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始まり
別れない
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彼が海外出張から帰って来る前日にあのカフェに呼び出された。
明後日は創立記念パーティだから今日しか話が出来ない。
私はパーティの準備スタッフのリーダーだから明日明後日は忙しい。
そんな中では私には時間が作れない。
いくら専務の娘だからと言って私の邪魔をすれば非難を浴びてしまう。
そこまで彼女は愚かではなかった。
カフェに行き以前と同じ様に飲み物が出てくるまでは当たり障りの無い話をする。
飲み物が飲みたかったお互いに喉を潤すため一口飲むとまた彼女から言葉が吐き出された。
「忙しい時にごめんなさいね。今日しか話が出来ないから」
「いえ、私も明日明後日は会社には出社しないので。」
「明日、斎条さんが帰国するわ。父から話をしてくれるからもしかしたら…明後日のパーティでは婚約発表が有ると思うの。だからその前に華村さんには話をしておこうと…」
あぁー、既にそんな事になっているのか……。
彼女の頭の中では既に彼から結婚の了承を得ているのか……。
でも…彼から私には毎日電話やメールが来てるが専務からそんな話があったとは聞いてない。
直接彼に話をするのだろう。
確かに電話やメールでは娘の結婚の話をすることは無いだろう。
私も明日明後日は忙しいから彼とゆっくり会えるのはパーティの後になってしまう。
それは彼も承知している。
「わざわざ、ありがとうございます。」
「その後の事は悪いようにはしないと約束するわ。再就職先も既に用意しているしその準備金もちゃんとさせてもらうから心配しないでね」
ニッコリ笑ってまたこの間のように足取り軽く雑踏の中に消えた。
既視感??
そしてまたカフェのオーナーが雛形さんの座っていた場所に腰をおろす。
またまた既視感??
「彼女……もう脳内お花畑状態だね。断られるなんて1個も思って無い……何で言わないの?斎条君はチィちゃんの……」
「彼女みたいなタイプは私から話しても信じないだろうし逆上したら何しでかすか判らない。私も仕事に支障が出るのは困るし…」
「確かに…恐らく今まで何一つ不自由してきた事は無いんだろうね。父親の力を自分の力と信じて疑わないタイプだね。」
雛形京子は社内でも自分の父親が専務だと隠さない。
寧ろそれを前面に出している。
仕事はそこそこで入社当時は他の課にいたがトラブルを起こしてはあっちこっちの課を転々としている。
今の営業事務でやっと落ち着いているが次にトラブルを起こせば会社には要られなくなるのは彼女の方だ。
だからこそ専務は結婚させて退職させたいのだろう。
彼女のプライドはエベレストよりも高くプライドを傷つけたならありとあらゆる手を使って嫌がらせをしてくるのは火を見るより明らか。
彼女に嫌がらせをされて退職した社員は何人もいる。
「さて、今日は帰るね。実家に行く事になってるの。今日しか私も時間が取れないし……」
「そっか…チィちゃんお父さんにヨロシク言っておいて。また顔を出すからと…」
「うん…じゃあね。」
カフェを出て大通りでタクシーを捕まえ実家に向かう。
実家には少し遅くなる事は伝えてあるから大丈夫。
但し母は煩く言うだろう。
女性が仕事することは反対はしないが家庭に落ち着いて孫の顔を早く見せてほしいと言う。
その度に父からは窘められる。
父は女性が仕事することは良いことだと常に言っている。
家庭か仕事かは私が自由に選び専業でも兼業でもどちらも応援すると……
母は結婚前は働いていたが不器用だからと結婚と同時に専業主婦になり時折父の仕事を手伝うだけ。
今日も母からは孫の顔を見せてと言われるだろうし父は母を嗜めて私を応援してくれるだろう。
実家で両親と一緒に食事を済ませ自分の部屋に行くとスマホにはメールが届いていた。
彼からだ。
画面をタッチして開く。
(お疲れ様。手が空いたら連絡して…)
スマホには不在着信のお知らせマークがあった。
実家にいるのは知っているから出ないのは食事かお風呂だと思っているはず…。
まさか雛形さんに呼び出された事は知らない。
知られたらまた煩く言われる……。
メールを返信して暫くするとコール音が鳴る。
彼からの電話。
「もしもし?」
『もしもし、千比絽。遅くにゴメン。』
「ん、大丈夫。そっちこそ大丈夫なの?まだ仕事中では無いの?」
『今日の夜の便で帰国するから今はもうホテルにいるよ。明日の夕方には成田に着くよ』
「そう…。私は明日と明後日をパーティの準備が有るから実家に泊まるから会えるのはパーティの翌日かな?」
『そうだったな。日本に帰っても直ぐに千比絽に会えないのか……寂しいな…』
「このパーティが終わったらこれからの事をゆっくり考えてみようと思ってる……やっと時間を作れるから…」
『うん、そうだな。千比絽のしたいようにすればいいよ。千比絽が出した結論なら応援する』
「ありがとう…」
『何だか元気無いな。いつもの千比絽じゃないみたいだ…』
「そんな事無いよ?パーティの準備で忙しくて疲れたのかな?」
不味い……
電話だと思って気が緩んだのか……
彼は私以上に私の事を良く判っている。
『千比絽…、何があっても俺は千比絽を応援するし千比絽のしたいと思っている事をさせてやりたいけど…。何があっても千比絽とは別れないからね』
彼から『別れないからね』と何度となく言われる。
雛形さんのようにこれまで何度も彼と別れろとと言われてきた。
その度に『千比絽とは別れないから』と言われてきた。
何処からか雛形さんの話を聞いたのだろう……
『千比絽…愛してる。俺は何があっても千比絽だけだから』
『うん…。私も…渉を愛してる』
彼との電話を切り布団に潜り込む。
身体は疲れているのに直ぐには寝れそうに無い…。
明日から…いや、12時過ぎてるから今日明日は忙しさで考える暇はない。
目を閉じている内にいつの間にか眠りについていた。
明後日は創立記念パーティだから今日しか話が出来ない。
私はパーティの準備スタッフのリーダーだから明日明後日は忙しい。
そんな中では私には時間が作れない。
いくら専務の娘だからと言って私の邪魔をすれば非難を浴びてしまう。
そこまで彼女は愚かではなかった。
カフェに行き以前と同じ様に飲み物が出てくるまでは当たり障りの無い話をする。
飲み物が飲みたかったお互いに喉を潤すため一口飲むとまた彼女から言葉が吐き出された。
「忙しい時にごめんなさいね。今日しか話が出来ないから」
「いえ、私も明日明後日は会社には出社しないので。」
「明日、斎条さんが帰国するわ。父から話をしてくれるからもしかしたら…明後日のパーティでは婚約発表が有ると思うの。だからその前に華村さんには話をしておこうと…」
あぁー、既にそんな事になっているのか……。
彼女の頭の中では既に彼から結婚の了承を得ているのか……。
でも…彼から私には毎日電話やメールが来てるが専務からそんな話があったとは聞いてない。
直接彼に話をするのだろう。
確かに電話やメールでは娘の結婚の話をすることは無いだろう。
私も明日明後日は忙しいから彼とゆっくり会えるのはパーティの後になってしまう。
それは彼も承知している。
「わざわざ、ありがとうございます。」
「その後の事は悪いようにはしないと約束するわ。再就職先も既に用意しているしその準備金もちゃんとさせてもらうから心配しないでね」
ニッコリ笑ってまたこの間のように足取り軽く雑踏の中に消えた。
既視感??
そしてまたカフェのオーナーが雛形さんの座っていた場所に腰をおろす。
またまた既視感??
「彼女……もう脳内お花畑状態だね。断られるなんて1個も思って無い……何で言わないの?斎条君はチィちゃんの……」
「彼女みたいなタイプは私から話しても信じないだろうし逆上したら何しでかすか判らない。私も仕事に支障が出るのは困るし…」
「確かに…恐らく今まで何一つ不自由してきた事は無いんだろうね。父親の力を自分の力と信じて疑わないタイプだね。」
雛形京子は社内でも自分の父親が専務だと隠さない。
寧ろそれを前面に出している。
仕事はそこそこで入社当時は他の課にいたがトラブルを起こしてはあっちこっちの課を転々としている。
今の営業事務でやっと落ち着いているが次にトラブルを起こせば会社には要られなくなるのは彼女の方だ。
だからこそ専務は結婚させて退職させたいのだろう。
彼女のプライドはエベレストよりも高くプライドを傷つけたならありとあらゆる手を使って嫌がらせをしてくるのは火を見るより明らか。
彼女に嫌がらせをされて退職した社員は何人もいる。
「さて、今日は帰るね。実家に行く事になってるの。今日しか私も時間が取れないし……」
「そっか…チィちゃんお父さんにヨロシク言っておいて。また顔を出すからと…」
「うん…じゃあね。」
カフェを出て大通りでタクシーを捕まえ実家に向かう。
実家には少し遅くなる事は伝えてあるから大丈夫。
但し母は煩く言うだろう。
女性が仕事することは反対はしないが家庭に落ち着いて孫の顔を早く見せてほしいと言う。
その度に父からは窘められる。
父は女性が仕事することは良いことだと常に言っている。
家庭か仕事かは私が自由に選び専業でも兼業でもどちらも応援すると……
母は結婚前は働いていたが不器用だからと結婚と同時に専業主婦になり時折父の仕事を手伝うだけ。
今日も母からは孫の顔を見せてと言われるだろうし父は母を嗜めて私を応援してくれるだろう。
実家で両親と一緒に食事を済ませ自分の部屋に行くとスマホにはメールが届いていた。
彼からだ。
画面をタッチして開く。
(お疲れ様。手が空いたら連絡して…)
スマホには不在着信のお知らせマークがあった。
実家にいるのは知っているから出ないのは食事かお風呂だと思っているはず…。
まさか雛形さんに呼び出された事は知らない。
知られたらまた煩く言われる……。
メールを返信して暫くするとコール音が鳴る。
彼からの電話。
「もしもし?」
『もしもし、千比絽。遅くにゴメン。』
「ん、大丈夫。そっちこそ大丈夫なの?まだ仕事中では無いの?」
『今日の夜の便で帰国するから今はもうホテルにいるよ。明日の夕方には成田に着くよ』
「そう…。私は明日と明後日をパーティの準備が有るから実家に泊まるから会えるのはパーティの翌日かな?」
『そうだったな。日本に帰っても直ぐに千比絽に会えないのか……寂しいな…』
「このパーティが終わったらこれからの事をゆっくり考えてみようと思ってる……やっと時間を作れるから…」
『うん、そうだな。千比絽のしたいようにすればいいよ。千比絽が出した結論なら応援する』
「ありがとう…」
『何だか元気無いな。いつもの千比絽じゃないみたいだ…』
「そんな事無いよ?パーティの準備で忙しくて疲れたのかな?」
不味い……
電話だと思って気が緩んだのか……
彼は私以上に私の事を良く判っている。
『千比絽…、何があっても俺は千比絽を応援するし千比絽のしたいと思っている事をさせてやりたいけど…。何があっても千比絽とは別れないからね』
彼から『別れないからね』と何度となく言われる。
雛形さんのようにこれまで何度も彼と別れろとと言われてきた。
その度に『千比絽とは別れないから』と言われてきた。
何処からか雛形さんの話を聞いたのだろう……
『千比絽…愛してる。俺は何があっても千比絽だけだから』
『うん…。私も…渉を愛してる』
彼との電話を切り布団に潜り込む。
身体は疲れているのに直ぐには寝れそうに無い…。
明日から…いや、12時過ぎてるから今日明日は忙しさで考える暇はない。
目を閉じている内にいつの間にか眠りについていた。
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