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１３章 王の戦い

ダンジョンチケット１６２

拓武は自分の数十倍はあろう、巨人の王スルトを前にしていた。
そしてスルトに名を聞かれ拓武は一旦、深呼吸をした。
「御初にお目にかかります、巨人の王スルト、矢竹  拓武と言います」
拓武は出来るだけ平常心を保ちながらスルトを前に怖じ気づく事なく挨拶をした。
スルトも拓武の姿を見て頷くとその巨大な口を開いた。
「此度の事、我等、巨兵族は感謝している。心から礼を言いたいありがとう」
その言葉に緊張に包まれていたその場の雰囲気が変わったのだ。
そんな中、森から人面樹の大群が巨兵城目掛け押し寄せてきたのだ。
本当ならばアインの船と戦っている拓武達を奇襲する段取りが組まれていたが、人面樹達が飛び出していくと、其処には氷付けにされた筈の巨兵族とアインと戦っている筈の拓武達が座りながら話していたのだ。

人面樹達は理解できなかった。
しかし地べたに沈む船を見て、直ぐに１つの答えに辿り着いた。
それはアインの敗北……
 
其処に辿り着くまで３秒、そして拓武達が人面樹に気づき武器を手に襲い掛かって来るまで６秒……
人面樹達は何も出来ないまま、拓武達に一掃される事となったのだ。

スルトが幻想界に復活し、海王族と竜人族は、はれて争う必要が無くなったのだ。
拓武はオクシードと竜也に別れを告げ、スルトには後日挨拶に来ると話、一度クルガナクルムへと帰還したのだ。

拓武はクルガナクルムに帰還すると直ぐにブレインやマナコと言った、今回の戦闘で亡くなった者達に祈りを捧げた。
全ての者達が死んだ者達に手を合わせたのだった。
「ブレイン、マナコ、リザード、そしてこの戦いで死んだ戦士達よ、次の時代でまた会おう……俺は皆を忘れない……」
どう明るく振る舞おうが実際、拓武は悲しくて仕方無かった。
覚悟した筈の覚悟は全く役にたたなかったのだ。
その事実は拓武の心を更に成長させる事となるのだった。