ダンジョンチケット

夏カボチャ

文字の大きさ
上 下
174 / 322
14章 種族と理由

ダンジョンチケット173

しおりを挟む
全ての事には理由があると誰もが口にするだろう、もしそうでなければこの世界の全てを疑わねばならないからだ。

大昆虫族のコロニーは、以前スルトが訪れた頃と違い大分小規模になっており、子供の姿が全くなかった。
活気は失われコロニーの虫ビト達の殆んどが女の虫ビトであり、男の虫ビトの姿はなかった。

「これはいったい?どういう事だ」
コロニーの入り口を守る男の虫ビトすら確認できなかった。
そして、スルトと拓武がコロニー内に足を踏み入れると直ぐにコロニー内の虫ビトは怯えて隠れてしまった。
結局、話をしてくれる虫ビトが見つかるまでコロニー内をひたすらに歩く事になった。
コロニー内は至る所に戦闘の痕跡がありコロニーの一番奥にある墓地には真新しい墓が大量に創られていた。
そして、墓に花を手向ける一人の女の虫ビトを見つけた。
拓武は逃げられないように気を使いながら、近づく、そして話を聞けることになった。

その真相は余りに一方的な話だった。
アインの申し出を断った大昆虫族の元にウッド族とアイヨロス族そして知界の兵士が三方向から攻撃を仕掛けてきたのだ。
そして虫ビトの子供を捕まえたアインは、見せしめに男の虫ビト同士を闘わせその命を片方が奪うまで闘わせ続けたのだ。
そして、最後の一人になった男の虫ビトはアインの目の前で子供達の命を助ける代わりに自ら命をたったのだ。
しかし、アインは虫ビトの子供達を解放せず、知界に連れ去ったのだ。
「逆らえば!子供達が悲惨な運命にあうぞよいな!」
そして、虫ビトはアインの傘下に入るしかなかったのだ。
全ては子供達の為に選ばれた決断であった。

拓武とスルトはその話を聞き腸が煮えくり返るような思いがした。
そして、二人は皆と合流して直ぐに自分達の考えを口にした。
「知界のアインを討ち取る!」
拓武の口から、いきなりでたその言葉は世界同士が面と向かって戦争をすると言っている事に他ならない。
しかし1つ問題があったのだ。
それは知界は幻想界と同じで かぐや の守護下にあり、幻想界と違い面と向かって冥界が戦争を仕掛ければ間違いなく、かぐや が介入してくると言う事だった。
しおりを挟む

処理中です...