蝋燭館の事件簿

杉野桜姫

文字の大きさ
上 下
11 / 14
少女探偵と蝋燭館

拠り所の家

しおりを挟む
ヒカリはスマートフォンを見た
「大丈夫ですか?」
浅見は心配そうに声を掛けた
「大丈夫じゃないもの」
ヒカリは頭を抱えた
「道に迷ったんですか?」
ベルはヒカリの顔を見た
チェレンは指差した
「この教会?」
ヒカリはうなずいた
「牧師の名前も間違いないわ」
Nは不安そうに見た
ヒカリは覚悟を決めて開けた
「おや?」
牧師がヒカリたちと目があった
「この教会の牧師?」
牧師はうなずいた
見た目は優しそうなおじいさんに見えた
ヒカリは椅子に座って
「こんな立派なマリア像が」
「マリア像に関心でも?」
エンナは照れ笑いした
「ミッション系出身でして」
ヒカリは教会の庭に行こうとした
「目ぼしいものはありませんよ」
牧師に止められた
相模は教会に入った
「相模さん?」
佐藤は奥の扉に目をやった
「あの部屋は?」
「懺悔室よ」
「知ってんだ」
ヒカリは相模に
「どうしてここに?」
「牧師様に用で」
「用事ですか?」
相模はうなずいた
チェレンは腕時計を見て
「ホテルに戻る時間では?」
ヒカリはしまったと思った
「どうしました?」
ヒカリたちは慌て教会を出た
「三聖人が」
「いなくなくったと?」
相模はうなずいた
ヒカリはボールペンをまわしながら考えた
「どうですか?」
ベルは心配そうにヒカリに声を掛けた
「ダメよ」
ヒカリはお手上げポーズでベルを見た
「三人共、明治時代の日本人の頭よ」
「明治時代ですか?」
ヒカリはうなずいた
「幕末にかけて外国人が日本来たでしょ?」
「イギリスなどですか?」
「ええ、赤ワインを人の生き血だと勘違いもあったわ」
浅見は首を傾げた
「間に合ったのはいいんですが」
「どうしたの?」
チェレンは海老の殻を剥きながら聞いた
「今回の事件で?」
浅見はうなずいた
「三聖人の遺体からはセイヨウハズオウの匂いがして」
ベルはヒカリの目を見て
「でもあの母娘には大切に飾られてましたね」
ヒカリはうなずいた
「あの三聖人がって」
佐藤はれんげをとって
「セイヨウハズオウの意味が」
「裏切り者って意味があると思うわ」
「裏切り者?」
佐藤は目をぱちくりさせた
「キリストを裏切った人間よ」
佐藤は考えた
ヒカリはエビチリを食べ終えて
「シャワーでも浴びて寝るわ」
チェレンは複雑そうに思った
佐藤はチェレンを思わずつついてやろうと思った
「つっこうと思った?」
佐藤はばれたと思った
ヒカリは部屋に戻った
「大丈夫?」
ヒカリはうなずいた
しおりを挟む

処理中です...