ダンジョンチケット

８章託されし秘宝

ダンジョンチケット６９

拓武には悩んでいる時間はなかった！約束の期日まであと一日と迫っていたからだ。自分の直感と本能に従い迷わず選ぼうとした時にバーダが拓武に声をかけた。

バーダ【焦るのはわかるけど、まちなよ拓武、もし槍を選ぼうとしてるなら拓武の今装備してるガザ・アッサルは反則級の槍なんだ、多分それ以上の槍は中々ないよ、それにルーが居なくなった今私以上の槍の使い手なんていないから槍は無駄になるよ？】

拓武は焦るの気持ちを落ち着かせ、深呼吸をし再度オルゴールを確認する。

ハデス【おい！拓武？魔法にしとけよ？今はお前の中に三人分の魔力があるんだぜ！しかもこのハデスさんが含まれちまってるんだからな！まさに最強だ！ガハハハハ】

拓武はハデス言い分も踏まえて考えたが自身の中で何かが引っ掛かった、そして違和感のあるオルゴールの前に立ったのだ。

ハデス【あ？マジかよ拓武？魔法にしようぜ！きっとすごく楽しいぜ？】

まるで手招きでもされるかのように拓武の意識は弓のオルゴールへと吸い寄せられていたのだ。

拓武『ごめんハデス、でも今の俺にはこれが必要になるんだと思う』

ハデス【あーもう？仕方ないな、まあ！最悪の場合は俺様の呪文も何個かあるしまあ！いっか】

ハデスは渋々だが拓武の言い分を受け入れた。

そして拓武は弓の絵がかかれた追憶のオルゴールを手に取って蓋を開いたのだ。

ゆったりとしたメロディが室内に流れ出した。

中には腕輪のような物か二つ入っていた、そして追憶のオルゴールは音色と共にクリュメノスの言葉を語りだした。

クリュメノス『弓を選びし者よ、我が魔力にて作りしメビウスの輪は二つで１つの存在となる利き腕に紅き輪をもう片方に蒼き輪を着けるがよい、あとは汝が望むままに、紅き輪はどんな弓にも変化する、そして蒼き輪は汝の魔力にて矢を作り出す、もし汝が矢に困ったならば迷わず弓を引くがよい！弓が答えてくれよう。汝が選びし弓の名は【メビウス】邪悪なるものに渡らないことを、そして我以外がこの力を手にする日が来ないことを祈る』

拓武『懐かしい感じがする、俺はメビウスの名を知っているんだな、思い出せないでも確かに知っているんだ』

拓武の眼からは涙が一筋こぼれていた

悲しくもクリュメノスの願いはかなわなかった。

そして今拓武の手にクリュメノスの遺産を手にした。

両手にメビウスの輪を着けたその時だった、拓武にクリュメノスの記憶が舞い戻り拓武の中に流込んできたのであった。