ダンジョンチケット

１３章 王の戦い

ダンジョンチケット１５１

拓武は何がなんだかわからないまま目を覚ました。
意識がいつ途切れたのか、何があったのか、ただ理解できることは身体中に走る激痛だった。

「前にも、こんな事があった気がする……なぁ、ははは」
「ご主人様ごめんなさい、モシュネ様にちゃんと僕は言ったんだけど、手加減してくれなかったをだよ」
申し訳なさそうにそう言うとキーメイスに拓武は優しく微笑んだ。

ゆっくりと起き上がり辺りを見渡すと気絶する前まで、いがみ合っていたオクシードとリュトルが並んで俺を心配そうにみていた。
その光景が余りに不思議でまだ夢を見ているのかと疑いそうになる。

「なんか不思議だね、でもよかった。しかしモシュネ、もう少し手加減してくれ全身まるで筋肉痛みたいだ」
「御意、以後気を付けさせていただきます」
「次が無いことを祈るよ、それよりもスルト王は、リリムとギガンテス族はどうなったんだ？」
拓武は少し冷静になり始めた頭をフル回転させて今の状況を理解しようとしていた。

どうやら、まだスルト王を封印している氷は溶けていないらしい。

「状況はかわらずか」
俺の言葉にネクロが直ぐに反応した。
「違いますよ！タコ王子とトカゲ王子は仲良くなりました！」
力一杯にそう言うとオクシードとリュトルそして周りにいた全員がわらっていた。

だが、その笑い声を書き消さんとする者の影が、拓武達の背後まで迫っていることにまだ拓武達は気づいていなかった。

そして、それは第三軍に牙をむこうとしていた。

「ブレイン、何か変な音が聞こえる！」
「変な音？私には何も聞こえないが？」
最初にそれに気付いたのはマナコであった。

マナコの“範囲結界”の中に何かが入り込んだ事を感じたマナコ達は直ぐに警戒した。
「竜人族の奇襲ですかね？」
「奇襲しているのは俺達だ、それに空を飛んでいるにしろ陸を移動するにしても他に雑音はない、つまり１体と言うことだ」
兵士の質問にそう答えるマナコ、しかしマナコは嫌な予感がしていた。
もし、野性動物ならいいが、聞きなれない“カタカタ”と言う耳障りな音が耳から離れないでいた。
そしてそれは、間違いなく此方にちかづいていたのだ。