転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第百十話 埋葬

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 しばらくしてゴルコス将軍の遺体は、猫王エルの念動力によってルーグの森へと運ばれてきた。

 ロンバルドたちは、ゴルコス将軍のでっぷりと肥え太ったとても重量感のある遺体が、宙に浮かびながら滑るように自分たちの目の前に運ばれてきたことに驚きを隠せなかった。

「凄いですね。本当に念動力でここまで……」

 ロンバルドが感嘆の声を上げると、エルは口元をむぎゅっと締めつつ、満足げに何度もうなずいた。

「うむ、そうであろう。わしの念動力は中々のものであるからな」

「驚き入りました、エル様」

「うむ、苦しゅうないぞ」

 エルは、後ろに倒れるんじゃないかと思えるくらいに満足げに腹を突き出して反り返った。

 ロンバルドはその様子を見て、エルはおだてれば何でもやってくれそうだと、内心でほくそ笑んだ。

 と、シェスターが言った。

「ところで、エル様。さすがのエル様でも、念動力で地面の土を掘り起こすなどということは、出来ませんでしょうな?」

 すると、エルの満足そうな表情が、途端に面白く無さげに変わった。

「何じゃと?このわしが、そんなことも出来ないとでも思ったか?」

「失礼いたしまして。では、お出来になるので?」

「無論じゃ!そこで見ておれ、この男の遺体を埋められるくらいの穴ならば、瞬く間に出来よるわい!」

 シェスターはそこでロンバルドと顔を見合わせ、互いににやりと笑みを浮かべた。

 だがそんな二人の笑みには気づかないエルは、意識を集中させて口元をむぎゅっと締めた。

 すると、ゴルコスの遺体の下にある地面の土が揺れ出した。かと思うと、徐々にその揺れは大きくなっていき、終いには四方に亀裂が入って割れた。

「おお!」

 ロンバルドたちはその様子を見て、思わず声を上げた。

 だがそれでは終わらず、直方体に切り取られた地面の土が、舞台下からせり上がるりのように浮き上がった。

「おおっ!」

 ロンバルドたちはさらに大きな驚きの声を上げた。

 エルはそれを聞いて、これまた満足げな笑みを浮かべると、口元をさらにむぎゅっと締めるなり、直方体の土塊つちくれを横にスライドさせた。

 次いでゴルコス将軍の遺体を静かに降ろして、空いた穴に入れると、再び土塊を横にスライドさせて降ろし、蓋をした。

「おおおっ!!」

 三人は三度、感嘆の声を上げた。

 エルはその声に応えるように、腹を突き出して胸をそびやかした。

 だがそこでシェスターが、さも困ったような声音で言った。

「だいぶ、土が盛り上がってしまっていますな」

 ゴルコス将軍の遺体が埋まっている分、土塊はだいぶ地面の上に盛り上がって出てしまっていた。

 エルは少しだけ面倒そうな顔をするも、口元をむぎゅっと締めるなり、盛り上がった地面を整地する作業へ入った。
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