【R18】お世話した覚えのない後輩に迫られました

Nuit Blanche

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第一章

「いつもお世話になってます」 6

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「先輩、処女でしょう? 無理矢理ねじ込んで余計に痛い思いなんかさせたくないですもん。女の子の初めては大事にしないと」
「ぅ……」

 ファーストキスは奪っておいて、彼なりに気遣っているつもりなのか。
 事実ではあっても、異性に自分の性経験について言及されるだけで目眩がしそうなほどで、言葉を失った紗菜は必死に逃げ道を考えていた。
 既に下着を見られているとは言っても羞恥は消えない。何しろ彼とは交際しているどころか親しくもない。紗菜にとっては初対面の後輩でしかない。

「俺のチンポ、おっきいって好評なんですけど、紗菜先輩にはちょっと厳しいかもしれないんですよね。慣れたら俺のじゃなきゃダメなくらいメロメロになると思うんですけど」

 どうやら経験が多いらしいということは彼の言葉からわかってはいたが、紗菜には刺激が強すぎる話だった。
 実物を見たこともないというのにサイズの話をされてもぴんとこない。しかし、それだけは回避しなければならないということはわかる。

「だから、俺のテクで気持ち良くなってもらうだけです」

 それならば、と受け入れられるはずもない。紗菜は首を横に振るが、晃は掴んだ手を離してはくれなかった。

「乱暴なことは絶対にしません」

 何を言われても未知の経験をさせられそうになっていることについて、歓迎できるはずもない。掴まれた手が痛むというのに、その言葉を信じることはできない。
 そんな紗菜の様子に気付いたように晃は掴んでいた手を離し、代わりに優しくさすってくる。

「先輩に帰ってほしくなくてつい……手首痛かったですよね」

 さするだけでは足りないと思ったのか、晃は詫びるように甲にそっと唇を落とす。
 まるでお姫様になったような気分だが、そんなことをされるのも紗菜にとっては初めてのことだ。どうすれば良いかわからないまま手を引っ込めようとするが、そっと手を掴まれてしまう。

「俺に触られるの、嫌ですか?」

 悲しげな目に見詰められ、はっきり言うことは紗菜にはできなかった。彼だからというわけでもなく、単純に他人に触られることが苦手なのだが、彼は肯定だと判断したようだった。

「なら、先輩がオナニーしてるところが見たいです」
「何……?」

 言われたことの意味がわからずに紗菜は首を傾げる。卑猥なことのような気がして口にすることははばかられたが。

「こことか、ここ……」
「やっ!」

 晃の手がするりと胸を這い、更に下へと降り、秘部に触れるのを紗菜は咄嗟のことで阻めなかった。
 たとえ、スカートの上からであっても異性に触れられることが紗菜には信じられない。逃れようと慌てて身を引いても椅子が机にぶつかり、音を立てるだけだった。

「自分で触らないんですか?」

 探るように顔を覗き込まれ、追及から逃れるように顔を背けた紗菜は答えることができなかった。何より笑みを浮かべる唇が先ほど自分の唇に触れていたかと思うと落ち着かなかったのだ。

「紗菜先輩は本当にウブなんですね。一人エッチもしないなんて」

 笑われても紗菜にとってはしないことの方が普通だった。周りではそういう話もあるが、してはいけない行為のような気がしていたのだ。

「じゃあ、俺にしてください。このまま帰したくないんです」
「したら、帰っていい……?」

 恐る恐る紗菜は晃の様子を窺う。
 自分で触れるような恥ずかしいことをしないで済む代わりに何かをさせられるのだ。卑猥なことであるのは間違いない。それでも何もしなければ帰してもらないことはこれまでの流れでわかっていた。

「ええ、俺が満足したら帰します。だから、ベッドに行きましょう?」

 頭を撫でられ、優しい言葉に惑わされるように紗菜は頷いていた。素直に従う以外に帰る道はないのだから。

「立てますか?」

 手が差し出されても紗菜は自力で立つつもりだったが、ふらついて晃に支えられてしまう。

「キスで腰が砕けちゃったんですかね? これじゃあ帰れなかったですね」

 晃にクスクスと笑われる度に紗菜は何とも言えない気持ちになる。隙を見て走って逃げ出せれば良かったのかもしれないが、そんな思惑も見透かされていたのかもしれない。

「ちゃんと俺の記憶に残ることしてから帰ってくださいね」
「ぁ……!」

 一体何をさせられるのか紗菜が不安になっているとすくい上げるように抱き上げられる。咄嗟に晃の首に腕を回してしがみついた紗菜は決まりが悪い思いでいっぱいだった。
 晃の顔はときめかずにいられないほど特別整っているわけでもないが、その顔が近付くと先程のキスを思い出さずにはいられない。

「お姫様抱っこも初めてですか? どうです?」

 感想を求められたところで感動があるわけでもない。安定感はあるが、とにかく落ち着かない。この空気に耐えられそうにない。晃を意識せずにはいられず、紗菜は持ち上げられているだけで限界だった。

「早く下ろして……!」
「お姫様は少しぐらい我が儘な方が可愛いですけど、そんなに早くベッドに行きたいんですか?」
「違う……!」

 とにかく紗菜は帰りたい一心だった。ベッドに下ろしてほしいのも早く次に進めてほしいだけだ。それなのに、紗菜にそれを強いた晃がからかってくるのだから質が悪い。
 晃はこの状態さえ楽しんでいるようだ。

「こんなに軽いと駅弁とかできそうですね」
「何……?」
「妄想が捗るって話です」

 聞かない方が幸せなこともあるのだろう。晃が言うことは紗菜には理解できそうになかった。
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