私の相棒はモテモテです!

凰雅柚月

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始まり

気持ちは解る

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 渉の言葉に観念したのか雛形さんは……

「そうよ……私が頼んだわ。アンタなんか失敗すれば良かったのよ。そうなればズタズタになって会社を辞めて斉條さんから離れれば良いと思ったのよ!」


「京子!お前って奴は…。
お前がトラブルを起こす度に言ってきたよな?相手だけが悪いのではないと…
お前を庇って来たのは間違いだった。
成長して貰いたいからこそクビにならないように各部署の部長に頭を下げて来たのは間違いだった。
あの時、解雇にしてもらっていたら…こんな事には為らなかった…」

雛形専務は項垂れ頭を抱え込んだ。

「だって……私は悪くない。
私が何でコピー取りやらお茶汲みしないとならないのよ!
それなのに……」

「雛形さん、お茶汲みは何も女性だからって訳ではないの。
お茶を配る事で部署内の人たちの名前を覚えたりする目的も有るの。
部署に依っては来社するお客さまの顔と名前と会社名、その担当者は誰かを覚えるのに一番なのよ?
コピー取りも誰がどんな仕事を担当しているのか…
会社に入社して来た新人には皆しているのよ?
勿論、雛形さんのお父様雛形専務も斉條さんもしてきたの。
これは我が社が創立して来てからの決まりだから例外は無いの。
社内報には新入社員が入る4月に毎年載せてるけど見てないの?」



大企業に成長した今も残る古い風習と言われればその通りだがお茶汲みをして一人一人に声をかけて先ずは社内の人間を知る。
コピー取りも誰に頼まれた物かを確認して今担当している仕事を知る。
新人の内は色んな人間のアシスタントをする。
新人が慣れてくればお茶汲みはさせない。
各人が好きなときに自分でお茶を汲む。

4月~6月の間だけの風習だ。


「私が嫌いなら仕方無いと思います。
でも…今回の事で会長や社長に迷惑掛けてしまったのは許されないです。
会長や社長だけではありません。
パーティの準備スタッフもです。
清宮さんが一番可哀想です。
頼まれた事を遂行しただけなのにパーティを台無しにしてしまう事になるなんて思って無かったのでしょう。
体調を崩してしまい入院しました…」

清宮さんは余りにも思い詰めてしまいホテルを出た所で倒れてしまった。
幸い市川くんが一緒にいた為に救急車を呼び病院に運ばれ今も入院している。


私の話を聞き雛形さんは顔を青ざめた。

「私は…ただ…華村さんに斉條さんと別れて欲しかったの!
仕事で失敗すれば……
追い詰められて……
離れると思ったのよ」


雛形さんはそれほどに渉が好きなんだ。
渉は素敵な男性だから惹かれる気持ちは解る。
だけど…他人を巻き込んではいけない。
それは人として……
大人として…


「雛形さん……」

「仮に……華村さんが失敗して会社を辞めても僕は華村さんと別れる訳無いよ。
仕事に失敗したから別れる何てどうしてそんな考えになるのか……」

「だって…何の取り柄もないそんな女は斉條さんの足を引っ張ってしまうだけじゃない。
私なら斉條さんを支えられる!
パパだって斉條さんみたいな人が私の婿になってくれたらって言ってたのよ!
私なら将来社長になる斉條さんを……」

「君には無理だよ。
僕を支えられない。
仮に僕が華村さんと別れたなら…
僕は社長に何てならないよ。
いや、なれないって言った方がいいかな…?」


雛形さんはポカンとした顔で渉を見ていた。


「だって…華村さんが社長の子供だからね。
華村さんと別れたら僕は養子縁組を解除しないとならないからね。
華村さんは本当は斎条千比絽で僕は婿養子なんだ。
僕の旧姓が華村だから千比絽は華村の姓を名乗り勤めていたんだ。」


渉の言葉に雛形専務も驚いていた。



「だって…いつ?華村さんといつ結婚していたの……?」


「結婚したのは千比絽が18歳で僕が21歳の時だから。
結婚の条件として斎条家に養子に入ることだった。
だからこの会社に入社した時には千比絽と結婚した後だから斎条を名乗った。
千比絽が入社するのに同じ名前では仕事がし辛くなるのを懸念して僕の旧姓で入社した。
この事を知るのは人事部長と千比絽の課長と部長だけだから…
だから…君には僕を支えられない…
仮に千比絽が居なかったとしても君を選ぶ事はないよ」

渉の言葉は辛辣だった。
人を陥れるような人間は信用出来ないと後に続けて吐いた。











雛形さんは解雇処分となった。
父親の雛形専務は会長の判断により来月から副社長となり会社に貢献して貰う事になった。

子供の仕出かした事は子供自身に責任を取らせる。
それが会長の出した最後の決断だった。


会議室を出た後に清宮さんの様子を聞く為に市川くんに電話した。
清宮さんは昼過ぎに退院して今は自宅に戻って居ると聞いた。

未だ心配だからと市川くんは清宮さんに付き添っている。

落ち着いたら清宮さんには会社に電話するように伝えて貰う。

清宮さんに処分は無いから安心してこれからも会社に出て来るようにと課長から話されるだろう。


私は部署に戻り報告書の残りを仕上げて課長に提出した。
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