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１３章 王の戦い

ダンジョンチケット１６１

アインを乗せた巨大な船はそのまま巨兵城まで止まることなく突き進んできたのだ。
拓武達は覚悟を決め再度武器を構えたのだ。
船の下には空船と同じファンが三角形になるように３つ付いており、船が動く度にゆっくりではあるが、回転しようとしているように見えた。

「あの船、もしかして！まだちゃんと動いてないんだ」
拓武の言葉に皆は訳がわからないでいたが、人間界に行っていた竜也だけは其れを理解した。
「つまり、まだエンジンが暖まってないって事だな拓武？」
二人は頷きあった。
そして直ぐに行動を開始したのだ。

拓武と竜也は直ぐに空船の残害から錆びた部品を幾つか持つとそのまま船目掛けて突っ込んだのだ。

「今なら！こんなもんでも、役にたつはずだ！」
竜也が破片を掴んだまま船体を全力で殴りかかったのだ。
そして僅かな傷を船が再生しようとした瞬間に再度、破片を再生しようとした部分に突き立てたのだ。
船はそれも含めて吸収しながら再生しようとしていく。
しかし、そんなアインと拓武達に予想外の出来事が起きたのだ！

「ヌオオォォォォ?」
凄まじい雄叫びが巨兵城から響き渡り森を包み込んだ。
そして巨兵城から慌ててギガンテス一族が飛び出してきたのだ。

「なんだ、このデカイ声！耳が」 
拓武達は慌てて耳を塞いだ。
声がなり止むと、巨兵城から次々と巨人達が姿を現したのだ。
そして直ぐにアインの乗る船を一人の巨人が掴みかかり、地べたに叩きつけたのだ。
余りに凄まじい光景に皆が言葉を失った。
ギガンテス一族よりも遥かに巨大の戦士達が次々に巨兵城から出てくるその光景は拓武達に新たな緊張を走らせるものだった。

そしてアインは直ぐに船と自身を切り離すと何も言わずにその場から逃亡したのだ。
「アインまて！」
しかし、拓武の声は届かぬままアインはその姿を消したのだ。

その場に残された拓武達を睨み付ける巨人達は直ぐに拓武達を捕らえようとしている様にも伺えた。
しかし、アインの船を落とした巨人が其れを止めたのだ。
「我が名はスルト、幻想界の王である。ソナタの名を聞かせて貰いたい」

スルトはそう言うと拓武達の前にその巨大な体を座らせた。
其れを見た他の巨人達も腰を落ち着けたのであった。
拓武達を見るスルトの目は鋭く少しでも違和感があれば、攻撃すると言わんばかりにその眼光は拓武に向けられていたのだ。