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第二十二話 現出
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「そ、その声はジェイドか!?出たのか?『悪魔』がついに現れ出でたのか!?」
シュトラウスはあまりの眩しさに両掌で顔を覆いながら、自らの背後に控えているであろうジェイドに対して、興奮気味に問いかけた。
「はっ!しかし、本当にこれは――低級悪魔――なのでしょうか!?」
ジェイドの目には、広大な大広間を埋め尽くすかのような漆黒に染め上げられた巨大な生物の後姿が、映っていた。
「私には到底、低級な悪魔とは思えないのですが……」
ジェイドが恐怖に打ち震えながらなんとか答えると、次の瞬間、突如として獰猛な肉食獣が敵を威嚇する際に発するような、低くくぐもった咆哮が辺り一面に鳴り響き、大広間の窓という窓が共鳴を起こして粉々に砕け散った。
「なっ!なんだ!?これは『悪魔』が発した声なのか!?お、おい!!どうなんだ!?ジェイド!!」
シュトラウスはいまだ回復していない視界を確保しようと激しく目をこすってはまぶたを開こうと試みるもうまくいかず、苛立ちを隠せないといった口調でジェイドに対して激しく詰問した。
「はい!今の声は――」
ジェイドが言い終えるよりも早く、『悪魔』は地獄の底から湧き出るような恐ろしげな咆哮を再び上げた。
「カ、カリウス!!返事をせえ!カリウス!!」
シュトラウスは、今度は召還した張本人を出来得る限りの大声で呼ばわった。
だがその張本人は、二つのベッドの隙間で茫然自失といった表情で、腰を抜かして地べたにへたり込んでいた。
ジェイドはその様を見るや、あらん限りの大音声で、カリウスを怒鳴りつけた。
「カリウス!!貴様なにを床に座り込んでいる!!この『悪魔』は、本当に低級なのか!?おい!!カリウス!!どうなんだ!?」
だがカリウスは、ジェイドの声がまったく届いていないのか、驚愕の表情をその老いさらばえた皺だらけの顔に貼り付けたまま、凍ったように固まっていた。
『悪魔』は、といえば、そもそも体温が極度に高いのか、それともこの世に現れ出でる際に体表面がなにがしかの摩擦によって上がったのか、漆黒に染め上げられた全身から隈なく活火山の噴火口のように湯気が沸き立っていた。
そして先ほどの咆哮とは別の低いうなり声を、その恐ろしげに尖った口中から、荒い呼吸音と共に発し始めた。
それは随分と長い間続き、その間ジェイド達はまったく生きた心地がしなかった。
だがようやくそのうなり声が途切れると、ついに『悪魔』が、その肉食獣を思わせる頑丈そうな顎を開き、誰にでも聞き取れるであろうはっきりとした声で言葉を発した。
「我を呼び出したるは、汝らか?」
その時ジェイドは、至極はっきりと、この『悪魔』は低級ではないと確信した。
シュトラウスはあまりの眩しさに両掌で顔を覆いながら、自らの背後に控えているであろうジェイドに対して、興奮気味に問いかけた。
「はっ!しかし、本当にこれは――低級悪魔――なのでしょうか!?」
ジェイドの目には、広大な大広間を埋め尽くすかのような漆黒に染め上げられた巨大な生物の後姿が、映っていた。
「私には到底、低級な悪魔とは思えないのですが……」
ジェイドが恐怖に打ち震えながらなんとか答えると、次の瞬間、突如として獰猛な肉食獣が敵を威嚇する際に発するような、低くくぐもった咆哮が辺り一面に鳴り響き、大広間の窓という窓が共鳴を起こして粉々に砕け散った。
「なっ!なんだ!?これは『悪魔』が発した声なのか!?お、おい!!どうなんだ!?ジェイド!!」
シュトラウスはいまだ回復していない視界を確保しようと激しく目をこすってはまぶたを開こうと試みるもうまくいかず、苛立ちを隠せないといった口調でジェイドに対して激しく詰問した。
「はい!今の声は――」
ジェイドが言い終えるよりも早く、『悪魔』は地獄の底から湧き出るような恐ろしげな咆哮を再び上げた。
「カ、カリウス!!返事をせえ!カリウス!!」
シュトラウスは、今度は召還した張本人を出来得る限りの大声で呼ばわった。
だがその張本人は、二つのベッドの隙間で茫然自失といった表情で、腰を抜かして地べたにへたり込んでいた。
ジェイドはその様を見るや、あらん限りの大音声で、カリウスを怒鳴りつけた。
「カリウス!!貴様なにを床に座り込んでいる!!この『悪魔』は、本当に低級なのか!?おい!!カリウス!!どうなんだ!?」
だがカリウスは、ジェイドの声がまったく届いていないのか、驚愕の表情をその老いさらばえた皺だらけの顔に貼り付けたまま、凍ったように固まっていた。
『悪魔』は、といえば、そもそも体温が極度に高いのか、それともこの世に現れ出でる際に体表面がなにがしかの摩擦によって上がったのか、漆黒に染め上げられた全身から隈なく活火山の噴火口のように湯気が沸き立っていた。
そして先ほどの咆哮とは別の低いうなり声を、その恐ろしげに尖った口中から、荒い呼吸音と共に発し始めた。
それは随分と長い間続き、その間ジェイド達はまったく生きた心地がしなかった。
だがようやくそのうなり声が途切れると、ついに『悪魔』が、その肉食獣を思わせる頑丈そうな顎を開き、誰にでも聞き取れるであろうはっきりとした声で言葉を発した。
「我を呼び出したるは、汝らか?」
その時ジェイドは、至極はっきりと、この『悪魔』は低級ではないと確信した。
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