6 / 9
6
しおりを挟む
翌日の朝、私は朝食と飲み物を用意してラルの眠る部屋に向かった。
ノックをして静かに扉を開けると、彼は音に反応したのか寝返りを打つ。
(よく眠れたかな?)
小さなテーブルの上に朝食を置き、眠るラルの顔を覗き込む。
不意にラルの長い睫毛に滲んでいた雫が目尻を伝った。
見てはいけないものを見た気がして、ぎくりと身が強張ってしまう。
心が落ち着かなくて、私は指の背でラルの目元を拭った。
「ん…………」
ラルは触れられたことに反応したのか、気怠そうに瞼を持ち上げる。
私は慌てて手を自らに引き寄せ、動揺を悟られないように無言で彼を見つめた。
ラルは微睡んだ眼差しを私に向けて口を開く。
「ティアナ、どうした……?」
彼は心配そうに私を見ている。
どうして、この人はすぐに私を案じるのだろう。
今、心配されているのはラルの方なのに。
私は泣きたくなる気持ちを押し殺して、彼から離れ、用意した飲み物を手に取る。
「ラル、これを飲んで。二日酔いに効果抜群なのよ」
いくつかの薬草を混ぜて作った特製の薬水。味は最悪だけれど、酒に疲れた身体を癒してくれる。
ラルはのそりと上体を起こし、カップを受け取った。
匂いを嗅いで顔を顰めたが、意を決したように、ぐいっと飲み干していく。
続けて口直しの水を渡すと、それもぐびぐびと飲んでいった。
「ラル、体調はどう? 頭が痛かったり、気持ち悪かったりしない?」
「え? ああ、と……平気」
ラルは手の甲で口元を拭い、私の質問に答える。
そして自らの状態を確認するように身体を見下ろしていたが、突然彼は寝台の上で土下座をした。
「ティアナ! ごめん!」
その唐突な動きに、私の肩は大きく跳ねる。
「び、びっくりした……」
「酒に酔っていたとはいえ、強引に、あ、あの……」
なるほど。
ラルは泥酔時の記憶を失くさないタイプの人らしい。
師匠は記憶を失くすので、どれだけ迷惑をかけられても『心当たりないね』と開き直ることが多いのだ。
額を寝台にこすりつけ、昨夜の痴態を思い出しながら謝っているかと思うと、愛しさが増す。
「ねぇ、ラル。吐いてからすぐに寝ちゃったから、身体が気持ち悪いでしょ? とりあえず顔はこれで拭いてね」
濡れた手布を差し出すと、ラルは赤面してしまう。
「水回りは部屋を出て左の階段を降りた先にあるわ。まだ師匠が寝ているから、静かに使ってね。あと朝食は野菜スープにしたわ」
てきぱきと用件を伝えて、ふと室内の匂いに気付く。
何とも言えない匂いがする。
私は換気をすべく、橙色の光を内包した窓布を横に引いた。
陽光が差し込み眩しい。
がたんと出窓を開くと風が室内に吹き込んだ。髪が後ろに翻る。
気持ちのいい、ひんやりとした朝の風に、思わず目尻が下がった。
「今日もいい天気」
窓から離れ振り返ると、寝台の上のラルと目が合った。
彼は大きな瞳を丸くして、驚いたように身を固くしている。
「どうしたの?」
「えっ、ああ……」
我に返ったラルはおたおたと動き、そしてはにかむ。
「ティアナと結婚したら、こんなふうに朝を迎えるのかなって思ったんだ」
「…………っ!」
臆することもなく、さらりと告げられた言葉が、胸の中で熱を帯びていく。
(そんな嬉しそうに言わないでよ……)
言葉を失う私を見つめ、ラルは表情を引き締めた。
「ティアナ、ごめん。強引に関係をもったこと……失恋したと話していたのに嫌だったよね」
「強引だったことは否定しないけど、私もしたいと思ったからしたの。謝らなくていいのよ?」
「う、うん……」
ラルは恥ずかしそうに顔を背ける。
そうやって初心な反応をするくせに、することはしているのだから、可愛い人だと思う。
「あのね、私が話していた失恋の相手は、貴方のことなのよ」
ラルは目を瞠り、私を見つめ返す。
「心当たりが……ないけど?」
「うん。私も振られた記憶はないわ」
「だよね。でも失恋相手って」
「周りに失恋したって言いながら過ごして、過去のいい思い出だと思い込もうとしてたの」
「どうして、そんなこと……」
「ラルが役目を終えて帰ってきた時、私を選ぶ保証は無いと思った。旅をしている間、良い出会いが絶対にあったはずだし、ラルをずっと好きでいて、待ち続けて、それなのに貴方の隣に誰かいたら耐えられない」
「だから村を出た?」
「うん……私にも良い出会いがあるかなって」
私の言葉を聞いて、ラルは眉根を寄せてしまった。
「私に突出した魅力がないことは分かっていたし、不安だったの」
「それならそう言って欲しかった」
「あはは……だって、ただでさえ勇者だと言われて困惑していたのに、これ以上どうでもいい話をして煩わせたくなかったのよ」
「どうでもいい話じゃないだろ!」
ふざけたように答えた私に鋭い眼差しが突き刺さる。
雰囲気を軽くしたかっただけなのに、逆効果だったようだ。
私は肩を竦め、ラルの隣に腰かけた。
寝台がぎしりと軋む。
「ラルも私に対して何も言葉にしなかったでしょう? だから私も言わなかった……確かめるのが怖かったのよ」
ラルは額を押さえて溜息する。
まるで責められているような心地になり、僅かに苛立ちが湧いた。
「貴方を健気に待ち続ける私がいればよかった?」
彼は私の言葉に傷ついた表情を見せる。
そんな顔をさせてしまったことに胸が痛むが、何故だか言わずにはいられなかった。
「ティアナに対して、きちんと言葉にしなかったのは卑怯だったと思う……ごめん」
違う。
お互い、謝る必要なんてない。
本当は分かってる。
察しろと先に口にしたのは私で、察することが出来なかったのはお互い様だ。
「でも、ティアナとの未来を守れるのは俺しかいないと思ったから、だから村を出たんだ。そうでなければ、こんなこと……続けてこれなかった」
窓から心地いい風が入り、頬を撫でる。
ラルは押し黙ってしまった。
(あぁ……そうか)
ずっと引っかかっていたのは、これだ。
ラルが執着しているのは私ではなく、旅立った理由なんだ。
「ねぇ、ラル」
名を呼ぶと、彼は戸惑いながらも私を見やる。
「私、帰省するタイミングをずっと逃してたの。今帰ったらすっごい怒られるだろうなって考えたら、気が重くて足が止まって二年経ってた」
「ものぐさすぎる……」
「だから、一緒に帰ってくれない?」
「え」
「ラルと一緒だったら両親の怒りを逸らせるかも。そうしないと、また私は帰る気が失せて何年も帰らず過ごしてしまうわ」
ラルは絶句している。
「私と村に帰ろう」
「…………いいの?」
「今、理由を話したじゃない。怒られるのが怖くて帰らなかったって。私と両親の間で宥める役を担って」
「その役目は嫌だなぁ」
ラルは失笑し、私を抱き寄せた。汗の匂いと何とも表現し難い匂いが鼻をつく。
彼のそんな匂いも好きだと思うのだから重症だ。
「ふふ……格好いい勇者様も形無しだわ」
「ティアナ?」
「昨日吐いたやつが乾いてるし、なんか野生の匂いがする」
「や、野生?」
ラルの上半身に、ぱりぱりした汚れが付いていて、私は爪でかりかりと擦った。
彼は気まずそうに身を離す。
「このまま口づけしたかったんだけどな」
ラルは不貞腐れた表情で私の頬を撫で、少しずつ距離を縮めて唇を寄せてくる。
私の反応を確認するような動きが面白くて、私は自分からラルに口づけた。
「んっ⁉」
私からされるとは思わなかったのか、ラルは小さく呻いたが、そのまま唇の角度を変えて何度も口づけた。
ノックをして静かに扉を開けると、彼は音に反応したのか寝返りを打つ。
(よく眠れたかな?)
小さなテーブルの上に朝食を置き、眠るラルの顔を覗き込む。
不意にラルの長い睫毛に滲んでいた雫が目尻を伝った。
見てはいけないものを見た気がして、ぎくりと身が強張ってしまう。
心が落ち着かなくて、私は指の背でラルの目元を拭った。
「ん…………」
ラルは触れられたことに反応したのか、気怠そうに瞼を持ち上げる。
私は慌てて手を自らに引き寄せ、動揺を悟られないように無言で彼を見つめた。
ラルは微睡んだ眼差しを私に向けて口を開く。
「ティアナ、どうした……?」
彼は心配そうに私を見ている。
どうして、この人はすぐに私を案じるのだろう。
今、心配されているのはラルの方なのに。
私は泣きたくなる気持ちを押し殺して、彼から離れ、用意した飲み物を手に取る。
「ラル、これを飲んで。二日酔いに効果抜群なのよ」
いくつかの薬草を混ぜて作った特製の薬水。味は最悪だけれど、酒に疲れた身体を癒してくれる。
ラルはのそりと上体を起こし、カップを受け取った。
匂いを嗅いで顔を顰めたが、意を決したように、ぐいっと飲み干していく。
続けて口直しの水を渡すと、それもぐびぐびと飲んでいった。
「ラル、体調はどう? 頭が痛かったり、気持ち悪かったりしない?」
「え? ああ、と……平気」
ラルは手の甲で口元を拭い、私の質問に答える。
そして自らの状態を確認するように身体を見下ろしていたが、突然彼は寝台の上で土下座をした。
「ティアナ! ごめん!」
その唐突な動きに、私の肩は大きく跳ねる。
「び、びっくりした……」
「酒に酔っていたとはいえ、強引に、あ、あの……」
なるほど。
ラルは泥酔時の記憶を失くさないタイプの人らしい。
師匠は記憶を失くすので、どれだけ迷惑をかけられても『心当たりないね』と開き直ることが多いのだ。
額を寝台にこすりつけ、昨夜の痴態を思い出しながら謝っているかと思うと、愛しさが増す。
「ねぇ、ラル。吐いてからすぐに寝ちゃったから、身体が気持ち悪いでしょ? とりあえず顔はこれで拭いてね」
濡れた手布を差し出すと、ラルは赤面してしまう。
「水回りは部屋を出て左の階段を降りた先にあるわ。まだ師匠が寝ているから、静かに使ってね。あと朝食は野菜スープにしたわ」
てきぱきと用件を伝えて、ふと室内の匂いに気付く。
何とも言えない匂いがする。
私は換気をすべく、橙色の光を内包した窓布を横に引いた。
陽光が差し込み眩しい。
がたんと出窓を開くと風が室内に吹き込んだ。髪が後ろに翻る。
気持ちのいい、ひんやりとした朝の風に、思わず目尻が下がった。
「今日もいい天気」
窓から離れ振り返ると、寝台の上のラルと目が合った。
彼は大きな瞳を丸くして、驚いたように身を固くしている。
「どうしたの?」
「えっ、ああ……」
我に返ったラルはおたおたと動き、そしてはにかむ。
「ティアナと結婚したら、こんなふうに朝を迎えるのかなって思ったんだ」
「…………っ!」
臆することもなく、さらりと告げられた言葉が、胸の中で熱を帯びていく。
(そんな嬉しそうに言わないでよ……)
言葉を失う私を見つめ、ラルは表情を引き締めた。
「ティアナ、ごめん。強引に関係をもったこと……失恋したと話していたのに嫌だったよね」
「強引だったことは否定しないけど、私もしたいと思ったからしたの。謝らなくていいのよ?」
「う、うん……」
ラルは恥ずかしそうに顔を背ける。
そうやって初心な反応をするくせに、することはしているのだから、可愛い人だと思う。
「あのね、私が話していた失恋の相手は、貴方のことなのよ」
ラルは目を瞠り、私を見つめ返す。
「心当たりが……ないけど?」
「うん。私も振られた記憶はないわ」
「だよね。でも失恋相手って」
「周りに失恋したって言いながら過ごして、過去のいい思い出だと思い込もうとしてたの」
「どうして、そんなこと……」
「ラルが役目を終えて帰ってきた時、私を選ぶ保証は無いと思った。旅をしている間、良い出会いが絶対にあったはずだし、ラルをずっと好きでいて、待ち続けて、それなのに貴方の隣に誰かいたら耐えられない」
「だから村を出た?」
「うん……私にも良い出会いがあるかなって」
私の言葉を聞いて、ラルは眉根を寄せてしまった。
「私に突出した魅力がないことは分かっていたし、不安だったの」
「それならそう言って欲しかった」
「あはは……だって、ただでさえ勇者だと言われて困惑していたのに、これ以上どうでもいい話をして煩わせたくなかったのよ」
「どうでもいい話じゃないだろ!」
ふざけたように答えた私に鋭い眼差しが突き刺さる。
雰囲気を軽くしたかっただけなのに、逆効果だったようだ。
私は肩を竦め、ラルの隣に腰かけた。
寝台がぎしりと軋む。
「ラルも私に対して何も言葉にしなかったでしょう? だから私も言わなかった……確かめるのが怖かったのよ」
ラルは額を押さえて溜息する。
まるで責められているような心地になり、僅かに苛立ちが湧いた。
「貴方を健気に待ち続ける私がいればよかった?」
彼は私の言葉に傷ついた表情を見せる。
そんな顔をさせてしまったことに胸が痛むが、何故だか言わずにはいられなかった。
「ティアナに対して、きちんと言葉にしなかったのは卑怯だったと思う……ごめん」
違う。
お互い、謝る必要なんてない。
本当は分かってる。
察しろと先に口にしたのは私で、察することが出来なかったのはお互い様だ。
「でも、ティアナとの未来を守れるのは俺しかいないと思ったから、だから村を出たんだ。そうでなければ、こんなこと……続けてこれなかった」
窓から心地いい風が入り、頬を撫でる。
ラルは押し黙ってしまった。
(あぁ……そうか)
ずっと引っかかっていたのは、これだ。
ラルが執着しているのは私ではなく、旅立った理由なんだ。
「ねぇ、ラル」
名を呼ぶと、彼は戸惑いながらも私を見やる。
「私、帰省するタイミングをずっと逃してたの。今帰ったらすっごい怒られるだろうなって考えたら、気が重くて足が止まって二年経ってた」
「ものぐさすぎる……」
「だから、一緒に帰ってくれない?」
「え」
「ラルと一緒だったら両親の怒りを逸らせるかも。そうしないと、また私は帰る気が失せて何年も帰らず過ごしてしまうわ」
ラルは絶句している。
「私と村に帰ろう」
「…………いいの?」
「今、理由を話したじゃない。怒られるのが怖くて帰らなかったって。私と両親の間で宥める役を担って」
「その役目は嫌だなぁ」
ラルは失笑し、私を抱き寄せた。汗の匂いと何とも表現し難い匂いが鼻をつく。
彼のそんな匂いも好きだと思うのだから重症だ。
「ふふ……格好いい勇者様も形無しだわ」
「ティアナ?」
「昨日吐いたやつが乾いてるし、なんか野生の匂いがする」
「や、野生?」
ラルの上半身に、ぱりぱりした汚れが付いていて、私は爪でかりかりと擦った。
彼は気まずそうに身を離す。
「このまま口づけしたかったんだけどな」
ラルは不貞腐れた表情で私の頬を撫で、少しずつ距離を縮めて唇を寄せてくる。
私の反応を確認するような動きが面白くて、私は自分からラルに口づけた。
「んっ⁉」
私からされるとは思わなかったのか、ラルは小さく呻いたが、そのまま唇の角度を変えて何度も口づけた。
35
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる