ダンジョンチケット

１８章 霊界と天界

ダンジョンチケット２７４

　全てを神海の底に沈めようとするポセイドン、拓武の両腕に力強く握られたガザ・アッサルが風を切り裂かんとばかりに大空から神海の上に立つポセイドンに向けて急降下していく。

「ヤメロォォォ！！！」叫び声の先に助けを求める海王族の姿、それを嘲笑うかのように丸飲みにするケートス。

　ポセイドンに向かい斬り掛かる拓武を妨害するように神海から姿を現した巨大な竜の化物。

　ケートスは人間界にて１度ペルセウスによって退治されたポセイドンの部下であり、ポセイドンはその残骸から更に強力なケートスを作り出していたのだった。

「小賢しい人間が！　神の前に無力とも気付かずに楯突くか、忌々しい限りだ、神海の底に沈むがいい！　行けェェェケートス！」

　襲い来る神を切りしガザ・アッサルの刃を前に鋭い牙と爪を輝かせ、その巨大な口を開き構えるケートス、しかし拓武より先にケートスに一撃を加えたのは竜也であった。

「竜人の力を教えてやるよ。ペット野郎が！　拓武の邪魔はさせないぜ」

　竜也がケートスの腹をから心臓に目掛け、凄まじい速度で全身を使い拳をめり込ませた瞬間に凄まじい奇声が神海に鳴り響く。

「他の連中も直ぐに来る！　一気にクリアだ！　なぁ拓武」

　竜也のその言葉は、人間界の頃を思わせる懐かしい物であり、拓武との日常の中で使われた言葉であった。

「ああ！　ハイスコア更新だな！　サポートサンキュー！　竜也、コンテニューは、無いんだから！　ヤられんなよ！」

「何時もコンテニューの嵐だった拓武がそれを言うなよ！　なら二人でノーミスクリアだ！　ソリャァァアアア！」

　竜也の攻撃が激しさを増す中、ポセイドンに刃を叩き込んだ。

　ポセイドンが矛を使い、拓武の攻撃を受け止める。
　竜也はケートスを、拓武はポセイドンを、互いの相手に全力でぶつかる二人。

　本当の意味で海の神との戦いが幕を開けた瞬間であった。