【R-18】3月9日

熊野

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3月4日と5日、どっちですか?

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仕事中なのに、笹倉さんはオフィスにいるというのに。

「笹倉さんが好きなんです……!」

……言ってしまった――。

心臓が口から飛び出そうで、携帯を握る手が汗ばむ。
永遠に感じるほどの沈黙が流れて汗が止まらない。
耐えきれず自らその静寂を破った。

「あのっ、ごめんなさい! では仕事の続き取り掛かりますね! 今のは、忘れて下さい。あ、いや、忘れないでほしいけど、気にしないでほしいので……」

すると、笹倉さんがぶはっと吹き出した。

『わかった。忘れない。……ていうか、俺も同じなんで。……』
「え……同じ?」
『そう。……じゃあ、また。明日だな』
「は、はいっ」

え……。え?!
同じって……。
同じ思いってこと……?

でも、事務的な声にも聞こえて自信が持てない。

ああ、でもちゃんと言えた。
それだけでもよかった――。


◆◇◆


翌日は出勤日だ。
いつもより一本早い電車で会社に向かおうと家を出た。

告白で来たからか、心の中がすっきりしていて、昨日はよく眠れた。
笹倉さんの転勤は寂しいことには変わらないけど……。

オフィスの最寄り駅に着き、改札を出た時、コンビニから出てきた笹倉さんがいた。

「あ、久住さん。おはよう」
「お、おはようございます……」

私はドギマギしてしまったけど、笹倉さんは超普通に私の隣を歩き出した。
たまに腕が当たってドキッとしながら、笹倉さんの横顔を見上げた。
笹倉さんが私を見下ろし本題に入る。

「……あのさ。昨日の話だけど」
「は、はい……」

来た……来た来た!
肩にかけているバッグの持ち手を両手でぎゅっと握った。

「ちょっと……ちゃんと話したいから、帰り時間ある?」

笹倉さんの目が真剣で引き込まれる。
こくりと頷いて、私たちはオフィスに到着した。
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