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夏カボチャ

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16章 人間界にて

ダンジョンチケット205

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魔王ベルゼ、蝿の王ベルゼブブの子孫であり、力と知恵を兼ね備えた魔王であり、また、前魔王である兄のベルガとの戦いで見せた残忍な戦い方から“魔王を食いしベルゼ”としてその名を魔界に刻み付けた。

ベルゼが魔界に君臨すると魔界は一気に豹変した。
全ての争いにベルゼが介入し、全ての戦いを自身の力で捩じ伏せていったのだ。
魔界から争いがなくなるとベルゼは次に魔界の知性と教養を取り入れようとした。
魔族は本能のままに暴れ争うが、それは基礎的な知識や考え方が無い為だとベルゼは考えていた。

ベルゼは魔族から見たら異端児にしか見られていなかった。
ベルゼとベルガの父も他の魔族同様に考えていた。
その為、力では劣るベルガを魔王にすることを決めたのだ。
ベルゼが魔族の考え方を出来ない以上、他の選択肢が無かったのである。

そして、ベルガが魔王となってから事件が起きる。
ベルガは自分より力の強いベルゼを怖れた。
そして、反逆者として、ベルゼを捕らえるように魔界に住む者達に命令したのである。
捕まえた者には、魔界での不自由無い暮らしを約束すると口にしたのだ。

その行動が後のベルガの運命を変えることになった。
ベルゼを襲撃した者達は悉く反撃にあい、命を落とした。
その中の一人がベルガの命令で来たと言うとベルゼは怒り狂った。
本当のままに行動し思考を忘れたベルゼが次に意識がハッキリすると自分の手で殺めたベルガが目の前に横たわっていた。
ベルゼはベルガの体を揺するが既に冷たくなり始めていた。

ベルガは数日間考えた。
そして、皆が笑える様な魔界を作ると決心した。
争いが無くなった魔界に知識と言う考える力を入れたいと考えたベルゼが向かったのは知力の塊の世界、知界であった。
そして、それがベルゼの最大の過ちとなるのである。
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