かわいいものが好きなボクは、ボクを否定する王子を「ざまぁ」して胸を張って生きていきます。

さくしゃ

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ど、どうしよう……②

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 悲鳴のした方に顔を向ける。

「ど、どうしよう!」

 煙が発生したオーブンの前で三人組の女子が慌てていた。

「とりあえず開けてみよう!」

 黒髪の女子が、取っ手を持ち、オーブンのドアを開く。

 ドアを開けた瞬間、オーブン内部に閉じ込められていた黒い煙が解き放たれ、黒髪の女子の顔を覆った。

「ごほっ、ごほっ」

 その煙に咳き込む黒髪女子。室内には、カカオの香ばしい匂いと炭のむせ返す異臭が充満し、皆一斉に鼻を摘んだ。

「みなさん調理室から出てください」

 先生の指示に従って、

「クッセェ!」

「最悪!」

 クラスメイト達が悪態つきながら出ていき、廊下で待機。

 先生はハンカチを鼻に当てると、窓を全て開いた。すると開いた窓から新鮮な空気が入ってきて、煙や異臭を追い出し、調理室から鼻をつく嫌な匂いが消えた。

「あなたたちどこか異常はない?!」

 先生は、調理室から出なかったボクと女子三人のもとへ駆け寄った。特に煙を思い切り吸い込んだ黒髪の女子は、気分悪そうにずっと咳き込んでいるので、

「具合が悪くないならあなたこの子を保健室まで連れて行って!2人だけだと不安だから……学級委員長と男子1人!念の為についていきなさい!」

「「は、はい!」」

 先生の指示に黒髪の女子と茶髪女子は、付き添いの男子たちと共に調理室から姿を消した。

「グレイスさん。本当に保健室に行かなくて大丈夫?」

 4人が保健室に向かったのを見届けた先生は、赤茶の女子ーーグレイスさんに寄り添う。

「……」

 けど、グレイスさんはオーブンの中の焦げたガトーショコラをずっと見つめたままで返答がない。

 困った先生は、なんて声をかけたらいいかわからず、ただ背中をさすり寄り添うだけ。

「……の」

 と、困惑顔だった先生が突然、疑問符をうかべ、グレイスさんの顔に耳を近づけた。

「ん?」

 気になったボクは耳を澄ませる。

「……今日、手作りのガトーショコラを上げるって言ったのに」

 ブツブツと何か喋っている。でも、小声でよく聞こえない。

 ボクはイスから立ち上がり、グレイスさんの近くへ移動した。

 それから身をかがめ、顔を近づけて、耳を澄ませる。

「ずっと……小さい頃からずっと好きで……やっと想いを伝えるって覚悟が決まったのに……彼も私の作るお菓子が食べれるって喜んでくれたのに……」

 徐々に声が涙まじりになり、鼻をすする。

「それなのに……」

 太ももの手を強く握り拳をつくると、

「なにやってるのよ私!浮かれて!いい気になって!」

 何度も何度も激しく太ももを打ちつける。

「ばか!ばか!!ばか!!!」

 声も大きくなっていく。周りにいるクラスメイトはそんな彼女を心配そうに見守る。先生は、

「何やってるの!やめなさい!」

 彼女の右手を両手で掴む。しかしーー、

「ばか!!!!」

 今度は左手で左太ももを叩く。

「やめなさい!」

 先生がもう一つの腕で左手を押さえ込もうと動き出した瞬間、

「……なによ!」

 ボクはグレイスさんの振り上げた左手を掴んだ。そしてボクへと吠えるグレイスさんに、

「ボクに任せて」

 と、真剣な顔で彼女の目を見つめて言った。
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