転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第十三話 リーダー

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「異常だな。先ほどの魔法といい、今の言動といい、この子はどうやら、異常なようだ」

 四人の内もっとも後ろにいた、鋭い目つきの長身の男が、静かにぼつぼつと語った。

 すると先ほど先頭でガイウスの魔法を受け止めた小太りの男が、それに反応して後ろを振り返りつつ問いかけた。

「どういう意味ですか?」

「特に深い意味はないさ。ただあまりにも普通とはかけ離れているのでな。そう言ったまでだ」

「たしかに、こいつは普通のガキじゃない」

 そこで男たちのやり取りをそれまで黙って聞いていたガイウスが、やおら話に割って入った。

「やっぱり後ろのあんたがリーダーか。まあ手前の人はリーダーって器じゃなさそうだしね」

「なんだと!?この小僧」

 小太りの男が怒気をはらませた口調でいきり立つと、リーダーと目された男がゆっくりと歩き出して小太りの男の前に一歩踏み出し、左手で男を制しつつ言った。

「推察の通り、私がリーダーだ」

「やっぱりね。ねえ、あんた名前は?おれはガイウス・シュナイダー。あんたの名前を知りたいな」

「問われて、名前を言うと思っているのか?」

「言えるでしょ?どうせ俺のことは殺す気なんだろうし、ユリアは気絶しているみたいだしね」

 ユリアはガイウスの言うとおり、意識を失って草むらに倒れ伏していた。

「貴様を殺す気はない。おとなしく眠っていてさえくれたらな」

「ふうん。本当かなあ。まあ本当なら名前を教えてくれないわけだね。でも相手は子供な訳だし、軽い気持ちでちょっと言っちゃったりしない?」

「…………」

「慎重だねえ。まあそんなだからリーダーなんだろうけどさ。そっちのあんたと違ってね」

 ガイウスは小太りの男を指差し、小馬鹿にするような口調で言った。

 しかし小太りの男はリーダーに制されたためか、先ほどの怒気を収めて冷静さを取り戻していた。

「ふん。なめたガキだ。だがもうその手には乗らん」

(ちっ。落ち着きを取り戻してやがる。あのリーダー、相当な統率力だな。となると、こりゃやっかいだぞ)

 ガイウスは改めて気を引き締め直して事に当たることとした。

「ところでさ。ユリアを誘拐してどうしようっていうの?もちろんあのクラリスって子がらみなんだろうけどさ。目的がわからないんだよなあ。ねえ、そこんところどうなの?」

「さあな。あとでゆっくり考えるがいいさ。さあ、もうおしゃべりはこれくらいにしよう」

(ちっ!やる気か。こっちの武器はアクアだけだっていうのに。しかもすでに一回見せちまってるし。こうなったら手の内を変えてみるしかないな)

 ガイウスはそう腹を決めると、敵の姿をじっと見据えた。

 それと時を同じくしてリーダーが、サッと右手を上げて男たちに合図を送る。

 男たちはその合図を見て瞬時に腰を落とし、今にも飛び掛らんという姿勢となった。

(来るっ!)

 瞬間、ガイウスは両足に力を込めて大地を強く踏みしめると同時に、左手を素早く敵に向けてかざす。

 そしていつものお決まりの文句を、早口でサッとまくし立てた。

「アクアッ!」

 ガイウスが呪文を唱えるや否や、爆流が左手から猛然と噴き出し、小太りの男を直撃する。
 
 だが男は、なにやら前面に半透明な膜のようなものを展開し、もう一人の男が後ろから身体を支えることで、ガイウスの放つ猛烈な爆流攻撃を見事に受け止めた。

「ちっ!防御壁バリアーかよっ!」

 ガイウスが呟いた次の瞬間、別の男が間隙かんげきって凄まじい速度でガイウスのふところへと飛び込んできた。

 男は背中に隠し持っていた短めの直刀ちょくとうを素早く抜き放つと、刀を水平に構え、鋭い胴払いをガイウスのがら空きのわき腹へと打ち込もうとした。

 だが次の瞬間、男の体は大きく後ろへ反り返ったかと思うと、もんどりうって草むらの上へと倒れこんだ。

「がはっ!!」

 男は肺腑はいふの中の空気をあらん限りに吐き出したかと思うと、今度は両手で喉を押さえながらこれ以上ないというくらいに口を大きく開けて、さながら餌を求める鯉の如く、必死の形相で口をパクパクと激しく動かしていた。

「貴様、一体なにをした!?」

 リーダーがうめくように声を絞り出してガイウスに問うた。

 ガイウスは不敵な笑みを浮かべ、ひどく軽い口調で答えた。

「そんなの、必殺技に決まってんじゃん」
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