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しおりを挟む「かがみ、鏡文字!鏡文字ですよ、きっと!」
「鏡文字って、これがか?古代文字とは思えなかったが、なるほど・・・・・・。ジルバ、鏡持ってこい!」
「はっ」
ジルバはすぐに戻ってきた。さっき偶然見つけていただけだと言っていたが、細かな所まで気を配っていたのだろう。鏡だけでなく、紙とペンまで用意している。
ジルバが鏡をセットし、本の1ページ目を映す。反転してテーブルに映った文字。
「読めますね」
「えぇ。時間がかかりますが、花の挿絵のページを中心に調べてみます」
「あぁ。シエル、この日記は、第2王妃マリーナのものだな?どこで見つけた?」
「へ?」
何のことを言われているか分からなかった。サバラン王子は、本をトントンと指さす。
「あっ、その本は第2王妃だけの日記だったんですね!まだ中は確認してなくて・・・・・・。日記は左から奥へ7,8番目の通りのどこかで見つけました」
ひとつの通りに書棚が4つずつほど置かれている。左右合わせれば8つもある。知の集合と言う言葉に相応しい場所だ。
「そうか。結婚の儀式の日でやはり日記は途切れている。黒い花に関しても1文しか出てきてない。他の人の日記から探るしかないと思ったんだがな」
「近くに行けばすぐに場所は分かります。ついてきてください!」
「何故わかる?何番目かもうろ覚えなんだろう?」
「そこだけ本が少なかったんです。装丁されていない紙の束を綴じただけの物が他より多くて・・・・・・」
「さっき第2王妃のみの日記と言ったな?つまり、ほかの本は色んな人の日記がひとつにされているということだな?」
次の書棚へ移動しながら応える。サバラン王子は何が聞きたいのだろう。
「えぇ、なんというか、王妃や王の名前が出てきてて、どちらの日記かよく分からなかったんです」
「あー、しっかり読まなかったのか?」
「パラパラと捲って文字が綺麗な部分だけ確認しました。貴族なら」
「貴族なら、文字が綺麗だと?シエル、王族の日記を他の王族と一緒の本としてまとめることなど、絶対に無い。それに、代筆させるにしても専属の者のみだ。汚い文字がある上に王族が複数でてくるとしたら、使用人ではないか?綺麗な文字は代筆だろう」
「あっ!つまり、文字を書けない家来や使用人たちの言葉を残す必要があった、つまり、大事なことが書かれているということですね?」
「そうだと思ってる」
本としてまとめられているから、てっきり王族の日記だと思い込んでいた。だから筆跡がバラバラでも代筆をその場でさせていたのだと解釈していた。どうりで、王の日記なのか、王妃の日記なのか分かりにくかったのだ。
サバラン王子はまだ何か言いたげだった。少し躊躇ってから抑揚の無い口調で呟いた。
「もしくは、大事な情報をそこに紛らわせて隠したか・・・・・・」
「着きました!」
「よし、手分けして調べるぞ」
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