【第一部完結】無能呼ばわりされてパーティーを追放された俺だが、《神の力》解放により、《無敵の大魔導師》になっちゃいました。

マツヤマユタカ

文字の大きさ
112 / 138

112 鉄製の扉

しおりを挟む


 これが奴の奥の手か。


 ……結構やばそう。


 トリストは巨大な丸太のような腕をブンブンと振り回して、準備運動をしている。


 あれをまともに喰らったら終わりだな。


 ほぼ即死。


 かろうじて生きていたとしても、瀕死の重傷だ。


 その後、滅多クソにやられて終わるに決まっている。


 脚の太さはそれ以上だ。


 あのデカい図体だから、素早い蹴りなんて出来ないだろうけど、喰らったらこっちは完全に即死だね。


 てことは、肉弾戦は避けた方が良いってことだ。


 俺は魔力勝負に持ち込むことに決めた。


「そんじゃあこっちから行くぜ」


 トリストが余裕の表情で応じる。


「いつでも構わん。好きにしろ」


 偉そうに。


 さっきまで瀕死だったくせに。


 ちょっと大きめの皮を被っただけで、急に態度でかくしやがって。


 それでも俺の方が強いっての。


 俺は心の中でぶつくさと文句をひとしきり言うと、意を決して攻撃を仕掛けるのだった。


「喰らえっ!」


 俺は両腕から爆炎をぶっ放した。


 凄まじい業火が、猛り狂ってトリストに襲いかかる。


 だがトリストは避けない。


 自らの右腕を伸ばし、その先の手のひらで爆炎をせき止めた。


 行く先を止められた炎は、四散した。


 俺は軽く歯と歯を合わせて、ギリッと音を鳴らした。


「くそっ!魔法耐性も強くなってるってのか」


 すると俺の声が聞こえたらしく、トリストが勝ち誇ったように言った。


「当然だ。これはわたしが『黄昏の時』に備えて用意しておいた、最終兵器なのだからな」


 うん?『黄昏の時』って、確か前にも言っていたな?


「おい、その『黄昏の時』って、何なんだ?それに、前に俺のことを神話のなんちゃらって言ってたけど、それも一体何なんだ?」


 するとトリストが鼻でせせら笑った。


「知らなくていい。どうせお前は、ここで死ぬことになるのだからな」


 ちっ!


 思わせぶりなことばかり言いやがって。


 いいさ。必ずぶっ倒して、全部白状させてやる!


 俺はそう心に決めると、再び紅蓮の炎を繰り出すのであった。








 ジトー侯爵はアリオンと別れて洋館の中をひた走り、建物の北側へとたどり着くや、素早く窓を開け、そこに待機しているであろうリリーサに向かって手招いた。


 すると次の瞬間、庭の草むらがザザッと大きな音を立てて揺らめき、リリーサが素早くそこから飛び出してきた。


 リリーサは圧倒的な速度で庭を駆け抜け、ジトー侯爵が開けた窓にそのままの勢いで飛び込んだ。


「アリオンは?」


 リリーサの短い問いに、ジトー侯爵も短く答えた。


「上だ」


 それだけでリリーサには意味が通じた。


 リリーサはうなずくと、すぐに地下へと通ずる階段へと向かった。


 階段は特に隠されているわけでもなく、すぐそこにあった。


 リリーサは躊躇なく階段に飛び込み、階下へ向かった。


 ジトー侯爵も間髪を入れずにリリーサの後に連なり、地下へと向かった。


 階段は十段降りるごとに方向を変え、二度目の方向転換、三十段を駆け下りたところで、扉が二人の行く手をふさいだのだった。


 扉は重厚な鉄で出来ており、剣でどうにか出来るレベルではないと思われた。


 だがリリーサは、構わず腰の剣を抜き放った。


 そして裂帛の気合いを込めて剣を振り下ろすと、鉄製の扉がさも紙切れのようにスパッと切れたのだった。


 リリーサは返す刀でさらに鉄の扉を切り刻み、分厚い鉄板が倒れて轟音を鳴り響かせる中、人が通れるほどの大きな穴を開けたのだった。


「お見事。腕を上げたな、リリーサ」


 ジトー侯爵のお褒めの言葉に、リリーサが得意げな顔で応じた。


「当然よ、おじ様。だってわたし、剣豪だもの。これくらいは朝飯前よ」


「そうか。それは頼もしいことだ」


 ジトー侯爵はそう言うと、扉の奥を眺め見た。


 リリーサも同じく中をのぞき込み、言った。


「特に見張りがいるって訳じゃないみたい。楽勝かしら」


 だが年長のジトー侯爵が、すかさずリリーサをたしなめた。


「気を抜くな。その一瞬の油断が命取りとなるぞ」


 するとリリーサが、素直に受けた。


「そうね。おじ様の言うとおりだわ。気合いを入れていきましょう」


「うむ」


 ジトー侯爵は短くそれだけ言うと、今度は自分が先頭に立って、扉の穴をくぐった。


 扉の先は、冷たい石畳が続いている。


 一切の油断なく静かにゆっくりと歩を進めるジトー侯爵。


 その後に続くリリーサも、周囲を注意深く観察しながら進んでいった。


 すると進む先の空間が、微かに揺らめいた。


 ジトー侯爵はスッと足を止め、ジーッと先の空間を凝視した。


「リリーサ、何かがいる。気をつけろ」


 ジトー侯爵は囁くようにリリーサに告げた。


 すると次の瞬間、思いも寄らぬことが二人の身に起こるのであった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...