【第一部完結】無能呼ばわりされてパーティーを追放された俺だが、《神の力》解放により、《無敵の大魔導師》になっちゃいました。

マツヤマユタカ

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36 怒濤の快進撃

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 Fランク最後の依頼を、当然のことながら俺たちはあっさりとクリアした。

「これでEランクね!」

 リリーサが嬉しそうに言う。

「そういうことになるね」

 俺はそう言ってギルドのおっさんに水を向けた。

「はい。ではEランクの申請を受け付けさせていただきまして。はい、おめでとうございます。昇格です」

 リリーサはそれを聞くと、飛び上がらんばかりに喜んだ。

 俺はそんなに喜ぶとは思っていなかったため、ちょっと驚いた。

 だが確かに俺自信もそれなりにうれしかったのは事実だ。

 ここは一つ、リリーサと一緒に喜ぶとしよう。

「やったね、リリーサ。これでEランクだ」

「うん?いつまで喜んでいるの?さあ、さっさと次の依頼を受けましょうよ」

 ドライだ。

 ついさっきまで凄い喜んでいたじゃないか。

 それに俺は付き合おうとしただけじゃないか。

 なのに、何て切り替えが早いんだ。

 まったく、女の子って奴は。

「じゃあわたしはこの二つで」

 リリーサは、俺が心の中で考えている間に、さっさと次の依頼を決めていた。

 そして俺が選ぶのを待たずに、言ったのだった。

「じゃあ始めるわよ。よ~い……」

「ちょっと待った!それはズルいよ!」

 だがそれでリリーサが止まるわけもなく、号砲は打ち鳴らされた。

「ドーン!!」

 言うなりリリーサは、イタズラっぽい笑みを残して駆けだしていった。

 俺は頬を膨らませながら、慌ててリストをめくるのであった。



「さて、どうかな?」

 俺はEランクの依頼をあっさりと二つクリアすると、ドキドキしながらギルド内へと足を踏み入れた。

 すると、すかさずギルドのおっさんが俺を発見した。

「おかえんなさい。また旦那の勝ちですよ」

「いよっしゃーーー!」

 俺はすかさず勝利の雄叫びを上げた。

 ところで旦那って、俺の事かよ。

 何かちょっとむずがゆいな。俺まだ14歳だし。

 でもまあ、いいか。

 俺は懐から魔物の欠片を取り出すと、おっさんに手渡した。

 俺がカウンターに置かれた水差しを手にし、コップに水を注ぎ終えた時、丁度おっさんが言った。

「間違いありません。依頼クリアです」

「ああ。ありがとう」

 俺はそう言って椅子に座り、勝利の美酒ならぬ水を気持ちよく飲み干した。

 そこへ凄まじい勢いでリリーサが帰ってきた。

 そしてすぐにくつろぐ俺を発見し、地団駄を踏んだ。

「また負けた~~!悔しい~~!」

 悔しがる様子もまた可愛い。

 やっぱりリリーサは、本当に可愛らしい顔をしている。

 だがそんなリリーサに俺は勝利した。

 うん。なんて気持がいいんだ。

 だがそんな俺に、リリーサが責め立てるような口調で言ったのだった。

「何してるのよ。どうせ最後の一つはまだクリアしてないんでしょ?さっさと行くわよ」

「ああ、そうだったね。じゃあ行くとするか」

 俺はスッと立ち上がると、かなり不機嫌そうなリリーサの後を追ってギルドを出るのであった。



 俺たちはそんなこんなでEランクをクリアしてDランクになると、そのままの勢いでさっさとDランクもクリアし、見事Cランクへと昇格した。

 ちなみに勝負は全て俺が勝った。

 リリーサが凄まじく悔しがったことは言うまでもない。

 だがそこで今日の所は時間切れとなった。

「もう真っ暗だ。ここまでだね」

 俺がそう言うと、リリーサも仕方なさげにうなずいた。

「そうね。さすがにこれ以上はね」

「でもまあ一日でCランクになったわけだからね。凄いんじゃないかな?」

 するとギルドのおっさんが若干興奮気味に言った。

「もちろん凄いですよ!これはもしかすると記録かもしれませんよ?」

 するとリリーサが早速食いついた。

「えっ!?記録?それって本当なの?」

「調べてみないと確かではありませんが、わたしの記憶が正しいなら、そうだと思いますよ?」

「やったじゃない!アリオン!」

 リリーサが両手を俺に向ける。

 これはもしかして、ハイタッチって奴だろうか。

 俺は恐る恐る手を出してみる。

 するとリリーサが思いっきり手を前に出し、俺の手にパーンと音を立ててはたいた。

 どうやらハイタッチで合っていたらしい。

 俺はドキドキしていた。

 だがそこでリリーサが、何食わぬ顔をして言った。

「さあ、それじゃあ宿探しね」

 へ?

 まさかこの町に泊まるつもり?

 本当に帰らないとでも?

 俺はリリーサの耳元に顔を近づけ、ささやき声で言った。

「いやリリーサ、さすがにマズいでしょ」

 リリーサがすかさず俺に向かって振り向いた。

 結果、もの凄い近いところにリリーサの顔が。

 リリーサも同じ事を思ったらしく、慌てて顔を引いた。

 俺も引いた。

 だがそこでリリーサは、すぐに気持を持ち直した。

「とにかく、宿を探すわよ。いいわね?」

 ……いいわけないじゃん。

 でも俺はその時、あまりにもドキドキし過ぎて何も言えなかったのであった。
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