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17.街の散策④
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「これ、うまいな」
一口唐揚げを齧って目を見開いたアンドリューは一言呟くと、その後は黙々と唐揚げ定食を食べている。
「また食べに来たい味ですね」
フェルナンドも頷き、そのまま一気に食べてしまった。
「そうだろ?久しぶりに来たけど、やっぱりうまいよな」
ライハートは嬉しそうに食べている。
他のお客さんもいなくなったので、護衛でついてくれている騎士たちにも中に入ってもらうと、やっぱり唐揚げ定食を黙々と食べている。
騎士たちにも、もちろん大好評だ。
そうでしょう。そうでしょう。
マイルズ亭の看板商品だからね。
おじさんに、唐揚げがどうしても食べたくなって、こんなのを作ってほしいと頼み込んで作ってもらった物だ。
まだ、前世のことはしっかりと思い出してはいなかったけど、今思えば、断片的に思い出していたのかもしれない。
ユアンも夢中で食べていて、あっという間に皿が空になっている。
リーリエも久しぶりにマイルズ亭の唐揚げが食べられて大満足だ。
「おばさん、ユアンくんのお母さんが体調悪いの。持ち帰れるような物作ってもらってもいい?」
「いいよ。ちょっと待ってな」
リーリエがお願いすると、二つ返事でオッケーしてくれた。
以前もリーリエの母親が具合悪かった為、よく作ってくれていたのだ。
「しばらく、ユアンくんとユアンくんのお母さんのご飯をお願いしてもいい?お金はわたしが出すから」
「全く、あんたは相変わらず世話焼きだね」
リーリエのお願いにおばさんは呆れたように言って、ユアンの方を見た。
「ユアン、あんた、皿洗いの手伝いできる?」
「できます」
ユアンが大きく頷くと、おばさんは満足そうに笑った。
「じゃあ、お昼に手伝いにおいで。そうしたら、ユアンとユアンのお母さんのご飯はうちで用意してあげるから」
「ありがとうございます!」
ユアンは嬉しそうに笑うと、元気よく頭を下げた。
「ありがとう。おばさん」
「リリーが辞めて、忙しかったから丁度よかったよ」
お礼を言うリーリエにカラカラと笑った。
さすが、おばさん。
わたしの時もこうやって、おばさんに助けられたな。
「ユアンくん、お母様はお医者様には診てもらってる?」
パトリシアの問いかけに、さっきまで笑顔だったユアンが悲しそうに黙って首を振った。
「なら、お姉さんがお医者様を呼んでおくわ。もちろん、お金はいらないから、心配しないでね」
「パティ、いいの?」
「こうして知り合ったんだもの。わたくしもユアンくんには笑っていてほしいわ」
パトリシアは慈愛に満ちた微笑みを浮かべて、お礼を言うユアンを見つめていた。
パティは女神ね!
絶対、悪役令嬢なんかじゃないわ。
改めて確信する。
わたしがざまぁされるようなことをしなければ、何にも起こらないはず。
うん。真面目に過ごそう。
気がつくと、またしても支払いがいつの間にか済まされていて、今度はアンドリューに奢られていた。
「ユアンの分も出しておいたからな。お兄さんに感謝しろよー」
ユアンの頭をゴシゴシと撫でて、笑っている。
いつもの軽い調子だったが、思いの外、優しい眼差しだった。
マイルズ亭を出た後、ライハートが王宮に戻らなくてはいけないということで、今日はここで解散ということになった。
その帰りの馬車の中でふと考える。
結局、学院祭の参考になることってあったかな?
なんか、食べて街をぶらぶらして遊んでただけのような…
まぁ、いっか。美味しかったし。
一口唐揚げを齧って目を見開いたアンドリューは一言呟くと、その後は黙々と唐揚げ定食を食べている。
「また食べに来たい味ですね」
フェルナンドも頷き、そのまま一気に食べてしまった。
「そうだろ?久しぶりに来たけど、やっぱりうまいよな」
ライハートは嬉しそうに食べている。
他のお客さんもいなくなったので、護衛でついてくれている騎士たちにも中に入ってもらうと、やっぱり唐揚げ定食を黙々と食べている。
騎士たちにも、もちろん大好評だ。
そうでしょう。そうでしょう。
マイルズ亭の看板商品だからね。
おじさんに、唐揚げがどうしても食べたくなって、こんなのを作ってほしいと頼み込んで作ってもらった物だ。
まだ、前世のことはしっかりと思い出してはいなかったけど、今思えば、断片的に思い出していたのかもしれない。
ユアンも夢中で食べていて、あっという間に皿が空になっている。
リーリエも久しぶりにマイルズ亭の唐揚げが食べられて大満足だ。
「おばさん、ユアンくんのお母さんが体調悪いの。持ち帰れるような物作ってもらってもいい?」
「いいよ。ちょっと待ってな」
リーリエがお願いすると、二つ返事でオッケーしてくれた。
以前もリーリエの母親が具合悪かった為、よく作ってくれていたのだ。
「しばらく、ユアンくんとユアンくんのお母さんのご飯をお願いしてもいい?お金はわたしが出すから」
「全く、あんたは相変わらず世話焼きだね」
リーリエのお願いにおばさんは呆れたように言って、ユアンの方を見た。
「ユアン、あんた、皿洗いの手伝いできる?」
「できます」
ユアンが大きく頷くと、おばさんは満足そうに笑った。
「じゃあ、お昼に手伝いにおいで。そうしたら、ユアンとユアンのお母さんのご飯はうちで用意してあげるから」
「ありがとうございます!」
ユアンは嬉しそうに笑うと、元気よく頭を下げた。
「ありがとう。おばさん」
「リリーが辞めて、忙しかったから丁度よかったよ」
お礼を言うリーリエにカラカラと笑った。
さすが、おばさん。
わたしの時もこうやって、おばさんに助けられたな。
「ユアンくん、お母様はお医者様には診てもらってる?」
パトリシアの問いかけに、さっきまで笑顔だったユアンが悲しそうに黙って首を振った。
「なら、お姉さんがお医者様を呼んでおくわ。もちろん、お金はいらないから、心配しないでね」
「パティ、いいの?」
「こうして知り合ったんだもの。わたくしもユアンくんには笑っていてほしいわ」
パトリシアは慈愛に満ちた微笑みを浮かべて、お礼を言うユアンを見つめていた。
パティは女神ね!
絶対、悪役令嬢なんかじゃないわ。
改めて確信する。
わたしがざまぁされるようなことをしなければ、何にも起こらないはず。
うん。真面目に過ごそう。
気がつくと、またしても支払いがいつの間にか済まされていて、今度はアンドリューに奢られていた。
「ユアンの分も出しておいたからな。お兄さんに感謝しろよー」
ユアンの頭をゴシゴシと撫でて、笑っている。
いつもの軽い調子だったが、思いの外、優しい眼差しだった。
マイルズ亭を出た後、ライハートが王宮に戻らなくてはいけないということで、今日はここで解散ということになった。
その帰りの馬車の中でふと考える。
結局、学院祭の参考になることってあったかな?
なんか、食べて街をぶらぶらして遊んでただけのような…
まぁ、いっか。美味しかったし。
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