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第七十五話 晩餐
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1
暖かな笑顔で満ちた食堂に、厨房からの声が届いた。
「おい!出来たぞ!」
「は~い。どうやらお食事のご用意が出来たみたいです。今お持ちしますね」
そう言うと女将は、急いで厨房へ向かった。
アベルは今度は食事が待ち遠しくなり、「ご・は・ん!ご・は・ん!」とリズムよく繰り返し言った。
そこへ女将が、三段に重なった大きなお膳を、ガイウスたちのテーブルへと運んできた。
ガイウスたちはお膳の上に並ぶ色とりどりに華やかなたくさんのお皿や、小鉢などを眺めて、感嘆の声を上げた。
「すごい!」
三人からの異口同音の賞賛に、女将は満面の笑みで応えた。
「どうぞ、みなさん召し上がれ」
「いただきます」
三人はそれぞれ好きな料理を箸でつまみ上げ、一斉に大きく広げた口に放り込んだ。
そしてまたも異口同音に、声を上げた。
「美味しい!」
女将は、三人からの大いなる賞賛を再び受けると、笑顔で振り向き厨房を見た。
すると無愛想だった主人が厨房の奥でにんまりと微笑み、小さくガッツポーズをしている姿がそこにはあった。
2
「ふう~、お腹一杯だ~」
アベルがぱんぱんに膨らんだお腹を、すりすりとさすりながら言った。
「僕もだよアベル。それにしても本当に美味しい食事だったね」
「どの品も実にすばらしく、繊細で細やかな味付けがしてあり、わたくし本心より感服いたしました。正直申しまして、こんなに美味しいお料理をいただいたのは久しぶりのことです」
「まあまあ、みなさんありがとうございます。では食後のデザートをお持ちしますね」
「デザートもあるの!?」
アベルが目を輝かせて尋ねた。
「アベル、お腹一杯で食べられないんじゃないの?」
アベルは口をとんがらがせて、ガイウスに抗議した。
「デザートは別腹!そういうガイウスだってお腹一杯なんじゃないの?」
「ふふん、僕も別腹だよ~ん」
すると横のロデムルが言葉をかぶせてきた。
「聞かれておりませんが、わたくしも別腹でございます」
これには皆一斉に吹き出し、食堂は笑い声で満たされた。
「それでは、すぐにお持ちしますね」
そう言うと女将は笑顔のままきびすを返し、厨房へと向かっていった。
そしてしばらくすると、お盆の上に人数分のデザートをのせて、女将がテーブルへと戻ってきた。
「はい、お待ちどうさま。みなさんどうぞ召し上がれ」
女将がそういってデザートをアベルの前に置いたとたん、たちまち彼はデザートへと襲い掛かった。
女将はその様子を微笑ましく見守りながら、なんの気なしに質問をした。
「ところでみなさん、テーベからいらしたみたいですけど、どちらを目指して旅をされていらっしゃるの?」
「僕らの目的地はバースです」
ガイウスが代表して、女将の質問に答えた。
すると女将が、なにやら不可思議な表情となった。
「バース……あの、みなさんは調査団の方たちですか?」
「調査団?といいますと?」
「いえあの、一月前に起きた例の事件を調査しに来られたのかと思いまして」
「あのすみません。話が見えないのですが、一月前の事件とはなんですか?」
「えっ!ご存じないのですか?あの消失事件のことを」
「知りません。それはどのような事件なのですか?消失というのは、一体なにが消失したというのですか?」
すると女将は、驚くべきことを口にしたのであった。
「なにって、全てです。人も、建物も、その全てがある日突然、すっかり消えてなくなってしまったんです……」
暖かな笑顔で満ちた食堂に、厨房からの声が届いた。
「おい!出来たぞ!」
「は~い。どうやらお食事のご用意が出来たみたいです。今お持ちしますね」
そう言うと女将は、急いで厨房へ向かった。
アベルは今度は食事が待ち遠しくなり、「ご・は・ん!ご・は・ん!」とリズムよく繰り返し言った。
そこへ女将が、三段に重なった大きなお膳を、ガイウスたちのテーブルへと運んできた。
ガイウスたちはお膳の上に並ぶ色とりどりに華やかなたくさんのお皿や、小鉢などを眺めて、感嘆の声を上げた。
「すごい!」
三人からの異口同音の賞賛に、女将は満面の笑みで応えた。
「どうぞ、みなさん召し上がれ」
「いただきます」
三人はそれぞれ好きな料理を箸でつまみ上げ、一斉に大きく広げた口に放り込んだ。
そしてまたも異口同音に、声を上げた。
「美味しい!」
女将は、三人からの大いなる賞賛を再び受けると、笑顔で振り向き厨房を見た。
すると無愛想だった主人が厨房の奥でにんまりと微笑み、小さくガッツポーズをしている姿がそこにはあった。
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「ふう~、お腹一杯だ~」
アベルがぱんぱんに膨らんだお腹を、すりすりとさすりながら言った。
「僕もだよアベル。それにしても本当に美味しい食事だったね」
「どの品も実にすばらしく、繊細で細やかな味付けがしてあり、わたくし本心より感服いたしました。正直申しまして、こんなに美味しいお料理をいただいたのは久しぶりのことです」
「まあまあ、みなさんありがとうございます。では食後のデザートをお持ちしますね」
「デザートもあるの!?」
アベルが目を輝かせて尋ねた。
「アベル、お腹一杯で食べられないんじゃないの?」
アベルは口をとんがらがせて、ガイウスに抗議した。
「デザートは別腹!そういうガイウスだってお腹一杯なんじゃないの?」
「ふふん、僕も別腹だよ~ん」
すると横のロデムルが言葉をかぶせてきた。
「聞かれておりませんが、わたくしも別腹でございます」
これには皆一斉に吹き出し、食堂は笑い声で満たされた。
「それでは、すぐにお持ちしますね」
そう言うと女将は笑顔のままきびすを返し、厨房へと向かっていった。
そしてしばらくすると、お盆の上に人数分のデザートをのせて、女将がテーブルへと戻ってきた。
「はい、お待ちどうさま。みなさんどうぞ召し上がれ」
女将がそういってデザートをアベルの前に置いたとたん、たちまち彼はデザートへと襲い掛かった。
女将はその様子を微笑ましく見守りながら、なんの気なしに質問をした。
「ところでみなさん、テーベからいらしたみたいですけど、どちらを目指して旅をされていらっしゃるの?」
「僕らの目的地はバースです」
ガイウスが代表して、女将の質問に答えた。
すると女将が、なにやら不可思議な表情となった。
「バース……あの、みなさんは調査団の方たちですか?」
「調査団?といいますと?」
「いえあの、一月前に起きた例の事件を調査しに来られたのかと思いまして」
「あのすみません。話が見えないのですが、一月前の事件とはなんですか?」
「えっ!ご存じないのですか?あの消失事件のことを」
「知りません。それはどのような事件なのですか?消失というのは、一体なにが消失したというのですか?」
すると女将は、驚くべきことを口にしたのであった。
「なにって、全てです。人も、建物も、その全てがある日突然、すっかり消えてなくなってしまったんです……」
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