私に蜜事を

山代裕春

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本音と本心

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………その夜

空楽「荒廃した世界に意味があるのだろうか…飛鳥は小さな命を抱きしめボロボロの体を引きずり…」

スーッ…

襖が開く、誰かは分かっている。
空楽「……少し待て、今布団敷く」
振り返り見ると、包丁を持った笠年…
空楽「!!」
虚ろに見つめ、音も立てずに近寄る笠年。
空楽「…笠年止まれ」

ピタッ…

空楽「なんの真似だ?」
笠年「…」
空楽「怒るぞ?」
笠年「…っ……」
空楽「度がすぎる」
笠年「バカ」
空楽「…」
笠年「バカ!バカバカバカバカ!!!」
突然の罵倒と大粒の涙、空楽は眉ひとつ動かない。
笠年「なんで私のことわかってくれないの!?なんで突き放そうとするの!?なんでよ!!?」
空楽「…」
笠年「私はあんたと一緒にいたぃ!」
空楽「…」
笠年「うぁあぁああぁん!」
その場に座り込み泣きじゃくる、持っていた包丁は音も立てずに手から離れた。
空楽「……」
笠年「ひぐ…」
空楽「笠年」
笠年「ぅ?」
空楽は笠年に近づき、瞬間押し倒す。
空楽「私も男だ」
笠年「…?」
空楽「男なんだよ!」
笠年「!」
空楽「頼むから…」
悲痛な顔…腕を掴む手が強くなる。
空楽「言う事聞いてくれ」
笠年「………やだ」
空楽「…」
笠年「勝手に決めんなバカ空楽」
空楽「…いいかげんに」
笠年「私はお前が良いんだよ!!」
空楽「!」
笠年「お前と一緒にいたいしお前と一緒に歳とりてぇんだよ!!」
いつもの怒り顔、だがその眼には一点の曇りもない。
空楽「・・・」
笠年「退け!痛い!」
手の力を抜きそっと離れると、笠年は起き上がり腕を痛そうにさする。
その光景に空楽はため息をついた。
空楽「全く…君は…私の言う事を聞かないな」
笠年「か弱い娘を無理矢理尼さんにさせようとする阿保に言われたくない」
空楽「…」
笠年「…」
空楽「はぁあ…疲れた寝る」
押入れから布団を取り出し笠年を寝かせる。
空楽「厠行ってくるから先寝てろ」
笠年「はーい」
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