転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第五十二話 山賊

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「ふん!山賊とは、またずいぶんと古風だねえ。国が古いと、こんな連中まで出てくるのかい」

 カルラが、突如現れた山賊たちを睥睨へいげいして言った。

 ロデムルは、相変わらずのしかつめらしい顔つきで返答をした。

「いえ、さすがのローエングリンでも田舎のほうに行けば、山賊はいるかと」

 カルラは、そんなロデムルの真面目くさった返答に、鼻にビキビキとしわを幾筋も寄せて怒鳴った。

「お前は、何を真面目に答えてんだい!あたしゃ、景気付けに言っただけだろうに!」

「これは失礼をいたしました」

 カルラは、恐縮して首を垂れるロデムルに一瞥いちべつをくらわすと、改めて山賊に向き直って問い質した。

「ふん!それで、あたしらに何の用なんだい?」

 すると山賊たちの中でひと際大柄な男が、リーダー然とした態度で一歩前に進み出た。

「決まっているだろう?金だよ、金」

「ふん!つまらない物言いだねえ」

 カルラは、さも呆れたといった風情で言い放った。

「確かに。あまりにも常套句じょうとうくな物言いですな」

 ロデムルも相変わらずのしかつめらしい顔つきで、カルラに同調した。

「あたしゃやる気が失せたよ。だから――」

 カルラはそこで一旦言葉を区切り、ちらと横目で後ろを見た。

「そこで隠れて弁当食おうとしているガイウス!お前がやんな!」

 ガイウスは突然の指名に、せっかく口に含んだ塩漬け肉のバケットサンドを思わず吹き出した。

「ぶっ!!ぼ、ぼくですか?」

「そうだよ!何をあたしらに戦わせて、自分だけ飯にありつこうとしてんだい!どう考えたって立場が逆だろう!こういう時は、一番下っ端が戦うもんだ!」

「坊ちゃま、どうやら特訓の成果を見せる時が来ましたな。山賊相手となれば、遠慮なく思う存分に戦えるというものでございます。このロデムル、坊ちゃまのご成長のほどをしっかりと見させていただきます」

「ああ、そう」

 ガイウスはあきらめの表情で片頬をピクピクと引きつらせつつ、弁当を地面に置いてゆっくりと立ち上がった。

「仕方ない、やるとするか」

 すると山賊のリーダーらしき男が、しびれを切らして怒鳴り始めた。

「お前ら!何をさっきからごちゃごちゃ言ってんだ!とっとと金だせっつってんだろうが!聞こえねえのか!」

 ガイウスは仕方なく、さもやる気なさそうに数歩前に出ると、一つため息を付いてから面倒くさそうに投げやりな口調で言った。

「えーとー、そういうわけでー、僕が相手しまーす」

 山賊たちが、一斉にどっと沸いた。

 皆ひとしきり笑い終えた頃、リーダー格の男が言った。

「面白いことを言うじゃねえか、小僧。思わず笑っちまったぜ。だがな、戯言ざれごとを言うのもそこまでだ。小僧は引っ込んでな」

 ガイウスは、また一つため息を付いた。

「あのねえ、僕だって本当は面倒だからやりたくないんだよ。だけどもの凄く怖い人がやれって言うから、仕方がないんだよ」

「小僧、何度も言わせるな。遊びじゃねえんだ。引っ込んでな!」

「あーもう、こいつとしゃべるのも面倒くさい。もうやっちゃっていいですかねえ?」

 ガイウスはそう言って、後ろをちらと振り向いた。

 するとカルラとロデムルは、二人仲良く座って塩漬け肉のバケットサンドをほおばっていた。

「ぶっ!な、何を二人して弁当食ってんですか!?」

「お前さんだって、さっき食おうとしてただろ?本来はこれがあるべき姿さ。あたしらは年長者なんだからね。さあ、ごちゃごちゃ言ってないで、とっととこいつらを片付けな!」

「坊ちゃま。このロデムル、両のまなこをしっかと見開いて、坊ちゃまのご成長のほどを見ておりますぞ」

「あーそうですか、やりますよ、ええ、やりますとも、やればいいんでしょ!」

 ガイウスの中で、何かがブチッと切れた音がした。
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