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第七十三話 黄昏色の風景
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1
ガイウス一行は、テーベを経ってすでに四日、のどかな田園風景が広がる農村地帯を進んでいた。
「坊ちゃま、あそこに町が見えます」
ロデムルは自分たちが進む道の先に、小さな町並みを発見した。
「おっ!本当だ。そろそろ日も落ちそうだし、今日はあの町に泊まろうか?」
「暗くなる前に、町があって良うございました。わたくし、先に行って宿を手配して参ります」
言うやロデムルは、手綱を操って馬腹を軽く蹴った。
馬は鋭く反応して、ガイウス達の乗る馬の脇をするっとすり抜けた。
さらにロデムルが馬腹を今度は目一杯に力強く蹴りを入れると、馬は一気に加速し、砂埃を巻き上げながら全力で街道を駆けていった。
ガイウスは、ロデムルが乗る馬がはるか遠い町並みに重なるまで見届けると、街道脇にどこまでも広がる黄昏色の景色に視線を移した。
「きれいな景色だね。アベルの村もこんな風景なのかな?」
「うん!バースもここと同じくらいにとってもきれいだよ。田んぼと畑がたくさんあって、本当にこの辺の景色と凄い似てるんだ。あっ!あと小さな川が村の真ん中を流れてるんだけど、その川の真ん中辺に大っきい水車小屋があるんだ。その水車が回るとね、中にある杵が上下に動くんだ。その杵の下に小麦を置くとね、ギッタンバッタンって打つんだよ。そうやってつかれた小麦粉を、かまどでじっくり焼いたパンが、もんのすごお~っく美味しいんだ!」
「へえ!それはぜひ食べてみたいな」
「うん!絶対食べて!」
馬の背に揺られながら、二人は笑顔で楽しそうに話し、暮れなずむ田園風景に長い影を落としながら、町へと向かっていった。
2
「坊ちゃま、こちらでございます」
ロデムルは街道沿いの小さな宿屋の前に立ち、ガイウスたちが来るのを待っていた。
「粗末な建物でございますが、この町には宿屋はこの一軒しかないそうですので、どうかこちらの宿でご容赦ください」
ロデムルは、二人を馬から下ろしつつ、そう釈明した。
「なに言ってんの。充分だよ」
ガイウスは笑顔で朗らかに言った。
「はっ、恐縮でございます。ではこちらへ」
そう言ってロデムルは、二人を先導して宿屋へと足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ」
大変に愛想の良い、さぞやかつては美人であったであろう中年女性が、恭しく三人を出迎えた。
「遠路はるばる大変でございましたでしょう。どうぞ、ごゆっくりしていってくださいね」
「お世話になります」
ガイウスは丁寧に頭を下げて挨拶をした。
するとアベルも、ガイウスにならい、見よう見まねで深々とお辞儀をして挨拶をした。
「え~と、お世話になります」
アベルの仕草は大変に可愛らしいものであり、宿屋の女将は一瞬でそのとりこになってしまったようだ。
「あら~、可愛らしい。いらっしゃ~い。ささ、こっちよ」
女将は猫なで声でアベルに話しかけつつ、彼の肩にそっと手をやり、優しく部屋へと導こうとする。
ガイウスはその様子を見てロデムルと顔を見合わせ、次いで共に微笑ましい視線を二人の背中に送った。
ガイウス一行は、テーベを経ってすでに四日、のどかな田園風景が広がる農村地帯を進んでいた。
「坊ちゃま、あそこに町が見えます」
ロデムルは自分たちが進む道の先に、小さな町並みを発見した。
「おっ!本当だ。そろそろ日も落ちそうだし、今日はあの町に泊まろうか?」
「暗くなる前に、町があって良うございました。わたくし、先に行って宿を手配して参ります」
言うやロデムルは、手綱を操って馬腹を軽く蹴った。
馬は鋭く反応して、ガイウス達の乗る馬の脇をするっとすり抜けた。
さらにロデムルが馬腹を今度は目一杯に力強く蹴りを入れると、馬は一気に加速し、砂埃を巻き上げながら全力で街道を駆けていった。
ガイウスは、ロデムルが乗る馬がはるか遠い町並みに重なるまで見届けると、街道脇にどこまでも広がる黄昏色の景色に視線を移した。
「きれいな景色だね。アベルの村もこんな風景なのかな?」
「うん!バースもここと同じくらいにとってもきれいだよ。田んぼと畑がたくさんあって、本当にこの辺の景色と凄い似てるんだ。あっ!あと小さな川が村の真ん中を流れてるんだけど、その川の真ん中辺に大っきい水車小屋があるんだ。その水車が回るとね、中にある杵が上下に動くんだ。その杵の下に小麦を置くとね、ギッタンバッタンって打つんだよ。そうやってつかれた小麦粉を、かまどでじっくり焼いたパンが、もんのすごお~っく美味しいんだ!」
「へえ!それはぜひ食べてみたいな」
「うん!絶対食べて!」
馬の背に揺られながら、二人は笑顔で楽しそうに話し、暮れなずむ田園風景に長い影を落としながら、町へと向かっていった。
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「坊ちゃま、こちらでございます」
ロデムルは街道沿いの小さな宿屋の前に立ち、ガイウスたちが来るのを待っていた。
「粗末な建物でございますが、この町には宿屋はこの一軒しかないそうですので、どうかこちらの宿でご容赦ください」
ロデムルは、二人を馬から下ろしつつ、そう釈明した。
「なに言ってんの。充分だよ」
ガイウスは笑顔で朗らかに言った。
「はっ、恐縮でございます。ではこちらへ」
そう言ってロデムルは、二人を先導して宿屋へと足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ」
大変に愛想の良い、さぞやかつては美人であったであろう中年女性が、恭しく三人を出迎えた。
「遠路はるばる大変でございましたでしょう。どうぞ、ごゆっくりしていってくださいね」
「お世話になります」
ガイウスは丁寧に頭を下げて挨拶をした。
するとアベルも、ガイウスにならい、見よう見まねで深々とお辞儀をして挨拶をした。
「え~と、お世話になります」
アベルの仕草は大変に可愛らしいものであり、宿屋の女将は一瞬でそのとりこになってしまったようだ。
「あら~、可愛らしい。いらっしゃ~い。ささ、こっちよ」
女将は猫なで声でアベルに話しかけつつ、彼の肩にそっと手をやり、優しく部屋へと導こうとする。
ガイウスはその様子を見てロデムルと顔を見合わせ、次いで共に微笑ましい視線を二人の背中に送った。
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