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第九十七話 脱兎の如く
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ロデムルは、駆けた。
ガイウスを背負い、ただひたすらに走った。
来た道を真っ直ぐに、ただの一度も振り返ることなく全速力で走り抜け、目前に迫る扉を次々に蹴破っては先に進み、ただひたすら無心で走り続けた。
そして最後の扉をも蹴破って宮殿の外へ飛び出すと、驚いた衛兵の制止を無視して中庭を突っ切り、さらには王宮の城門をも、一気に駆け抜けた。
だがロデムルは、まだ立ち止まらなかった。
王宮から伸びる広く長い真っ直ぐな都大路を、さらに駆けに駆けた。
そして大路沿いに建つ一軒の高級ホテルにそのままの勢いで飛び込むと、ロデムルは駆けながらフロント係りにチェックアウトの意思を告げた。
そして自らはガイウスを背負ったまま階段を駆け上がり、アベルとナスリの待つ部屋へと辿り着くと、いつもと違い乱暴にドアを開け放ち、殺気立った顔つきでナスリに命令を下した。
「退却する!ナスリ、アベルを抱えて付いて来い!荷物はそのままでよい!」
ロデムルは言うなり、反転して駆け出し、凄まじい勢いで階段を駆け下りた。
ナスリは一瞬呆気に取られたものの、ロデムルの形相の凄まじさから事態の深刻さを悟り、吃驚して固まっているアベルを大慌てで抱きかかえると、すぐさま後を追って駆け出した。
ナスリが階下へ辿り着くと、ロデムルはすでに素早く会計を終えていた。
「急げ!こっちだ!」
ロデムルはそれだけ言うと、ホテルの裏口へ向かってまたも走り出した。
ナスリは日頃鍛えていないために、もうすでに息が半分上がっていたものの、そんなことも言っていられず、必死で後を追った。
ナスリが荒い息で裏口を抜けると、ロデムルはガイウスと共にすでに馬に跨っていた。
「乗れ!」
ナスリは返事をするのも忘れて急いでアベルを別の馬に乗せると、次いで自らも慌てて跨った。
「行くぞ!」
ロデムルはナスリが馬に跨ったのを確認すると同時に叫び、さらに同時に馬腹をこれ以上ないというくらいに強く蹴った。
馬は驚いていななき、一旦両前足を高く上げて上体を大きく反らすも、着地と同時に全身の力を込めて前へと飛び出した。
ナスリも慌てて馬腹を蹴り、ロデムルと同じとはいかないまでも、なかなかの乗馬技術で飛び出した。
ロデムルの駆る馬は一気にホテルの裏路地を駆け、大路へと飛び出すと、大きく弧を描くように曲がり、王宮とは反対方向に駆けた。
ナスリはしばらく全速力でロデムルの背中を追うも一向に距離は縮まらず、なにが起こったのかを把握できないまま、ただひたすらに駆け続けた。
そして十五分ほども駆け続けた頃、ようやくロデムルの背中が近づいてきた。
ナスリは思いっきり大きな声で、その背中に向かって叫んだ。
「なにがあったんですか!?」
ロデムルは軽く振り向き、速度を少し落としてナスリの馬と並んだ。
「説明は後だ!今は速やかに撤退することだけを考えろ!」
「ちょっと!撤退ってどこまでするんですか!?」
するとロデムルは、険しい顔つきで驚くべきことを言った。
「エルムールだ!ここは一気にヴァレンティン共和国の属州エルムールまで撤退する!」
ナスリはそのあまりにもな回答に、呆気にとられて二の句が告げず、ただあんぐりと大きく口を開けることしか出来なかった。
ガイウスを背負い、ただひたすらに走った。
来た道を真っ直ぐに、ただの一度も振り返ることなく全速力で走り抜け、目前に迫る扉を次々に蹴破っては先に進み、ただひたすら無心で走り続けた。
そして最後の扉をも蹴破って宮殿の外へ飛び出すと、驚いた衛兵の制止を無視して中庭を突っ切り、さらには王宮の城門をも、一気に駆け抜けた。
だがロデムルは、まだ立ち止まらなかった。
王宮から伸びる広く長い真っ直ぐな都大路を、さらに駆けに駆けた。
そして大路沿いに建つ一軒の高級ホテルにそのままの勢いで飛び込むと、ロデムルは駆けながらフロント係りにチェックアウトの意思を告げた。
そして自らはガイウスを背負ったまま階段を駆け上がり、アベルとナスリの待つ部屋へと辿り着くと、いつもと違い乱暴にドアを開け放ち、殺気立った顔つきでナスリに命令を下した。
「退却する!ナスリ、アベルを抱えて付いて来い!荷物はそのままでよい!」
ロデムルは言うなり、反転して駆け出し、凄まじい勢いで階段を駆け下りた。
ナスリは一瞬呆気に取られたものの、ロデムルの形相の凄まじさから事態の深刻さを悟り、吃驚して固まっているアベルを大慌てで抱きかかえると、すぐさま後を追って駆け出した。
ナスリが階下へ辿り着くと、ロデムルはすでに素早く会計を終えていた。
「急げ!こっちだ!」
ロデムルはそれだけ言うと、ホテルの裏口へ向かってまたも走り出した。
ナスリは日頃鍛えていないために、もうすでに息が半分上がっていたものの、そんなことも言っていられず、必死で後を追った。
ナスリが荒い息で裏口を抜けると、ロデムルはガイウスと共にすでに馬に跨っていた。
「乗れ!」
ナスリは返事をするのも忘れて急いでアベルを別の馬に乗せると、次いで自らも慌てて跨った。
「行くぞ!」
ロデムルはナスリが馬に跨ったのを確認すると同時に叫び、さらに同時に馬腹をこれ以上ないというくらいに強く蹴った。
馬は驚いていななき、一旦両前足を高く上げて上体を大きく反らすも、着地と同時に全身の力を込めて前へと飛び出した。
ナスリも慌てて馬腹を蹴り、ロデムルと同じとはいかないまでも、なかなかの乗馬技術で飛び出した。
ロデムルの駆る馬は一気にホテルの裏路地を駆け、大路へと飛び出すと、大きく弧を描くように曲がり、王宮とは反対方向に駆けた。
ナスリはしばらく全速力でロデムルの背中を追うも一向に距離は縮まらず、なにが起こったのかを把握できないまま、ただひたすらに駆け続けた。
そして十五分ほども駆け続けた頃、ようやくロデムルの背中が近づいてきた。
ナスリは思いっきり大きな声で、その背中に向かって叫んだ。
「なにがあったんですか!?」
ロデムルは軽く振り向き、速度を少し落としてナスリの馬と並んだ。
「説明は後だ!今は速やかに撤退することだけを考えろ!」
「ちょっと!撤退ってどこまでするんですか!?」
するとロデムルは、険しい顔つきで驚くべきことを言った。
「エルムールだ!ここは一気にヴァレンティン共和国の属州エルムールまで撤退する!」
ナスリはそのあまりにもな回答に、呆気にとられて二の句が告げず、ただあんぐりと大きく口を開けることしか出来なかった。
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