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変態と平和な日々?
何やかんや平和です
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「ししょぉぉぉぉっ!」
「神ぃぃぃぃぃぃっ!」
騒がしい教室の中で一際響く声。今日も竜也君の周りが一番騒がしい。
田辺君は相変わらず竜也君の信者してて毎日騒いでるけど、勢力が更に拡大したと言うか、『神』が現れた。
そう、神。
「いや、マジ神っす! 上野氏ぱねぇっす!」
竜也君と上野君も無事に仲直りして、三人の友情復活かと思いきや、上野君にも取り巻きができた。朝とか休み時間は大体こんな感じ。
竜也君はカードゲーマー達から師匠として慕われてるけど、上野君は崇められてる。武器商人ブラザーズとして凄いもの作ってるのもあるけど、元々はプラモデルを作ってたらしくて、滅茶苦茶凝ってるらしい。その分野のオタクじゃない人達からも「なんか凄いやつ」って思われ始めてる。竜也君より格上感出てるかもしれないレベルで。
「今日も平和だなぁ……」
「そうねぇ」
騒がしいけど、竜也君がこっちに近付けないでいるのは平和そのもの。おかげで由真ちゃんとお喋りできる。嬉しいなぁ。
「そうそう平和が一番だよね」
んん?
私は由真ちゃんと二人でお喋りしてたはず。ふみちゃんも来てないし、ましてや萌花ちゃんも朝からは押しかけて来ない。
「ほんと、めでたしめでたし」
ケラケラと笑ってるのは向井君だった。
一体いつの間に……?
当然のように混じってらっしゃるけど、由真ちゃんも驚いたご様子。
「む、向井君はなぜこちらに?」
「あっちに混ざれないし」
向井君が指す先にいるのは竜也君と上野君を取り巻く集団。うるさいし、何か暑苦しい。妙な熱気が見える気がする。
あ、そっか……向井君は手芸好きで、オタク集団に混ざれるほどオタクじゃない。樹脂を扱ったりな点では上野君と共通の話題もあるらしいんだけど、あの盛り上がりには入れないんだ。
結局類友でトリオ復活とは言っても学校では常に三人で仲良くとはいかない状況。竜也君も上野君もそれぞれ友達が増えて楽しそうなんだけど……
いや、向井君も今までと違う層の女子からの視線が熱いんだけど、こうなると何て言うか……
「別にハブられてないからね!? 可哀想とか思わないでよ。別に困ってないし」
心を読まれた……!
三人で一緒の時もあるし、何やかんや竜也君のお外克服計画も立ててるみたいだし、ミスター達の衣装を一緒に作ることになったみたいだけど……
「じゃあ、何で、私に女の子達を追い払わせるのかな?」
男子からの支持率が上がった竜也君と上野君に対して、向井君は女子からの支持率が上がって、本当なら今頃女子に囲まれてるはずが、私を盾にするわけで……
アクセサリー作ってほしい女子とか作り方教えてほしい女子とかが来るのに、「マネージャー通して」とか言うんだ。私はいつから向井君のマネージャーになったんだろう?
もしかして、萌花ちゃん使って捕獲したこと根に持たれてる……?
「凛鈴ちゃん、今日部活ないよね?」
「ないけど……」
向井君は私の質問に答えない代わりにそう聞いてきたから、うっかり反射的に答えちゃった。
部活はない。確かにないけど……
「じゃあ、放課後、付き合ってくれない? って言うか、付き合って」
「え?」
思わぬお誘いにキョトン。何だろうと思ってたら「変な意味じゃないからね」って釘を刺された。
で、ですよね……。
「手芸屋行きたいんだけど入りづらくて」
なるほど……?
そう言えば駅の近くに大きなお店あるけど、男子には入りづらいのかな?
「いつもはネットで買ったりしてるんだけど、自分の目で見たいじゃん? 僕の作品のためだからさ」
「そういうことなら……」
そう言われると弱い。
実物とネットの写真じゃ色味とかサイズ感とか難しいところあるだろうし、カケルさんのアクセサリー見たいし……手芸店に一緒に行くくらいいいよねと思ったんだけど……
「浮気だめぇぇぇぇぇっ!」
やっぱり湧いて出てきた竜也君。安定のうるささ。
でも、この瞬間、私の頭に名案が浮かんだ。
「じゃあ、竜也君が一緒に行けば? 竜也君だって布とか見るでしょ?」
「えっ……」
「えっ!?」
驚く竜也君と向井君。手芸店には布だってあるし、全く用がないわけじゃないはず。
「仲間はずれずりー!」
そう言って今度は上野君が湧いて出てきた。
由真ちゃんはうんざり顔。さっきまで平和だって言ってたのに、あっという間に三馬鹿が揃っちゃったわけで。
「上野君も一緒に行けばいいじゃん。樹脂とか使うんでしょ?」
「えぇっ」
上野君は驚くけど、満更でもない顔してるし、狙ってきたんじゃないか感。
三人揃って手芸店に行けば怖くないはず……!
上野君こそ入りづらいんじゃないか感あるし、何か良いこと言った気分。三人は何やかんや言ってるけど、すっかり元通りでやっぱり平和だなぁと思った。由真ちゃんには何だか申し訳なかったけど。
結局、放課後には萌花ちゃんもふみちゃんもついてくることになって、みんなで行くことになった。そうしたら、アクセサリー作ってみたいとか、グッズをデコレーションしようとかいう話になって、竜也君の家でやることになったりして。
その夜にはすっかり話が大きくなってて、またバーベキューが決まってて、竜也君はみんなが来ることにブーブー言ってたけど、私は楽しみだなぁって、平和を噛み締めたりして。竜也君と出会わなければこんなことなかったんだなぁなんて思ったりした。
「神ぃぃぃぃぃぃっ!」
騒がしい教室の中で一際響く声。今日も竜也君の周りが一番騒がしい。
田辺君は相変わらず竜也君の信者してて毎日騒いでるけど、勢力が更に拡大したと言うか、『神』が現れた。
そう、神。
「いや、マジ神っす! 上野氏ぱねぇっす!」
竜也君と上野君も無事に仲直りして、三人の友情復活かと思いきや、上野君にも取り巻きができた。朝とか休み時間は大体こんな感じ。
竜也君はカードゲーマー達から師匠として慕われてるけど、上野君は崇められてる。武器商人ブラザーズとして凄いもの作ってるのもあるけど、元々はプラモデルを作ってたらしくて、滅茶苦茶凝ってるらしい。その分野のオタクじゃない人達からも「なんか凄いやつ」って思われ始めてる。竜也君より格上感出てるかもしれないレベルで。
「今日も平和だなぁ……」
「そうねぇ」
騒がしいけど、竜也君がこっちに近付けないでいるのは平和そのもの。おかげで由真ちゃんとお喋りできる。嬉しいなぁ。
「そうそう平和が一番だよね」
んん?
私は由真ちゃんと二人でお喋りしてたはず。ふみちゃんも来てないし、ましてや萌花ちゃんも朝からは押しかけて来ない。
「ほんと、めでたしめでたし」
ケラケラと笑ってるのは向井君だった。
一体いつの間に……?
当然のように混じってらっしゃるけど、由真ちゃんも驚いたご様子。
「む、向井君はなぜこちらに?」
「あっちに混ざれないし」
向井君が指す先にいるのは竜也君と上野君を取り巻く集団。うるさいし、何か暑苦しい。妙な熱気が見える気がする。
あ、そっか……向井君は手芸好きで、オタク集団に混ざれるほどオタクじゃない。樹脂を扱ったりな点では上野君と共通の話題もあるらしいんだけど、あの盛り上がりには入れないんだ。
結局類友でトリオ復活とは言っても学校では常に三人で仲良くとはいかない状況。竜也君も上野君もそれぞれ友達が増えて楽しそうなんだけど……
いや、向井君も今までと違う層の女子からの視線が熱いんだけど、こうなると何て言うか……
「別にハブられてないからね!? 可哀想とか思わないでよ。別に困ってないし」
心を読まれた……!
三人で一緒の時もあるし、何やかんや竜也君のお外克服計画も立ててるみたいだし、ミスター達の衣装を一緒に作ることになったみたいだけど……
「じゃあ、何で、私に女の子達を追い払わせるのかな?」
男子からの支持率が上がった竜也君と上野君に対して、向井君は女子からの支持率が上がって、本当なら今頃女子に囲まれてるはずが、私を盾にするわけで……
アクセサリー作ってほしい女子とか作り方教えてほしい女子とかが来るのに、「マネージャー通して」とか言うんだ。私はいつから向井君のマネージャーになったんだろう?
もしかして、萌花ちゃん使って捕獲したこと根に持たれてる……?
「凛鈴ちゃん、今日部活ないよね?」
「ないけど……」
向井君は私の質問に答えない代わりにそう聞いてきたから、うっかり反射的に答えちゃった。
部活はない。確かにないけど……
「じゃあ、放課後、付き合ってくれない? って言うか、付き合って」
「え?」
思わぬお誘いにキョトン。何だろうと思ってたら「変な意味じゃないからね」って釘を刺された。
で、ですよね……。
「手芸屋行きたいんだけど入りづらくて」
なるほど……?
そう言えば駅の近くに大きなお店あるけど、男子には入りづらいのかな?
「いつもはネットで買ったりしてるんだけど、自分の目で見たいじゃん? 僕の作品のためだからさ」
「そういうことなら……」
そう言われると弱い。
実物とネットの写真じゃ色味とかサイズ感とか難しいところあるだろうし、カケルさんのアクセサリー見たいし……手芸店に一緒に行くくらいいいよねと思ったんだけど……
「浮気だめぇぇぇぇぇっ!」
やっぱり湧いて出てきた竜也君。安定のうるささ。
でも、この瞬間、私の頭に名案が浮かんだ。
「じゃあ、竜也君が一緒に行けば? 竜也君だって布とか見るでしょ?」
「えっ……」
「えっ!?」
驚く竜也君と向井君。手芸店には布だってあるし、全く用がないわけじゃないはず。
「仲間はずれずりー!」
そう言って今度は上野君が湧いて出てきた。
由真ちゃんはうんざり顔。さっきまで平和だって言ってたのに、あっという間に三馬鹿が揃っちゃったわけで。
「上野君も一緒に行けばいいじゃん。樹脂とか使うんでしょ?」
「えぇっ」
上野君は驚くけど、満更でもない顔してるし、狙ってきたんじゃないか感。
三人揃って手芸店に行けば怖くないはず……!
上野君こそ入りづらいんじゃないか感あるし、何か良いこと言った気分。三人は何やかんや言ってるけど、すっかり元通りでやっぱり平和だなぁと思った。由真ちゃんには何だか申し訳なかったけど。
結局、放課後には萌花ちゃんもふみちゃんもついてくることになって、みんなで行くことになった。そうしたら、アクセサリー作ってみたいとか、グッズをデコレーションしようとかいう話になって、竜也君の家でやることになったりして。
その夜にはすっかり話が大きくなってて、またバーベキューが決まってて、竜也君はみんなが来ることにブーブー言ってたけど、私は楽しみだなぁって、平和を噛み締めたりして。竜也君と出会わなければこんなことなかったんだなぁなんて思ったりした。
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