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55 秘密の開示
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俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
何故ならば目の前のジトー侯爵に、ある種の覚悟を感じたからだった。
恐らく俺の顔は、引き攣ったものとなっていたのだろう。
それを見てジトー侯爵がフッと息を漏らした。
「冗談だ。冗談」
いや、違う。冗談じゃない。
だが俺の緊張を見て、止めたんだ。
ジトー侯爵には、秘密がある。それは間違いない。
俺はそれを聞き出さないとならない。
だがどうやって?
今、ジトー侯爵は俺を信用しかけた。
それなのに俺が緊張感満載の顔をしたから、秘密を共有するに足らない奴だと思われたんだ。
もう一度だ。もう一度ジトー侯爵に俺を信用させないと。
「冗談ね。そうは思えないけど」
「いや、冗談さ」
ジトー侯爵は身体をソファーに預け、くつろいだ姿勢を取っている。
どうする?
今までのことを思い起こすと、ジトー侯爵は恐らく敵じゃない。
ならば味方に引き込みたい。
なんといっても王弟だ。しかも、世間の評判とは真逆の実力者。
これからの調査にうってつけの人物じゃないか。
どうすればいい?
どうすればジトー侯爵に秘密の開示をさせられる?
俺は考えをまとめると、真剣な表情となって、ジトー侯爵を見据えた。
「俺にも秘密がある」
するとジトー侯爵の目が鋭く光った。
罠か?
俺はまんまと嵌められたのか?
いや、違う。
あの目は、好奇の目だ。
純粋に俺のことを知りたがっている目だ。
ジトー侯爵はゆっくりと身体を起こし、前のめりとなって俺を見つめた。
そしてゆっくりと、静かに、口を開いたのだった。
「いいだろう。互いに秘密の開示をするとしよう」
俺はゆっくりとうなずいた。
「ああ。そうしよう」
ジトー侯爵は俺の眼を一瞬も離さず、捉え続けた。
俺の目の奥に何がいるのか、それを探っているかのように。
だがそれは俺も同じだった。
俺もジトー侯爵の目の奥の輝きが、どのような意味を持つのかを確認しようと睨み続けた。
するとジトー侯爵が静かな口調で言った。
「では、わたしの方から言おう」
「わかった。だけど、嘘偽りなく頼むよ」
ジトー侯爵は静かにうなずいた。
「わたしの真の姿は、王直属の最終護衛者だ」
俺は目を見張った。
王直属の最終護衛者だって?聞いたことがない。本当か?
「疑っているようだね?」
俺は、ここは素直に言った。
「聞いたことがないものでね」
ジトー侯爵は何度もうんうんとうなずいた。
「そうだろうね。何せ秘密の存在だからね」
「それは、貴方だけなのかい?」
ジトー侯爵はゆっくりと首を横に振った。
「いや、違う。複数名いる」
「複数名ね。つまり人数は教えるつもりはないということか」
ジトー侯爵は静かに笑った。
「そうだな。人数は秘中の秘だ。無論、本来はその存在を明かすことも厳禁なのだ。そこを汲んでくれるかな?」
「わかった。人数はいい。その目的を知りたい」
「決まっているだろう。王の警護だ」
「それだけか?だったら放蕩者を装う必要はないじゃないか」
するとジトー侯爵が口の端をクイッと上げた。
「さすがだね。その通りだよ。わたしが放蕩者を装っているのは、まあ実際遊び人なのは事実なんだが、その実、敵の目を欺くためだ」
俺はうなずいた。
「王に危害を加えようとする者たちを謀るわけだ。さらに言うなら、様々なところで情報収集をするには遊び人って評判は最適だろうしね」
ジトー侯爵は笑みを浮かべて何度もうなずいた。
「納得したかい?」
なるほどね。
王にとっての最後の砦。
世間からは遊び人と思われていながら、その実、最強クラスの剣技を持った実力者。
ジトー侯爵の正体にふさわしいと言える。
「ああ。納得したよ」
「それはよかった。では次は、君の秘密を開示してもらおう」
俺は大いにうなずいた。
ジトー侯爵の秘密の開示は真実だ。
ならばこちらも真実を語ろう。
それが互いの信頼を生む結果となる。
「俺は、リリーサ王女暗殺未遂事件の犯人を捕らえるために、ここアクアマリンに来たんだ」
するとジトー侯爵が、ギュッと眉根を寄せて一瞬で立ち上がった。
「なに!?リリーサが?暗殺未遂だと!?」
過剰なくらいの反応に、俺は一瞬驚いた。
だがすぐに思い出した。
「ああ、そうか。リリーサ王女は貴方にとって姪に当たるのか」
「そうだ。幼い頃より可愛がってきたつもりだ。そのリリーサが暗殺未遂だと!?」
ジトー侯爵の顔は憤怒に燃えている。
これは演技じゃない。
真実の怒りだ。
俺は覚悟を決めて、言った。
「俺は犯人を捕まえたい。だからそれに協力してくれないか?」
何故ならば目の前のジトー侯爵に、ある種の覚悟を感じたからだった。
恐らく俺の顔は、引き攣ったものとなっていたのだろう。
それを見てジトー侯爵がフッと息を漏らした。
「冗談だ。冗談」
いや、違う。冗談じゃない。
だが俺の緊張を見て、止めたんだ。
ジトー侯爵には、秘密がある。それは間違いない。
俺はそれを聞き出さないとならない。
だがどうやって?
今、ジトー侯爵は俺を信用しかけた。
それなのに俺が緊張感満載の顔をしたから、秘密を共有するに足らない奴だと思われたんだ。
もう一度だ。もう一度ジトー侯爵に俺を信用させないと。
「冗談ね。そうは思えないけど」
「いや、冗談さ」
ジトー侯爵は身体をソファーに預け、くつろいだ姿勢を取っている。
どうする?
今までのことを思い起こすと、ジトー侯爵は恐らく敵じゃない。
ならば味方に引き込みたい。
なんといっても王弟だ。しかも、世間の評判とは真逆の実力者。
これからの調査にうってつけの人物じゃないか。
どうすればいい?
どうすればジトー侯爵に秘密の開示をさせられる?
俺は考えをまとめると、真剣な表情となって、ジトー侯爵を見据えた。
「俺にも秘密がある」
するとジトー侯爵の目が鋭く光った。
罠か?
俺はまんまと嵌められたのか?
いや、違う。
あの目は、好奇の目だ。
純粋に俺のことを知りたがっている目だ。
ジトー侯爵はゆっくりと身体を起こし、前のめりとなって俺を見つめた。
そしてゆっくりと、静かに、口を開いたのだった。
「いいだろう。互いに秘密の開示をするとしよう」
俺はゆっくりとうなずいた。
「ああ。そうしよう」
ジトー侯爵は俺の眼を一瞬も離さず、捉え続けた。
俺の目の奥に何がいるのか、それを探っているかのように。
だがそれは俺も同じだった。
俺もジトー侯爵の目の奥の輝きが、どのような意味を持つのかを確認しようと睨み続けた。
するとジトー侯爵が静かな口調で言った。
「では、わたしの方から言おう」
「わかった。だけど、嘘偽りなく頼むよ」
ジトー侯爵は静かにうなずいた。
「わたしの真の姿は、王直属の最終護衛者だ」
俺は目を見張った。
王直属の最終護衛者だって?聞いたことがない。本当か?
「疑っているようだね?」
俺は、ここは素直に言った。
「聞いたことがないものでね」
ジトー侯爵は何度もうんうんとうなずいた。
「そうだろうね。何せ秘密の存在だからね」
「それは、貴方だけなのかい?」
ジトー侯爵はゆっくりと首を横に振った。
「いや、違う。複数名いる」
「複数名ね。つまり人数は教えるつもりはないということか」
ジトー侯爵は静かに笑った。
「そうだな。人数は秘中の秘だ。無論、本来はその存在を明かすことも厳禁なのだ。そこを汲んでくれるかな?」
「わかった。人数はいい。その目的を知りたい」
「決まっているだろう。王の警護だ」
「それだけか?だったら放蕩者を装う必要はないじゃないか」
するとジトー侯爵が口の端をクイッと上げた。
「さすがだね。その通りだよ。わたしが放蕩者を装っているのは、まあ実際遊び人なのは事実なんだが、その実、敵の目を欺くためだ」
俺はうなずいた。
「王に危害を加えようとする者たちを謀るわけだ。さらに言うなら、様々なところで情報収集をするには遊び人って評判は最適だろうしね」
ジトー侯爵は笑みを浮かべて何度もうなずいた。
「納得したかい?」
なるほどね。
王にとっての最後の砦。
世間からは遊び人と思われていながら、その実、最強クラスの剣技を持った実力者。
ジトー侯爵の正体にふさわしいと言える。
「ああ。納得したよ」
「それはよかった。では次は、君の秘密を開示してもらおう」
俺は大いにうなずいた。
ジトー侯爵の秘密の開示は真実だ。
ならばこちらも真実を語ろう。
それが互いの信頼を生む結果となる。
「俺は、リリーサ王女暗殺未遂事件の犯人を捕らえるために、ここアクアマリンに来たんだ」
するとジトー侯爵が、ギュッと眉根を寄せて一瞬で立ち上がった。
「なに!?リリーサが?暗殺未遂だと!?」
過剰なくらいの反応に、俺は一瞬驚いた。
だがすぐに思い出した。
「ああ、そうか。リリーサ王女は貴方にとって姪に当たるのか」
「そうだ。幼い頃より可愛がってきたつもりだ。そのリリーサが暗殺未遂だと!?」
ジトー侯爵の顔は憤怒に燃えている。
これは演技じゃない。
真実の怒りだ。
俺は覚悟を決めて、言った。
「俺は犯人を捕まえたい。だからそれに協力してくれないか?」
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