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聖女としての役目
しおりを挟む聖女。
昔から民に崇められる存在。
聖女の歴史は古く今から1000年以上前のお話。
1000年前、人類で初めての魔物暴走が発生した。
その頃の人類は、あまり文明が発展しておらず武器なども貧弱だった。
そのため多くの犠牲者を出した。
だが、人類絶滅とまではいかなかった。
なぜか。
『聖女様が現れたからだ』
聖女様が現れ主要都市に結界を貼った。
その結界は、魔物たちを通さず人間を通す摩訶不思議な結界だった。
その結界のことをこう記してある
【神聖結界】と。
神聖結界の発動条件は今の人類でも誰も解読できていない。
今の人類は昔に比べたら魔法や剣術などが圧倒的に劣ってきている。
なぜか。
それは、平和ボケをしているからだ――
***
「聖女様?」
エマが私の顔を覗き込んでくる。
私は目をこすりながら体を起こした。
「エマ……おはよう~」
「なんだか、ものすごくうなされていたようですが大丈夫ですか?」
「あぁ……確かに悪夢を見ていたわ」
そう言い私はベッドから降りた。
エマに身を任せて着替えをした。
「ねぇ、今日はどんな仕事が入ってるかわかる?」
エマは手帳を開きながら言った。
「今日はですね……各地方への顔出しです」
「顔出しかぁ……めんどくさいんだよなぁ」
「そんなこと言わないでください」
エマに遠回しにシャッキとしてくださいと言われているようでなんだが嫌だった。
気持ちを切り替えていつもの聖女の風格で部屋を出た。
廊下を歩いていると王城の者たちが挨拶をしてくる。
「おはようございます。聖女様」
「おはようー」
王城には何百と使用人がいるものだから挨拶が絶えずしなきればいけない。
たまに、挨拶しないときもあるけど……
歩いていいると前から神秘教の人らしき人が歩いてきた。
誰だろうと思いながら目を細めると……
「ッ!」
私はすぐさま地面に膝をついて言った。
「おはようございます。神官長様」
「おはよう。今日も見回りかしら?」
「はい。そのとおりでございます」
「そう。頑張ってね」
神官長の威圧感は人生で受けたことないほどだ。
この国中誰よりも威圧を放っていて気楽に話しかけられる人ではなかった。
毎回神官長様と会うときは心臓の鼓動が早くなる。
長い廊下を再び歩き朝食を取る部屋まで移動した。
朝食の部屋につくと先程いた神官長様が座っていた。
なぜここに――と思いながら言った。
「神官長様、ご食事一緒にしてもよろしいでしょうか?」
神官長様は食事を止めてこちらを向いて言った。
「許します。食事はたくさんいたほうが楽しいですからね」
その瞬間、口元は笑っていたが、目はまるで氷のように冷たかった。
私は、なぜか背筋が凍るのを感じた。
この人が、本当に“普通”の人間だろうかと――一瞬思ってしまった。
「神官長様無礼になるかもしれませんが、一ついいでしょうか」
「何かしら?」
神官長様は首を傾げて言った。
「私の役目ってなんですか?」
そう言うと部屋の空気は重くなったのだった。
ーーーーーーーー
次の更新は水曜日です。
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