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答えは三人で
二人の間で漂いながら
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「実結先輩にいいこと教えてあげます」
「いいこと……?」
一体何だろうかと実結は笑みを浮かべる慶を吸い込まれるように見詰める。
「大好きな和真先輩のことも気持ち良くしてあげたいですよね?」
「教えなくていい」
実結が頷くより先に和真が制した。強い口調に戸惑って実結は和真を見た。
「実結ちゃんは何もしなくていいから、俺に身を任せて?」
「ふ、あぁっ……」
考えることを咎めるように和真は花芽と花筒を刺激してくる。
「してあげたら、泣いて喜びますよ」
尚も慶は囁きかけてくる。
「俺は、こうやって実結ちゃんに触れて、気持ち良くしてあげられるだけで幸せだから」
実結は二つの島の間で揺れる小舟のようだった。どちらについたら良いかわからずに、ゆらゆらと波間を漂う。
「お互いに奉仕したら、もっと気持ち良くなれますよ」
「どうすればいいの……?」
悪魔に取引を持ちかけられているような気分だったが、ぐらりと実結の心は動いてしまった。してもらうだけでなく、してあげられることもあるのなら知りたいと思ってしまったのだ。
「口で、してあげるんです」
「口で……?」
慶の指が実結の唇を撫で、そっと中に入ろうとする。
「そう、この可愛いお口で和真先輩の」
「お前がしてもらえばいいだろ」
肝心なことを聞く前に和真が遮る。和真にとっては良くないことなのか、実結には判断できない。
「俺はいいんです。もうこれ以上、苦しい思いとかさせたくないし」
「苦しいの……?」
口で何をすると言うのか。和真はわかっていて阻止しようとしている。自分だけがそれを知らないというのは、仲間外れにされているようで、やはり実結は知りたいと思ってしまった。
「実結ちゃん、俺はいいから、遠間ので教えてもらうといい」
「だから、俺はいいんですってば」
今度は慶が強く言うからこそ、実結は混乱していた。
「和真先輩は泣いて喜ぶのに、慶君は嫌なことなの?」
和真にすることを勧めておきながら自分自身は嫌がるとはどういうことなのか。
「遠間も泣いて喜ぶよ」
「俺にはしなくていいんです」
「仕返しができるよ。遠間の弱みを握れるかも」
今度は和真が反撃に出るように囁きかけてきて、実結はまた大きく流されてしまった。
「慶君ので教えて……?」
「うっ……」
「だめなの?」
「だめ、じゃない、です、けど……」
歯切れが悪い慶は目を泳がせ、耳が赤くなっているのが髪の隙間から覗いている。嫌がっていると言うよりも照れているようで実結の中にも悪戯心が芽生えた。
「じゃあ、いい?」
「……先輩が後悔すると思いますよ」
その言葉の真意はわからないが、溜息を吐く慶は折れたらしかった。
「って言うか、和真先輩はいいんですか? 実結先輩の初めて、全部俺がもらうことになりますけど」
「俺は初めてとか拘らないから」
「さりげなく俺が処女厨みたいに言うのやめてくれませんか」
「被害妄想だろ」
肩を竦めた慶は実結の左手を取り、自分の股間へと導く。
「これ、もう何かわからないとか言いませんよね?」
「あ……」
ズボンを押し上げる硬い感触に実結は驚く。こうして触れるのは初めてになるが、何かわからないはずがない。実結にとっては凶器にも思えたものだった。
つまり、それに口をつけるということなのだろうと理解して、実結は同時に後悔すると慶が言った意味もわかった気がした。
「俺にするのと大好きな先輩にするのとじゃ違うでしょ。だから、俺にはしなくていいんです。指で教えてあげますから先輩にしてあげればいいんです」
あれだけ勝手なことをしておいて、今になって気を使っているのだろうか。
「できるところまででいいんじゃないかな。怖い物だって思われ続けても困るだろうし、手でしてもらうだけでも十分だろ」
手だけなら、と実結はそっと撫でてみる。その瞬間びくっと慶が体を跳ねさせる。
「不意打ちとか……! 危ないからやめてください」
「危ないの……?」
どういうことなのか、実結にはよくわからない部分がある。実結にはない未知の物である。
「先輩がどうしても興味があるなら二人っきりの時にしてほしいです」
二人っきりなら良くて、今が駄目な理由は何だろうか。もう少し触ってみようとした実結の手は慶にやんわりと掴まれてしまった。
「遠間は恥ずかしがってるだけだよ」
「和真先輩の前で暴発なんかしたら後々何を言われるか……」
「だから、そういう陰湿なのはお前の特技だろ」
「え、俺のこと、そういう風に思ってるんですか? 傷付きます……実結先輩慰めてください」
そう言われても、と実結は助けを求めるように和真を見た。この状況でどうすることが正解なのか全くわからないのだ。
「今度はそっちを『よしよし』してあげればいいよ」
「変なこと吹き込まないでください!」
「途中で怖いと思ったら握り潰しちゃえばいいんだし」
明るい調子で和真は言っているが、そこが急所であることは実結も知っている。デリケートな場所であるからこそ、どちらの言う通りにするべきか迷ってしまうのだ。
「そういうこと言わないでください。実結先輩が真に受けたらどうするんですか! まあ、実結先輩の力じゃ無理でしょうけど」
「噛まれればいいんじゃないかな」
「さらっと言って……! そんなに俺が嫌いですか」
「俺は可愛い後輩達のことを考えてるつもりだよ」
和真が自分達のことを考えてくれていると思うだけで実結は嬉しかった。彼の言う通りにすることが正しいのではないかと思ってしまうほどに。
「実結ちゃんが嫌がることはしないのは当然だ。でも、実結ちゃんがしようと思うことを阻止するのも違うんじゃないか?」
「じゃあ、実結先輩はご奉仕したいんですか?」
「どこまでできるかわからないから……慶君に待ってもらう間、何かできることがあればと思って……」
そういった行為を自ら進んでしたいのかと言われれば悩むところではあるが、自分にできることがあるのならしたいと思っていることは事実だった。また和真に背中を押された気がしている。
「実結先輩は優しいですよね。俺に歩み寄る必要なんてないのに」
実結にとって慶は自分を傷付けた男であって、突き放すべきであっても、それができない。
選択肢を奪われて従ってしまったことで精神的に囚われ続けているのかもしれない。
救いを求められている気になってしまうのだ。そして、彼を救えれば自分も救われるという幻想に取り憑かれているのかもしれない。
「でも、嬉しいです。ちゃんと俺に向き合おうとしてくれる。やっぱり実結先輩のことが大好きです」
そうして、ふわりと笑った慶に実結は年下の男の子らしい可愛らしさを感じた気がした。彼を怖いと思う部分もあるが、本当に自分を好いてくれているのだと改めて認識する。
「このまま野に放つのは危険だから自分が責任持って更生させなきゃってことだろ。俺も協力するけど」
「ひ、ひどい! 俺の感動を台無しにされた……!」
慶も和真の存在を忘れていたわけではないのだろうが、些か大袈裟にショックを受けているようでもある。
そんな慶を見ながら実結はそろそろ話を進めなければならないと思っていた。
「いいこと……?」
一体何だろうかと実結は笑みを浮かべる慶を吸い込まれるように見詰める。
「大好きな和真先輩のことも気持ち良くしてあげたいですよね?」
「教えなくていい」
実結が頷くより先に和真が制した。強い口調に戸惑って実結は和真を見た。
「実結ちゃんは何もしなくていいから、俺に身を任せて?」
「ふ、あぁっ……」
考えることを咎めるように和真は花芽と花筒を刺激してくる。
「してあげたら、泣いて喜びますよ」
尚も慶は囁きかけてくる。
「俺は、こうやって実結ちゃんに触れて、気持ち良くしてあげられるだけで幸せだから」
実結は二つの島の間で揺れる小舟のようだった。どちらについたら良いかわからずに、ゆらゆらと波間を漂う。
「お互いに奉仕したら、もっと気持ち良くなれますよ」
「どうすればいいの……?」
悪魔に取引を持ちかけられているような気分だったが、ぐらりと実結の心は動いてしまった。してもらうだけでなく、してあげられることもあるのなら知りたいと思ってしまったのだ。
「口で、してあげるんです」
「口で……?」
慶の指が実結の唇を撫で、そっと中に入ろうとする。
「そう、この可愛いお口で和真先輩の」
「お前がしてもらえばいいだろ」
肝心なことを聞く前に和真が遮る。和真にとっては良くないことなのか、実結には判断できない。
「俺はいいんです。もうこれ以上、苦しい思いとかさせたくないし」
「苦しいの……?」
口で何をすると言うのか。和真はわかっていて阻止しようとしている。自分だけがそれを知らないというのは、仲間外れにされているようで、やはり実結は知りたいと思ってしまった。
「実結ちゃん、俺はいいから、遠間ので教えてもらうといい」
「だから、俺はいいんですってば」
今度は慶が強く言うからこそ、実結は混乱していた。
「和真先輩は泣いて喜ぶのに、慶君は嫌なことなの?」
和真にすることを勧めておきながら自分自身は嫌がるとはどういうことなのか。
「遠間も泣いて喜ぶよ」
「俺にはしなくていいんです」
「仕返しができるよ。遠間の弱みを握れるかも」
今度は和真が反撃に出るように囁きかけてきて、実結はまた大きく流されてしまった。
「慶君ので教えて……?」
「うっ……」
「だめなの?」
「だめ、じゃない、です、けど……」
歯切れが悪い慶は目を泳がせ、耳が赤くなっているのが髪の隙間から覗いている。嫌がっていると言うよりも照れているようで実結の中にも悪戯心が芽生えた。
「じゃあ、いい?」
「……先輩が後悔すると思いますよ」
その言葉の真意はわからないが、溜息を吐く慶は折れたらしかった。
「って言うか、和真先輩はいいんですか? 実結先輩の初めて、全部俺がもらうことになりますけど」
「俺は初めてとか拘らないから」
「さりげなく俺が処女厨みたいに言うのやめてくれませんか」
「被害妄想だろ」
肩を竦めた慶は実結の左手を取り、自分の股間へと導く。
「これ、もう何かわからないとか言いませんよね?」
「あ……」
ズボンを押し上げる硬い感触に実結は驚く。こうして触れるのは初めてになるが、何かわからないはずがない。実結にとっては凶器にも思えたものだった。
つまり、それに口をつけるということなのだろうと理解して、実結は同時に後悔すると慶が言った意味もわかった気がした。
「俺にするのと大好きな先輩にするのとじゃ違うでしょ。だから、俺にはしなくていいんです。指で教えてあげますから先輩にしてあげればいいんです」
あれだけ勝手なことをしておいて、今になって気を使っているのだろうか。
「できるところまででいいんじゃないかな。怖い物だって思われ続けても困るだろうし、手でしてもらうだけでも十分だろ」
手だけなら、と実結はそっと撫でてみる。その瞬間びくっと慶が体を跳ねさせる。
「不意打ちとか……! 危ないからやめてください」
「危ないの……?」
どういうことなのか、実結にはよくわからない部分がある。実結にはない未知の物である。
「先輩がどうしても興味があるなら二人っきりの時にしてほしいです」
二人っきりなら良くて、今が駄目な理由は何だろうか。もう少し触ってみようとした実結の手は慶にやんわりと掴まれてしまった。
「遠間は恥ずかしがってるだけだよ」
「和真先輩の前で暴発なんかしたら後々何を言われるか……」
「だから、そういう陰湿なのはお前の特技だろ」
「え、俺のこと、そういう風に思ってるんですか? 傷付きます……実結先輩慰めてください」
そう言われても、と実結は助けを求めるように和真を見た。この状況でどうすることが正解なのか全くわからないのだ。
「今度はそっちを『よしよし』してあげればいいよ」
「変なこと吹き込まないでください!」
「途中で怖いと思ったら握り潰しちゃえばいいんだし」
明るい調子で和真は言っているが、そこが急所であることは実結も知っている。デリケートな場所であるからこそ、どちらの言う通りにするべきか迷ってしまうのだ。
「そういうこと言わないでください。実結先輩が真に受けたらどうするんですか! まあ、実結先輩の力じゃ無理でしょうけど」
「噛まれればいいんじゃないかな」
「さらっと言って……! そんなに俺が嫌いですか」
「俺は可愛い後輩達のことを考えてるつもりだよ」
和真が自分達のことを考えてくれていると思うだけで実結は嬉しかった。彼の言う通りにすることが正しいのではないかと思ってしまうほどに。
「実結ちゃんが嫌がることはしないのは当然だ。でも、実結ちゃんがしようと思うことを阻止するのも違うんじゃないか?」
「じゃあ、実結先輩はご奉仕したいんですか?」
「どこまでできるかわからないから……慶君に待ってもらう間、何かできることがあればと思って……」
そういった行為を自ら進んでしたいのかと言われれば悩むところではあるが、自分にできることがあるのならしたいと思っていることは事実だった。また和真に背中を押された気がしている。
「実結先輩は優しいですよね。俺に歩み寄る必要なんてないのに」
実結にとって慶は自分を傷付けた男であって、突き放すべきであっても、それができない。
選択肢を奪われて従ってしまったことで精神的に囚われ続けているのかもしれない。
救いを求められている気になってしまうのだ。そして、彼を救えれば自分も救われるという幻想に取り憑かれているのかもしれない。
「でも、嬉しいです。ちゃんと俺に向き合おうとしてくれる。やっぱり実結先輩のことが大好きです」
そうして、ふわりと笑った慶に実結は年下の男の子らしい可愛らしさを感じた気がした。彼を怖いと思う部分もあるが、本当に自分を好いてくれているのだと改めて認識する。
「このまま野に放つのは危険だから自分が責任持って更生させなきゃってことだろ。俺も協力するけど」
「ひ、ひどい! 俺の感動を台無しにされた……!」
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