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第百十九話 政体
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「誰だと聞いておるのだ!出て来い!」
バランスの剣幕は相当なものであり、その顔はガルダン大陸で年中吹き上がっているという灼熱の溶岩のように真っ赤であった。
「やっべぇ」
マックスは小声で呟くと、亀のように首をすくませ縮こまった。
「おい!誰も名乗り出ないとはどういうことだ!さっさと名乗りでんか!この卑怯者!」
誰も名乗り出ないことにより、バランスの怒りはさらにヒートアップしたものの、当のマックスはどこ吹く風で、そ知らぬ顔を決め込んでいた。
すると突然、バランスの怒りが収束した。
バランスは鼻でフンッと息を鳴らすと、顔を歪めて嘲りの表情を浮かび上がらせた。
「さすがは平民だな。卑しい身分の者共なだけはある。先祖代々に渡って卑怯が身に染み付いているようだ」
するとそれまでしらばっくれていたマックスが、突然いきり立った。
大きな音と共に椅子を蹴立てて立ち上がると、バランスに向き直って言った。
「なんだと!?てめえ貴族が何様だってんだ!」
「ようやく名乗り出たか。この薄ら汚いどぶねずみがっ!」
「誰がどぶねずみだっ!?いいか、確かに悪口を言ったのは俺が悪かった。だがその俺たちを見下すような言い方はなんとかしろっ!今時、貴族も平民もあるかよっ!」
「なにをたわけたことを言っておるんだ貴様は!今時もくそもあるかっ!未来永劫貴様らはどぶねずみのような平民であり、このバランス様は貴様らの頭上に君臨する栄えある貴族の一員なのだ。分をわきまえろ、この馬鹿者!」
「なに言ってんだ。貴族なんてもう完全に形骸化して力なんてまったくないだろうが。お前たち貴族で構成される元老院なんて、ほとんど老人サロンみたいなもんじゃないかよ!」
ヴァレンティン共和国の政体は、市民から直接選挙で選ばれる八十人の委員で構成される評議会と、二百人の貴族から成る元老院との複合政体である。
しかしながら評議会の権限は元老院を遥かに上回っており、元老院の役割というのは現在はほぼなく、あくまで名誉職的な趣となっており、マックスの言う通り老人たちによるサロンといった表現が妥当なものとなっていた。
「なんだと!われら貴族でなる元老院があったればこそ、貴様ら平民どもの考えた愚策を是正して、この国を富める国としておるのではないか!」
「馬~鹿、なにをいつまでも夢見てんだ?すでに元老院なんて、市民から無用の長物だと何度も廃止案が出ている位に形骸化してんだぞ。そんなことも知らないのか、お前は」
「たわけが!元老院こそが貴様ら愚かな平民どもの暴走を食い止めているのが判らんか!もし仮に元老院が無くなろうものなら、貴様ら愚民どもはどこまでも馬鹿な政策を講じるに決まっておろう!そのための複合政体だというのがわからんのか、この馬鹿は!」
「馬鹿はお前だ、この大馬鹿野郎。別に俺は複合政体を否定してんじゃないんだよ。もう一方の政体が貴族で構成される必要性が無いって言ってんだよ。評議会とは別で、元老院に代わるチェック機関を直接選挙で市民から選べばいいって話をしてんだよ、俺は!」
マックスの言葉に、バランスは激しく顔を歪めて悔しそうに歯軋りをした。
しかしその目は異様なまでに爛々と輝いており、バランスの戦闘意欲がいささかも衰えていないことを指し示していた。
そのためそれを見たガイウスは、このままでは終わらないであろうことを確信した。
バランスの剣幕は相当なものであり、その顔はガルダン大陸で年中吹き上がっているという灼熱の溶岩のように真っ赤であった。
「やっべぇ」
マックスは小声で呟くと、亀のように首をすくませ縮こまった。
「おい!誰も名乗り出ないとはどういうことだ!さっさと名乗りでんか!この卑怯者!」
誰も名乗り出ないことにより、バランスの怒りはさらにヒートアップしたものの、当のマックスはどこ吹く風で、そ知らぬ顔を決め込んでいた。
すると突然、バランスの怒りが収束した。
バランスは鼻でフンッと息を鳴らすと、顔を歪めて嘲りの表情を浮かび上がらせた。
「さすがは平民だな。卑しい身分の者共なだけはある。先祖代々に渡って卑怯が身に染み付いているようだ」
するとそれまでしらばっくれていたマックスが、突然いきり立った。
大きな音と共に椅子を蹴立てて立ち上がると、バランスに向き直って言った。
「なんだと!?てめえ貴族が何様だってんだ!」
「ようやく名乗り出たか。この薄ら汚いどぶねずみがっ!」
「誰がどぶねずみだっ!?いいか、確かに悪口を言ったのは俺が悪かった。だがその俺たちを見下すような言い方はなんとかしろっ!今時、貴族も平民もあるかよっ!」
「なにをたわけたことを言っておるんだ貴様は!今時もくそもあるかっ!未来永劫貴様らはどぶねずみのような平民であり、このバランス様は貴様らの頭上に君臨する栄えある貴族の一員なのだ。分をわきまえろ、この馬鹿者!」
「なに言ってんだ。貴族なんてもう完全に形骸化して力なんてまったくないだろうが。お前たち貴族で構成される元老院なんて、ほとんど老人サロンみたいなもんじゃないかよ!」
ヴァレンティン共和国の政体は、市民から直接選挙で選ばれる八十人の委員で構成される評議会と、二百人の貴族から成る元老院との複合政体である。
しかしながら評議会の権限は元老院を遥かに上回っており、元老院の役割というのは現在はほぼなく、あくまで名誉職的な趣となっており、マックスの言う通り老人たちによるサロンといった表現が妥当なものとなっていた。
「なんだと!われら貴族でなる元老院があったればこそ、貴様ら平民どもの考えた愚策を是正して、この国を富める国としておるのではないか!」
「馬~鹿、なにをいつまでも夢見てんだ?すでに元老院なんて、市民から無用の長物だと何度も廃止案が出ている位に形骸化してんだぞ。そんなことも知らないのか、お前は」
「たわけが!元老院こそが貴様ら愚かな平民どもの暴走を食い止めているのが判らんか!もし仮に元老院が無くなろうものなら、貴様ら愚民どもはどこまでも馬鹿な政策を講じるに決まっておろう!そのための複合政体だというのがわからんのか、この馬鹿は!」
「馬鹿はお前だ、この大馬鹿野郎。別に俺は複合政体を否定してんじゃないんだよ。もう一方の政体が貴族で構成される必要性が無いって言ってんだよ。評議会とは別で、元老院に代わるチェック機関を直接選挙で市民から選べばいいって話をしてんだよ、俺は!」
マックスの言葉に、バランスは激しく顔を歪めて悔しそうに歯軋りをした。
しかしその目は異様なまでに爛々と輝いており、バランスの戦闘意欲がいささかも衰えていないことを指し示していた。
そのためそれを見たガイウスは、このままでは終わらないであろうことを確信した。
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