いじめの代償

凰雅柚月

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いじめの代償 5

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自殺か事故か……

若しくは他殺……



盗難事件の直ぐあとに起きた転落事故とありマスコミは大々的に報道した。
転落事故さえなければ盗難事件は報道されなかった。
自殺、事故とはいえ未成年が学校で亡くなったのだからマスコミは挙って調べあげた。
時には警察さえ知らなかった事が新聞に載った。

明るみに出るいじめグループの素性。
テレビや新聞では未成年故に実名報道はされなかったが学校や地名が出れば自ずと分かってしまう。
恐ろしいのはネットにて名前が出たこと…
家族構成、両親の勤務先、電話番号等個人情報が晒されている。
削除依頼をしても拡散されてしまっているから後から後からまたネットにて上がってしまう。
いたちごっこだ。

いじめグループ達の家族は学校や会社、買い物すら行けないほど自宅をマスコミや野次馬に囲まれている。
誤った情報も出回り無関係な人間が巻き込まれ裁判沙汰にまで発展している。



今時の学校には防犯カメラが設置されている。
防犯カメラには女生徒しか写されてはいなかったが防犯カメラが死角になっている場所があった。
そこを通れば誰にも見られずに防犯カメラにも写らずに屋上に行ける。

数人の生徒達からの情報だ。

そして一般家庭にも防犯カメラが普及している昨今学校近くのコンビニや商店、一般家庭に警察は聞き込みをして回り録画画像をチェックした。






ただ、事件のあったその日は部活や補習もあり生徒達が登校していた。
事件があった時間帯だけに絞り混むが生徒達の記憶が曖昧だ。

当然だろう。

何か特別の事がなければ日常の一コマを事細かに思い出す事など難しい。
何回も聞く内に思い出す事は多々ある。
警察官が生徒達に何回も何回も聞く……


生徒達は何回も何回も聞かれる……


そうして更に数日後……



呆気なく事件が解決した。



犯人が警察に出頭したからである。





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