
今度はお気に入りになった緑の綺麗な壺が勇者に割られた。
壺の中から先週収穫したばかりのたくさんの綺麗な緑色をしたシーナの実が転がって出てきた。
「へへっ美味そうだなジャン!」
赤髪の男が勇者らしき男にそう言いながら舌舐めずりする。
「ええ!遠慮なく頂きましょう!カイン!」
勇者が爽やかな笑顔で赤髪の男にそう言うと、ズタ袋にシーナの実を詰め込んだ。
「この村で取れるシーナの実は本当に美味しいのよ。後で私がシーナの冷たいスープを作ってあげる。」
リリーが勇者と思われる男ジャンとその仲間カインに微笑む。
「リリーは凄いね。エンシャン族の生き残りで癒しの力も使えるのに、料理も出来るなんて。」
翼の生えた白い犬も会話に加わってきた。
きっと勇者パーティの喋るマスコットキャラ的ポジションなんだろう。
「ははは、大した事ないよークルス。」
マスコットはクルスという名前らしい。
「よろしくなリリー‼︎飯楽しみにしてるぜ!」
「料理も出来て癒しの力も使えるなんて頼もしい仲間が出来ました!ではエソの街に行く途中でキャンプしてご飯にしましょう!」
勇者パーティは人の家の物を漁るだけ漁り、はしゃぐだけはしゃいだ後、家から出て行った。
家がめちゃくちゃになったが僕にはそんな事はどうでも良かった。
リリーは僕の事を全く見向きもせずに、勇者パーティと楽しそうにしていた。
そして勇者と旅に出たのだろう。
僕はリリーに別れを言う事も許されなかった。
きっとこの村で「リリー」だけちゃんとした名前が付いていたのは、勇者の仲間になる重要なキャラクターだったからだと唐突に理解した。
僕や弟達や村の皆みたいなモブキャラとは全く違う存在で、回復魔法を使える有能キャラとしてきっとこのまま勇者と旅に出て行く運命のキャラクターだったんだ。
モブキャラには勇者パーティに別れを言う事も許されない。
それがただ寂しくて、悲しかった。
またしばらく時間が経って身体に自由が戻って来た。
僕は気がつくと泣いていた。
『さよならリリー。きっと元気に帰ってきてね。
帰って来たらパルパルを一緒に食べよう。』
僕は心の中でリリーに言えなかったお別れの言葉を呟いた。
Part8 に続く
僕の口が勝手に動き、また思ってもいない台詞を喋らされた。
「わーいわーい勇者様だあ!カッコいい!」
弟がはしゃいでいる。
だが、いつもと喋り方が違う。きっと僕と同じで何かの力に台詞を喋らされているのだろう。
「さてさてアイテム回収と洒落込むとしますか!」
赤毛の男が家にズカズカと入って来るなり、大きな声でゲラゲラと豪快に笑いながら言った。
「はい!世界のために頑張りますので村人の皆さんの大事なお品物‼︎大切に使わせて頂きます!」
銀髪の勇者らしき男が気持ちの良いくらいハキハキとした口調で家の箪笥を物色していく。
「これは良い服ですね!頂いていきます!」
ああ、僕の服が取られていく。
前の世界でゲームをしていた時には気にもしなかったけどRPGの勇者は人の家にズカズカ上がって来て人の家を好き放題荒らして、まるで強盗じゃないか。
ガシャーン!
今度はお気に入りになった緑の綺麗な壺が勇者に割られた。
壺の中から先週収穫したばかりのたくさんの綺麗な緑色をしたシーナの実が転がって出てきた。
「へへっ美味そうだなジャン!」
赤髪の男が勇者らしき男にそう言いながら舌舐めずりする。
「ええ!遠慮なく頂きましょう!カイン!」
勇者が爽やかな笑顔で赤髪の男にそう言うと、ズタ袋にシーナの実を詰め込んだ。
「この村で取れるシーナの実は本当に美味しいのよ。後で私がシーナの冷たいスープを作ってあげる。」
リリーが勇者と思われる男ジャンとその仲間カインに微笑む。
「リリーは凄いね。エンシャン族の生き残りで癒しの力も使えるのに、料理も出来るなんて。」
翼の生えた白い犬も会話に加わってきた。
きっと勇者パーティの喋るマスコットキャラ的ポジションなんだろう。
「ははは、大した事ないよークルス。」
マスコットはクルスという名前らしい。
「よろしくなリリー‼︎飯楽しみにしてるぜ!」
「料理も出来て癒しの力も使えるなんて頼もしい仲間が出来ました!ではエソの街に行く途中でキャンプしてご飯にしましょう!」
勇者パーティは人の家の物を漁るだけ漁り、はしゃぐだけはしゃいだ後、家から出て行った。
家がめちゃくちゃになったが僕にはそんな事はどうでも良かった。
リリーは僕の事を全く見向きもせずに、勇者パーティと楽しそうにしていた。
そして勇者と旅に出たのだろう。
僕はリリーに別れを言う事も許されなかった。
きっとこの村で「リリー」だけちゃんとした名前が付いていたのは、勇者の仲間になる重要なキャラクターだったからだと唐突に理解した。
僕や弟達や村の皆みたいなモブキャラとは全く違う存在で、回復魔法を使える有能キャラとしてきっとこのまま勇者と旅に出て行く運命のキャラクターだったんだ。
モブキャラには勇者パーティに別れを言う事も許されない。
それがただ寂しくて、悲しかった。
またしばらく時間が経って身体に自由が戻って来た。
僕は気がつくと泣いていた。
『さよならリリー。きっと元気に帰ってきてね。
帰って来たらパルパルを一緒に食べよう。』
僕は心の中でリリーに言えなかったお別れの言葉を呟いた。
Part8 に続く
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