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人の弱さ
鉄格子
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病院に着くと診察室の先生の前に彼は座っていた。診察室に母と共に入って行くと私と彼の間には3人くらいの警察の方がおられま。
入院するには本人か保護者、もしくは配偶者のサインがいるということだった。
彼は警察官の肩越しに私に暴言を吐き続けていた。
「裏切ったな、、、。お前がどこに逃げようと探し出して殺しす。
わかったか?どこに隠れても無駄だからな。絶対にお前を許さない。」
今まで聞いたことのないような低い声で静かに繰り返していた。
私は母の横でただ泣いていた。
刑事さんから
「奥さんにサインをと思っていたけど、この状態を見るに貴方がサインをすると退院させろと貴方を脅す可能性がある。県知事命令での措置入院へと切り替えます。」
と言われた。
かれの措置入院が決まり私とこど達の3人は母の運転する車で実家への帰路に着いていた。
「貴方がアザだらけで酷い状態なのに彼の両親は入院させなかった貴方が悪い、貴方が彼を悪化させたと言っていた。貴方のせいにしている、あんな所に置いて帰れない。」
と話してくれた。
久しぶりに帰った実家で鏡を見た時、私はやつれた自分に気づいた。顔は半分が紫と黄色に変色している。身体にも沢山のあざができていた。
私はようやく安心して眠った、、、。
次の日の昼前に実家の電話が鳴り響く。
徐ろに受話器を取ると彼だった、、、。怒鳴られるのかと身構えるが、意外にもその声は穏やかだった。
「美咲ごめん、昨日は言い過ぎた。
何で俺は大事なお前にあんな事を言ってしまったんだろう。やっぱり病気だったんだね俺は。安定剤を飲んで凄く落ち着いてるわ。
お前が死んでしまったら俺も生きてはいれないのに、、、。」
本心なのか表面だけの言葉なのか私にはわからなかった。
それから日に何度も電話がかかってくるようになった。
毎回穏やかに、時には悲しげに、「子供達に会いたい、、、美咲に会いたい。病室はテレビもなく退屈だわ、ゲーム機だけでも持ってきてくれると助かるんだけど、無理かな?」
結婚したばかりの二人に戻ったような、そんな錯覚を覚えていた。
怖い気もしたが、穏やかな様子で、子供達もパパに会いたがっていた。子供二人を連れてお見舞いに行くことにした。
病院までは電車で2時間半かかる、こども二人を連れての移動は大変だった。
病院に着くと病棟の扉には鉄格子が付いており鍵がかけてあった。
扉の前に電話がかけてある。
受話器を取ると主人の名前を伝える。ガチャリと音がして重たい鉄の扉が開いた。
そこにはホールが広がっていてその奥に廊下が続いている。
ホールの右側の方に彼が立っていた。
そっと近づいてくると娘を抱き上げた。「パパのとこまで来たのー良い子だね。パパも会いたかったよ。」
と満面の笑みだった。
久しぶりに彼の笑った顔を見た気がした。穏やかな優しい目をしていた。
彼は息子の手を引いて病棟の友達に娘と息子を紹介して歩いている。
彼について廊下を進んでいくと3番目の病室が彼の部屋だった。部屋の扉や窓にも鉄格子がはまっていた。病室にはベッドがおいてあり枕元に小さな台があるだけの質素な部屋だった。
「ここの患者はおかしい奴が沢山いて、夜はずっと騒がしい。中々眠れなくて困ってるよ」
携帯は持てないが公衆電話は自由につかえるようだった。
日に10本だけタバコも吸えるようだった。
ゲーム機を渡すと彼は嬉しそうに
「助かったありがとね」
2時間くらいの滞在だったが娘は彼から離れると泣いて探していた。ずっと一緒にいたのにここの所大好きなパパから離れて寂しかったのだろう。
息子も半べそを書いて「パパばいばい」
と手を振った。
また近いうちに来る事を約束して病院を後にした。
入院するには本人か保護者、もしくは配偶者のサインがいるということだった。
彼は警察官の肩越しに私に暴言を吐き続けていた。
「裏切ったな、、、。お前がどこに逃げようと探し出して殺しす。
わかったか?どこに隠れても無駄だからな。絶対にお前を許さない。」
今まで聞いたことのないような低い声で静かに繰り返していた。
私は母の横でただ泣いていた。
刑事さんから
「奥さんにサインをと思っていたけど、この状態を見るに貴方がサインをすると退院させろと貴方を脅す可能性がある。県知事命令での措置入院へと切り替えます。」
と言われた。
かれの措置入院が決まり私とこど達の3人は母の運転する車で実家への帰路に着いていた。
「貴方がアザだらけで酷い状態なのに彼の両親は入院させなかった貴方が悪い、貴方が彼を悪化させたと言っていた。貴方のせいにしている、あんな所に置いて帰れない。」
と話してくれた。
久しぶりに帰った実家で鏡を見た時、私はやつれた自分に気づいた。顔は半分が紫と黄色に変色している。身体にも沢山のあざができていた。
私はようやく安心して眠った、、、。
次の日の昼前に実家の電話が鳴り響く。
徐ろに受話器を取ると彼だった、、、。怒鳴られるのかと身構えるが、意外にもその声は穏やかだった。
「美咲ごめん、昨日は言い過ぎた。
何で俺は大事なお前にあんな事を言ってしまったんだろう。やっぱり病気だったんだね俺は。安定剤を飲んで凄く落ち着いてるわ。
お前が死んでしまったら俺も生きてはいれないのに、、、。」
本心なのか表面だけの言葉なのか私にはわからなかった。
それから日に何度も電話がかかってくるようになった。
毎回穏やかに、時には悲しげに、「子供達に会いたい、、、美咲に会いたい。病室はテレビもなく退屈だわ、ゲーム機だけでも持ってきてくれると助かるんだけど、無理かな?」
結婚したばかりの二人に戻ったような、そんな錯覚を覚えていた。
怖い気もしたが、穏やかな様子で、子供達もパパに会いたがっていた。子供二人を連れてお見舞いに行くことにした。
病院までは電車で2時間半かかる、こども二人を連れての移動は大変だった。
病院に着くと病棟の扉には鉄格子が付いており鍵がかけてあった。
扉の前に電話がかけてある。
受話器を取ると主人の名前を伝える。ガチャリと音がして重たい鉄の扉が開いた。
そこにはホールが広がっていてその奥に廊下が続いている。
ホールの右側の方に彼が立っていた。
そっと近づいてくると娘を抱き上げた。「パパのとこまで来たのー良い子だね。パパも会いたかったよ。」
と満面の笑みだった。
久しぶりに彼の笑った顔を見た気がした。穏やかな優しい目をしていた。
彼は息子の手を引いて病棟の友達に娘と息子を紹介して歩いている。
彼について廊下を進んでいくと3番目の病室が彼の部屋だった。部屋の扉や窓にも鉄格子がはまっていた。病室にはベッドがおいてあり枕元に小さな台があるだけの質素な部屋だった。
「ここの患者はおかしい奴が沢山いて、夜はずっと騒がしい。中々眠れなくて困ってるよ」
携帯は持てないが公衆電話は自由につかえるようだった。
日に10本だけタバコも吸えるようだった。
ゲーム機を渡すと彼は嬉しそうに
「助かったありがとね」
2時間くらいの滞在だったが娘は彼から離れると泣いて探していた。ずっと一緒にいたのにここの所大好きなパパから離れて寂しかったのだろう。
息子も半べそを書いて「パパばいばい」
と手を振った。
また近いうちに来る事を約束して病院を後にした。
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