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夏カボチャ

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19章 月界の長と凍結の支配者

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 禍々しい闇を背にその姿を現した邪神ロキ。全てを見つめるような冷たい目がスルト達に向けられた次の瞬間、空気が凍り付き、風は刃となり全ての者を切り裂いていく。

 魔族もリザードマンも関係なく無差別に襲い掛かる風の刃と氷の息吹き、皆が絶望する中、スルトと巨兵族が塊となり盾を成した。

「我等に神の力は通じぬ! アースよ我等が居たことを後悔するがいい!」

 一斉にアース目掛けて突き進むスルト達しかし、その動きは一瞬で止まることになった。

「誰が神の力で戦うといった? 僕は勝てないゲームが嫌いなんだ、いつも最後に笑うのは僕なんだよ!」

 スルト達の足元が突如凍り付き、スルト達の足ものを激痛が走った。
 アースはホール全てをマイナスの極寒の世界に変えたのだ。

 バーダ達が身動きが取れなくなるのを確認するとアースは自分に傷をつけた魔族の方角に力を圧縮した塊を笑って打ち出したら。
 氷ながらも意識のある魔族達は絶望した。
 圧倒的な力で悪夢のような光景を作り出すアースの前に皆が死を感じていた。

「や……めろ……これ以上ッ!! 仲間に手を出すな!」

 アースは再度作り出した圧縮した魔法をその手に収め、声のする方に振り向いた。

「可笑しいなぁ? なんで自我がまだあるんだい? 拓武ッ!!」

 闇に魂を侵食されていた筈の拓武はガザ・アッサルを手に握り闇からその姿を現したのだ。
 その姿を見てアースは少し悩むと答えを導き出した。

「そう言う事か……やってくれたね、モシュネ……どうなるかわかってるんだろうね?」

 モシュネは拓武の魂すらロックしていた。それは体から魂が離れないようにする苦肉の策であり、全てを捨てても拓武を残したいと言う強い意思がそこには存在していた。全てを把握していると思っていたアースに取っての誤算が重なるとその表情には更なる苛立ちが刻まれていた。
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