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46 サバラン視点 報告
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爽やかな風が吹き、カーテンの隙間から柔らかな日差しが降り注いできた。鳥の鳴き声が朝の到来を告げている。サバランが顔を上げると、カマロンは、床に敷いてある絨毯に死んだように眠っていた。首を左右に降り、凝りをほぐす。
昨日はカマロンが食事の途中で寝始め、マシューが到着したのも夜が闇に包まれた頃だった。マシューにはそのまま休むように伝え、カマロンを運ぼうとした。が、テーブルから離れようとせず、面倒になってそのまま放置して仕事に戻ったのだ。目が覚めたら自室に戻るように促すつもりが、どうやら自分も寝てしまったようだ。
こめかみを押さえ目を瞬く。まだまだ片付けなければならないことは山ほどある。回復用の薬を喉に流し込む。疲れで動きが緩慢になっている。変な体勢で寝たせいで節々が強ばっていた。
(軽く体を動かしてシャワーを浴びるか。朝食を食べながら、3人と会話すればまだ間に合うだろう)
2の鐘が鳴り、徐々に城の使用人達が動き出した頃、サバランは、料理人にいつもより早く食事を用意するよう頼んだ後、3人を呼び出した。
「朝早くから申し訳ない。食事ももうじき届くが、それぞれ報告をしてくれ」
ジルバはパリッと糊を利かせたシャツに前の短いベストとコート。ブーツまで履いて用意がいい。対するマシューは、ゆったりとしたズボンにローブと、労働者風の服装をきっちり着こなしている。
カマロンは慌ててシャワーを浴びたらしく髪がまだ湿っている。が、分厚く通気性に優れた綿入りのローブにタイツを着ている。
一瞬顔を見合せ、ジルバが前に進み出て話し始めた。
「時間もないかと存じますので、私から手短にご報告を。国王主催の非公式狩猟会、及びその後のパーティーにドレーン伯爵、ポーケッタ侯爵、王妃の兄上であるビオレソリネス公爵が欠席すると正式に確認できました。表向きは、家族の看病と療養とされてますが、本当の理由はイートポーテル国付近で会合を行うからだと突き止めました」
「具体的な店の名前は、」
「タングストレスです。ハニーニ国で採れる鉱石タングスに3という神聖な数字をかけあわせた由来だそうで、地元ではお忍びで貴族が訪れる高級な店として認知されていました。ドレーン伯爵と旧友のスモーツ侯爵が、王家御用達のウィスキーやエールをここに卸しているので間違いないかと」
「よくやった、ジルバ!どう突き止めたかは聞かんが大変だったろう。で、もう1つのナハルの婚約者という王子はどうなった?」
「2名まで絞り込みましたが・・・・・・。1人は王位継承第4位のドータス、もう1人は王位継承権第7位のラックスです。どちらも年齢が17,18歳で剣術に優れております」
「ふむ、そうか」
サバランは考えを巡らせる。調査を頼んだ際に、剣術に優れている者としたのは、2つ理由がある。
1つは、ハニーニ王国では知力より武力が求められる特性がある。これは、豊かな土壌を求めて周囲の国を攻めることで領土を拡大してきたからだ。なんせ国土の8割を乾燥した内陸高原が占め、残りは高山地帯で凍てついた土地が広がっている。
もう1つは、ビオレソリネス公爵が剣術を好んでいるからだ。剣舞や決闘をよく見物しているという。他国の王子と接点を持つとしたらそういった催しだろうと考えたのだ。
しかし、私はどちらとも顔を合わせていない気がするのだ。我が国を訪問したとしたら、記憶にあるはずだが・・・・・・。非公式だとすると、どこかに誤魔化そうとした痕跡があるはずだ。
「どちらかは特定している時間はない。会合を行われる店に忍び込むか。その話はあとだ。カマロン、報告を頼む」
「はい。サバラン様のご友人であるカスティーラ国第1王子と接触出来、部下のポルカ様が滞在許可に加え、住む場所と仕事も手配すると約束してくださいました。また、手紙も預かっております」
サバランが手渡された手紙に触れると、ぱっと光り封が開いた。
昨日はカマロンが食事の途中で寝始め、マシューが到着したのも夜が闇に包まれた頃だった。マシューにはそのまま休むように伝え、カマロンを運ぼうとした。が、テーブルから離れようとせず、面倒になってそのまま放置して仕事に戻ったのだ。目が覚めたら自室に戻るように促すつもりが、どうやら自分も寝てしまったようだ。
こめかみを押さえ目を瞬く。まだまだ片付けなければならないことは山ほどある。回復用の薬を喉に流し込む。疲れで動きが緩慢になっている。変な体勢で寝たせいで節々が強ばっていた。
(軽く体を動かしてシャワーを浴びるか。朝食を食べながら、3人と会話すればまだ間に合うだろう)
2の鐘が鳴り、徐々に城の使用人達が動き出した頃、サバランは、料理人にいつもより早く食事を用意するよう頼んだ後、3人を呼び出した。
「朝早くから申し訳ない。食事ももうじき届くが、それぞれ報告をしてくれ」
ジルバはパリッと糊を利かせたシャツに前の短いベストとコート。ブーツまで履いて用意がいい。対するマシューは、ゆったりとしたズボンにローブと、労働者風の服装をきっちり着こなしている。
カマロンは慌ててシャワーを浴びたらしく髪がまだ湿っている。が、分厚く通気性に優れた綿入りのローブにタイツを着ている。
一瞬顔を見合せ、ジルバが前に進み出て話し始めた。
「時間もないかと存じますので、私から手短にご報告を。国王主催の非公式狩猟会、及びその後のパーティーにドレーン伯爵、ポーケッタ侯爵、王妃の兄上であるビオレソリネス公爵が欠席すると正式に確認できました。表向きは、家族の看病と療養とされてますが、本当の理由はイートポーテル国付近で会合を行うからだと突き止めました」
「具体的な店の名前は、」
「タングストレスです。ハニーニ国で採れる鉱石タングスに3という神聖な数字をかけあわせた由来だそうで、地元ではお忍びで貴族が訪れる高級な店として認知されていました。ドレーン伯爵と旧友のスモーツ侯爵が、王家御用達のウィスキーやエールをここに卸しているので間違いないかと」
「よくやった、ジルバ!どう突き止めたかは聞かんが大変だったろう。で、もう1つのナハルの婚約者という王子はどうなった?」
「2名まで絞り込みましたが・・・・・・。1人は王位継承第4位のドータス、もう1人は王位継承権第7位のラックスです。どちらも年齢が17,18歳で剣術に優れております」
「ふむ、そうか」
サバランは考えを巡らせる。調査を頼んだ際に、剣術に優れている者としたのは、2つ理由がある。
1つは、ハニーニ王国では知力より武力が求められる特性がある。これは、豊かな土壌を求めて周囲の国を攻めることで領土を拡大してきたからだ。なんせ国土の8割を乾燥した内陸高原が占め、残りは高山地帯で凍てついた土地が広がっている。
もう1つは、ビオレソリネス公爵が剣術を好んでいるからだ。剣舞や決闘をよく見物しているという。他国の王子と接点を持つとしたらそういった催しだろうと考えたのだ。
しかし、私はどちらとも顔を合わせていない気がするのだ。我が国を訪問したとしたら、記憶にあるはずだが・・・・・・。非公式だとすると、どこかに誤魔化そうとした痕跡があるはずだ。
「どちらかは特定している時間はない。会合を行われる店に忍び込むか。その話はあとだ。カマロン、報告を頼む」
「はい。サバラン様のご友人であるカスティーラ国第1王子と接触出来、部下のポルカ様が滞在許可に加え、住む場所と仕事も手配すると約束してくださいました。また、手紙も預かっております」
サバランが手渡された手紙に触れると、ぱっと光り封が開いた。
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