恋愛禁止令なんてひどすぎる!!

ゆーゆ

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微妙な関係編

イケメン理事長と突然の恋愛禁止令!?

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寒い冬が終わって、中学卒業という大きな節目を終え、今南からの暖かな温もりの風に吹かれながら、私は雪也と道幅の広い歩道を歩いている。
片側の家には春を喜ぶ小鳥達が木に止まり、何かを喜んでいる様な歌を見事に披露する。
そして、もう片側の道路では生徒達を乗せた親達が車を笑顔で運転している。
そんな様子を見ていると、不意に雪也と目が合っていた事に気付く。

如〔クスっ!…優里亜、顔赤いよー?〕

小さく息を吐いたかと思いきや、私を少し馬鹿にした様な声を出し、笑い始める。だが、顔が赤いのは正直言って自分でも自覚している。
でも…今もっと赤くなったのは雪也のせいだ

椎〔しょっ…しょうがないでしょ…〕

私の発言に、何かを返そうとせず雪也はただ、こくんとだけ頷く。
そして、相変わらずの笑顔をウザいくらいキープしている。

椎〔だって…今日は入学式なんだから!〕

…私と雪也は、ほぼ3年前から家柄の関係から周りから婚約者という面目を背負わされてきた。
その当時の私は恋愛に興味はなかったから、雪也との婚約は別に反対していなかったんだけど、雪也側のご両親から婚約破棄するって言う話を持ち掛けられてから、初めて雪也が好きだって気が付いたの。
それから、1年前に本当に、本格的に付き合い始めた。その頃から此処、私立西櫻学園での受験は考えていた。家柄の事も考えれば、私達の両親はこの学園への入学に対し否定はしなかった。

如〔いゃ~、真逆本当に入れるとは思えなかったよ〕

椎〔…雪也は、推薦入学じゃない…〕

おっ!そうだったなと、私との学力の差を改めて実感したかの様に私の発言にわざとらしく、馬鹿にしたように答える。本当に、何故か憎めない…でも、学力に関しては皆、雪也に対していつも嘆賞している。
だから、雪也も自分の頭の良さをちゃんと自覚している。

椎〔とっ、とにかく!入学式頑張ろー!〕

如〔ふはっ、何急に違う話しているのw〕

椎〔うっ…うるさい…!〕

こんな、雪也との恋人生活を同じ学校で送れる事が何より嬉しい。
…だが、この嬉しさは見事に1時間後、ことごとく崩れる事になる。


入学式

ザワザワと大勢の人が第一体育館いっぱいに溢れかえり各親、各生徒の嬉しさの分、賑わいをみせる。
私は、その内の1人にもなれないまま、ただただ、理事長の話に耳を傾けていた。ただ、私の視線は理事長ではなく左前にいる雪也の後ろ姿。そして、雪也は早速隣の男子生徒と仲良くなれたらしく、私の視線には全く気が付かず、話に夢中になっている。
いいなです私は周りの同級生とは話す事が出来ないよ

理〔ええと、私のお話に耳を傾けていただけないでしょうか?〕

理事長である西櫻翼は、少し苛立った様に低い声で生徒達に話し掛ける。
本当に、何歳なのかしら?まだ、30もいってはいないであろう理事長は、とても綺麗で端麗な顔立ちをしており、イケメンだけの番付だったら、この学校1であろう。
妙齢の美女と言いたいところだが、理事長は男だ。

理〔ところで、この学校はご存知の通り
国内有数の名門私立高校であり、その名を築けたのも、我が校の徹底した教育、指導とある決まり事のお陰であります〕

誰もが、ある決まり事という発言に関して興味を持ったであろう。
それは、私も雪也も一緒だった。
決まり事…の予想がつかない。でも、大した決まり事では済まされないのは確かだった。
理事長は、皆の予想通りの反応に少し笑った後、耳のすぐ側にある長い髪の毛を耳にかける。

理〔我が校では、無垢な心を生徒一人一人が保つ為に、また文武両道を目指す為にも邪魔とされる恋愛行為を一切、禁止しておりますっ〕

〔はぁぁぁ!?〕

第一体育館内に衝撃が走る。その衝撃波は、生徒から保護者まで伝わり、外にいる色々な人にまで伝わる。
私は、驚く以上の感情を出さずにはいられなかった。驚き過ぎて席を立たないでいられる皆を凄いと思う程だ。だが、周りは驚き過ぎて席を立たぬ様、必死に我慢していた。
私は、直ぐに雪也の方を見る。後ろ姿でも、驚いている様子が十分伝わって来る。

理〔落ち着いて下さい。これも、我が校の為であります。あっ、ちなみに既にお付き合いをされている方は別れる事を推薦致します♪〕

何故か楽しそうに言う理事長。この発言で、何人かがお互いアイコンタクトを取って、この理事長の発言に驚いた事を伝える。
私も、雪也とそうしたかったが雪也が此方を向いてくれなかった為、それは不可能だった。

〔どっ、どうしよう…〕

隣の方から、私が思っていた事と同じ事を発言する子がいた。まるで、私の心を読んだかの様な独り言に、とても共感してしまう。
本当に、ね…
私は、心の中で返事をした。物静かで友達作りに消極的な私が、人の独り言に対して答える勇気なんて有りっこない。

〔…えっ…?〕

先程までのその子透き通った声とは違った驚きの声が聞こえる。
私は、その子が何に驚いていたのかわからなかったが、先程から感じる熱視線に嫌な予感が増して来る。
もしかして…私、心の中で言ったつもりが…

理〔えっと、今アイコンタクト取っている異性同士の生徒、バレバレなので注意を~〕

私は、その理事長の発言の後、隣の方を勇気を振り絞って見る。
だが期待外れで、その子は私の方を見ておらず、理事長の方を見ている
だが、私は気付かない訳がなかった。この子が、私に先程まで熱視線を送っていた事を!

椎〔あっ…あの〕

私が、ボソッと小さな声でその子に呼び掛ける。
すると、顔は此方に向けてはくれなかったものの、目線は私の方へとゆっくりとずらしてくれる。その綺麗な透き通った目に、一瞬引き込まれそうになる。

〔……後で、話そうね…〕

椎〔うっ、うん!〕



一時限目前の休み時間、理事長室前にて

コンコンッ

藤〔理事長、新入生達から…〕

理〔それ以上、言わなくてもよろしい…どうせ先程の事に関しての質問攻めだろ?〕

理事長が、秘書である藤堂に対し、ドア越しで返事をする。
声の調子からして、悪い気分でもなさそうだが、良い気分という訳でもなさそうだ。

藤〔あらっ、ラブレターが数枚もきてると言うのに拝見なされないのですね~じゃあ、私の手で破ってあげ〕

ドン!藤堂の思惑通り、理事長がドアを勢い良く開けて中から出て来る

理〔それならはっきり言えば良いじゃないか、藤堂君!君にそんな大事なものを破られたら、俺はきっと君を秘書というものの扱い以下の対応をこれからするだろう〕

理事長のあからさまで、分かり易過ぎる反応に呆れつつも、手元にあったラブレター数枚を理事長に手渡しする藤堂。
理事長と言えば、秘書である藤堂がラブレターを手渡す事を嫌がっている訳ではないのだが表情が暗い事をとても気にしていた。

〔あのー、すいません〕

藤堂の背後から男子なのだが、男子にしては少し高い声が聞こえる。
藤堂が、振り向くと理事長は、藤堂と壁の間の隙間から彼を見る。

如〔俺、如月雪也って言うんですけど理事長、この後、お時間ありますでしょうか?〕

理〔クスッ、少しならあるよー?〕

何故か、笑っている理事長に雪也も少し笑みを浮かべている。だが、決して良い笑い方ではない事は、この場にいる誰もが思ったという。


バン!理事長が、勢い良くドアを閉めた理由は、とても明快であった。
表情からして、そう。理事長は今良い気分ではないのだ。理事長が気分を損ねた原因は、少なくともこの理事長の目の前にいる男。如月雪也と2人っきりになったせいだ。

雪也視点

俺は、理事長と目と目を見つめ合う。そして、少なくとも、理事長が此方の目から視線が外れるまで俺は理事長を見続けた。 

理〔クスッ、そんなに怖い顔しなくってもいいじゃない?ましてや、此処は理事長室だよ?もっとこの部屋に相応しい対応と表情をしなよ?〕

まるで、前からの友達かの様に生徒である俺に話す理事長。全く、厳しい環境に育ったにしては可笑しな口調だよな…

理〔さっ、座りな?如月君〕

理事長は、俺を自分の机の前にある黒いソファーへと座らせようとする。
それにしても、少ししか時間がないのだというのに、何故相手にソファーへと座れと言うだろうか?相手に長居してもいいと言っている様なものだ。

如〔大丈夫です。理事長、話は長くはないので〕

理〔へー、そっか。じゃあ、さっさと済ませてもらおっかな?〕

ガタン!自分専用の上等な椅子に勢い良く腰掛け、その後机に置かれている資料や手紙に目を通し始める理事長。俺の話なんて聞く気があるのだろうか?少なくとも、俺からしたら聞く気はなさそうに見える。

如〔理事長とは、5年ぶりでしたっけ?〕

理〔うーん、それくらいかな?あの時の君は小さくて可愛かったよね~〕

頼んでもいないのに、自分の思い出したくない過去をさらけ出さないで欲しい。
俺が、望んで可愛い姿をしていたのではないのだから。まぁ…周りには俺達以外、誰も居ないから良いけど

如〔父が、あの時はお世話になったとおっしっやっておりましたよ〕

理〔そりゃどうも。というか、お世話になる程の事はしていないと思うけどね~〕

返事の後に、いちいち何かを付け加えて答えるのが理事長の大きな特徴だった。
俺にとっては、嫌な人格という訳ではないけど、面倒くさいと思っているのは紛れもない事実だった。
だが多分、そう思っているのは俺だけではない。

理〔それで、本題は何だい?〕

イケメン顔〔キメ顔〕で言われたのはウザかったが流石だ。俺がまだ、本題を話していない事を見抜いてしまった。
もしかしたら、俺のよそよそしい態度で勘付いたのかもしれないけど。

如〔単刀直入に聞きますっ。何故、恋愛は禁止なのですか?〕

カタン。理事長が片手に持っていたペンが手から離され、手紙の上に落ちる。
ペンは、突然離された事によって、紙の上に滑る様に転がる。芯が出たままだったせいか、紙にインクが付いてしまう。
予想通りの反応になってしまった事に、俺は驚いてしまう。

理〔…ふはっ!真坂、君までその様な質問をするなんてね~!〕

お腹を両手で押さえ、大笑い寸前の表情で笑い始める理事長。
俺は何も言えず、ただその場で立ち尽くしていた。暫くは理事長の笑い声を聞かなきゃいけない。そう俺は思っていたのだが

理〔クスッ、へ~君でも気になるんだね♡〕

最後のハートいらねぇわ!
って、危うく口に出すところだった。いや、言う寸前ギリギリだった。
そんな余計な事を考えている間中、理事長がどんどん俺に近付いて来ているのが俺の視界上からわかった。
2.5m、2m、1.5m…10cm!?

如〔はっ!?り、〕

ドン!鈍い音が部屋中に響き渡る。俺はその時初めて、自分が壁にもたれていて、その自分の両側には綺麗な白い手があると言う事に気付いた。
これは、世に言う壁ドンと言えるだろう。だが、少なくとも、世の中の若者達がやる壁ドンの意味とは少し違う。

理〔いいかい、恋愛は君達生徒の勉強への邪魔になるんだ。これで、私達の学校の学力が下がり、折角の名誉が落とされてはどうする?君みたいな秀才で、品格がよろしい家柄の人間も困るだろう?〕

俺を馬鹿にする様に苦笑している理事長を、反対に壁ドンして追い詰めたかったが、相手にしている人がどうも、俺にとって都合が悪いらしい。おかげで、壁ドンをやり返す事が不可能だ。

如〔へー、でしたら俺は例外だと?〕

理〔ふふっ、それもそうかもね。でも、君だけに特別扱いをして、周りの生徒の反感を買ってしまってはどうする?〕

言うとは思っていたが、実際に言われると、本当に苛つく。こんな感情、久々かもしれない。
俺達は暫くお互いの目を睨み、見つめ合い微妙な空気を作り、生み出していた。

如〔…変えてみせますよ〕

グイッ、先程よりも顔と顔との間の距離を縮めされる。男同士だとわかっているから、理事長はそういう事はしないと思う。だけど、何故か安心は出来ない。

理〔今、なんて言った?〕

如〔だーかーらっ理事長さん、あんたの考え変えてみせますよって事ですよ♪〕

ニコッと、俺は、今日一番の嘘笑いを見せる。この笑いを嘘だと捉える人が殆どだと思う。でも、嘘だと捉えてもらう方が、今回は都合が良い。
俺が、笑い終える頃には、理事長も苦笑いをしていた。

理〔ふふっ♪変えてみせられるものならーか、え、て、み、な♡〕

キモい。けど、イケメン。本当になんなんだこの人は。
…とりあえず、宣戦布告しちゃった訳だから、しちゃったものは本気でやらないと…優里亜の為にも、皆の為にも!
って、何言ってんだ俺…
改めて前を見ても、目の前にいるのは強敵で、イケメンの理事長。この理事長に勝てる気は正直言ってない。だけど、勝ち負けはおいといて、俺はどんな手を使ってでも恋愛禁止令は取り下げてみせる。

理〔あっ、ちなみに如月君。君と椎名君は婚約しているんだってね?だからと言って恋愛行為を許すわけではないからね~〕

俺に背を向けて、言う理事長の表情は大体想像出来た。きっと、何かが可笑しくて可哀想過ぎと思っているから、誰かを見下している様な表情をしているだろう。

如〔…わかっていますよっ〕

バン!俺は、理事長と背を向けあったまま理事長室をさっさと出る。
本当に、苛つくしムカつく理事長だ。これで、女性達から好かれる理由がよくわからない。
だが、俺もその理事長の挑発っぽいものに少しのってしまった。これは、相手をその気にさせたり思い通りにするのが理事長は上手いからだろうか?
とにかく、理事長は俺達が気を抜けばすぐに行動を起こして、取り返しのつかない事をしてしまうかもしれない。
気を付けないと…


1年理数特進科

優里亜視点

椎〔…雪也…遅いな〕

私は、時計を見つつも自分の前の席にいる子を見ている。この子は、体育館で始めて同じクラスの女子で話してくれた子。教室に来たら話そうと決めたはずなのに、いざ騒がしい教室に来ると話しかける勇気が出ない。
何回、あの…と言いかけただろうか?その間に、その子は隣の席にいる男子と話し始めている。

如〔おいっ、優里亜〕

ガタン!雪也が突然、私に話かけた事により、私は見事に椅子から豪快に落ちる。クスクスと、周りの女子からの冷ややかな目線と笑い声。少し泣きそうにはなったが今は、立つ事を優先的に考えなければ

如〔ちょっw優里亜大丈夫?〕

予想はしていたが、雪也は情けない私の姿に苦笑している。少しは笑うのを遠慮しても良いのに…
雪也への不満を少し感じつつも、雪也が差し出してくれた手を掴もうとしていた。だが、誰かの視線が気になって何故か手を繋ぐ事が出来なかった。

如〔…?どうしたの、優里亜〕

私は、雪也の言葉には耳を傾けずに、背後をゆっくりと振り向く。綺麗な白い足が見える。ズボン…この学校の制服のズボンではない。だとしたら…

椎〔…理事長…!〕

理〔おっ、気付いた?それより、椎名君。大丈夫?〕

バシッ。雪也が、私に差し出してくれた手は御構い無しに、勝手に私の手を掴む理事長。少し暖かい手は、赤ちゃんの手と匹敵するくらいサラサラだ。
そのまま、理事長は私を引っ張り立たせてくれる。その間、雪也の顔を見なくて済んだ事は本当に良かったと思う。

理〔如月君、君は席に座りなさい。後、椎名君は、俺が保健室へと連れて行くからね~〕

私は、保健室に連れて行くべきほどの傷が酷かった訳ではないのだが、このまま授業を受ければ、気不味い雰囲気が間に漂ってしまっている状態の雪也と一緒の空間にいる事で倒れてしまうだろう。ここは、理事長の言う事を聞いて、保健室に行く方が良い

理〔行くよ?椎名君〕

椎〔はっ、はい!〕

一瞬だけでもいい、雪也を見れば良かった。私は、早過ぎる後悔をしてしまう。理事長の手が先程よりも暖かい。そういえば、いい加減手を離してほしい。理事長で歳上だからと言って、男性と手を繋ぐことはあまり慣れていない。

如〔ちっ、何なんだよ…〕

雪也が、ぼそっと言った言葉は、1人を除いては皆には聞こえなかった。雪也は自身は、その1人に聞こえてしまった事は直ぐに気が付いた。その1人は、雪也の綺麗な目をジッと見つめ、申し訳なさそうな顔をする。

手〔あのっ…悪気はないの……ねぇ、少し話さない?〕

授業開始まで、後1分もない。それなのに、4人の心は入学した事による緊張より、違う意味で心が騒ついていた。この心の騒つきは、解消されるのだろうか?
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