蝋燭館の事件簿

杉野桜姫

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少女探偵と蝋燭館

セイヨウハズオウの秘密

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ヒカリはおもちゃの家の前に立った
「行くんですか?」
「当然!」
ヒカリはきっぱりと答えた
「本気になってるわ」
浅見はお粥を食べた
「おもちゃの家の館長が殺されたのが夜と」
佐藤は複雑そうに見た
氷川はヒカリを止めようかと考えた
「館長が亡くなったが」
女性は小さくうなずいた
佐藤は外からみて
「外見は西洋建築か」
女性はヒカリたちに
「館長は日本風にしようと」
「景観に合わせたって?」
女性はうなずいた
「周辺住人から」
浅見は入るか迷っていた
「でも入るのはやめるわ」
「どうして?」
浅見はキョトンとした
「館長は差別的な感覚があるから」
「見ていたんだ」
「ファンサイトで書き込んでね」
「それを利用して?」
チェレンは戸惑った
「でも西洋系の人を嫌ってるのはどうしてですか?」
「西洋系とかじゃなくキリスト教自体を嫌って」
ヒカリのスマートフォンが鳴った
「エンナからだ」
「エンナ?」
ヒカリはうなずいた
「電話ボックスが突然」
「どうかしたんですか?」
浅見はおもわず口を挟んだ
「どうしたんですか?」
ヒカリは驚いた
「検視も依頼したいわ」
「検視も?」
エンナはうなずいた
ダイゴは咳き込みながら電話ボックスを見た
「すごい煙」
「でしょうね、多くの目撃者もいるわ」
ヒカリは時計を見た
ベルは周りをみまわたした
「ここって」
「山下公園?」
エンナは顔をひきつった
「近くにエッグンシングがあるのよ」
「食べたいのね?」
エンナは図星をつかれたと思った
「この電話ボックスから黒焦げの人間が?」
ダイゴはうなずいた
チェレンは鼻をヒクヒクさせた
「なんか匂いがないが」
「匂い?」
エンナはチェレンを見た
チェレンはうなずいた
「チェレンに言われてみれば」
ヒカリは考えた
「なんか別の人間かもしれないわ」
「あたりの人からは悲鳴が響いたから」
「生きていたのね?」
エンナのスマートフォンが鳴った
「死んだって」
「誰が?」
ヒカリはエンナに言った
「丸焦げになった被害者の写真が大量にばらまかれた状態で」
「じゃあ、セイヨウハズオウの匂いは?」
エンナは唾を飲んだ
「セイヨウハズオウの匂いがたち込めていたわ」
氷川はベンチに座った
「横浜観光じゃなくなるわ!」
「確かに」
ヒカリは電話ボックスの下を見た
「ガス管?」
ヒカリはダイゴの裾を引っ張った
「調べてみて」
ダイゴはガス管をみて
「鑑識を呼ぶか」
浅見はヒカリをみて
「気になりだしたんですか?」
ヒカリはうなずいた
「この歯形を見て」
「確かに」
エンナは歯形を見て
「一般歯科にかかっていた患者だって」
「どういうのでかかっていたの?」
ダイゴはヒカリに
「雨宮ってまさか」
「昨日、あたし病院に」
「ヒカリが訪ねたの?」
エンナは驚いた
「息子の名前も聞いていたわ」
「息子の名前?」
エンナは興味をありげにヒカリに言った
「息子の名前が魔秀って」
「殺されたのは雨宮魔秀?」
ヒカリはうなずいた
「問題は先に息子を殺したかよ」
「もう一つ妙なものが」
浅見はコーヒーを持ってきた
「妙なものって?」
ヒカリは浅見を見た
「戦前の新聞が保存状態が良すぎて」
「保存状態が?」
エンナは浅見をジーと見て
「一昨日の夜に会った人だわ」
佐藤は佐野に
「雨宮さんってどんな人?」
「昔は優秀な人だったが」
「だった?」
佐野はうなずいた
「拠り所があって」
「拠り所?」
ベルは口を挟んだ
チェレンは窓を見た
「あの十字架?」
佐野はうなずいた
「神父様に会えますか?」
「今日は懺悔室にいるかと」
ヒカリは雨宮の検視を終えて
「死因は?」
エンナは立ち上がった
「死因は心臓発作で原因は息子の丸焦げ遺体が」
「原因ですか?」
ヒカリはうなずいた
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